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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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回顧録~ホレス・バンガード~

回顧録を書くつもりが全然回顧録になってないですね。

なんというか、一度完成した物語をバラバラにして書き直してる感覚に近いです。

ここにあのエピソード挟もうか?いやこれは割愛しよう、そんな事を頭の中で繰り広げています。

パーティーメンバー達は先を争うかのように次々とハイヴィジョンの魔法を唱えた。

そんな中ホレスは複雑な思いで彼の後ろ姿を確認した。


こいつは自分が今日死ぬと知っていたのかよ。

一体どんな気持ちで今まで過ごしてきてたんだ?

何を思って今戦っている?


動きは悪くない。

いや、それどころか今までで一番切れのある動きだ。


彼の後ろ姿からは淡々と敵を葬る様子が窺えた。

いつもに増して無駄の無い動きに見える。


だが、ホレスは自分がタンクであるからこそ知っていた。

死の恐怖に飲まれた瞬間、人は思うように動けなくなる。

人とはそういうモノなのだと…

…しかし、彼の動きはそういった挙動を感じさせない。


いや、むしろ…俺にはあいつの背中が、まるで笑っているように見える。

そう思った瞬間、ホレスはゾクリと寒気を感じた。


「なあ?こんな時に不謹慎だとは思うが…あいつの背中を見てると俺にはまるで…」


「笑っているように見える?」


ホレスが言葉に出せなかった事をアルファはあっさりと代わりに言った。


「正解よ、あいつ笑ってるわ」


「な、見えるのか?」


「このハイヴィジョンって魔法、想像以上に便利ね。少し視線を動かすような感じでイメージしたら本当にコントロールできたわ。かなり遠くにいるはずの勇者の表情まで確認できたわよ」


アルファの言葉にアリシアが頷いた。


「ほんとだ、少し操作は難しいけど周りがよく見える」


それを聞いたホレスも視線をコントロールした。

確かに動かせる。何とも便利な魔法だ…いやそれよりも。


「なぜあいつは、この状況で笑えるんだ」


ホレスは改めて彼の表情を見て驚愕した。

彼は本当に笑っていたのだ。

強がりでもなく、恐怖するでもなく、ただ不敵に笑っていた。


その姿はまるで物語に出てくる伝説の英雄のようであった。


そう思った瞬間ストンと憑き物が落ちたような気分になった。


あぁ、そうか、自分はずっとこいつに…憧れていたのか。


怒っていたのは自分がこの場に連れて行ってもらえなかったからだ。

俺はあいつと共にいたかった。

あいつに、共に死んでくれと頼まれたかった。

最後まで一緒に戦いたかった。それだけの事だったのだ。


しかし、あいつはなぜこんなにも命を懸ける事が出来る?

俺が知る限り、勇者との面識は無かったはずだ。


ホレスはふと勇者の事が気になり、視線をそちらへ向けた。


善戦しているようには見える。

が、厳しい。

確かに勇者は規格外の力を持っている。

だが戦いに慣れていない、持って数十分といったところか…


そうホレスが分析していた時、突然アリシアが悲鳴をあげた。


視線を戻すと、彼は黒煙の中で倒れていた。


「何が起きた!?」


ホレスはアリシアに問いかけた。

だが答えたのはベータだった。


「仲間を巻き込んで至近距離からの自爆攻撃、さすがにあれは避けられない」


彼の周囲は爆発の規模を語るように半径20メートルほどの空白地帯が出来ていた。

しかし血を吐きながらも、よろめくように立ち上がろうとする彼の姿が見える。

何とか無事だと分かり安堵するも、そこへさらに第二波が襲い掛かった。


カッと閃光が走り、辺りは再び爆風に覆われる。



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