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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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魔王召喚の儀式

そもそも魔王とは何者なのか?

少しづつ明らかになる敵の正体。

ここからようやく本当のクライマックスに近付きます。

最初に奴の存在をハッキリと意識したのはいつだったろう?



カナタは魔物を切り伏せながら、自分の記憶を思い出していた。

頭の中に今までの冒険がいくつも思い浮かんでは消えていった。



あぁ、そうだあの時か。

あのギルゴマ教の大主教が死んだ時に分かったんだったな。


カナタの不敵な笑顔に僅かな陰りが差した。

魔王召喚を企む狂信者達は死んで当然の事を行っていた。拉致、誘拐、殺人、そして生贄。

狂信者達は神の名の元に神託を遂行し、魔王召喚の儀式として悪逆の限りを尽くしていた。


だがしかし、それと人殺しへの忌避感は別の話だ。

カナタは異世界で冒険者をしていたが地球の価値観を無くした訳ではない。

どうしても人殺しへの忌避感は出てしまう。


カナタ達三人はベータの予知で魔王召喚の儀式を企む、ギルゴマ教の狂信者達を殲滅しようと必死に行動していた時期があった。

まだグリーン・ラクーンを名乗っていた頃の話だ。


当時の三人は、勇者召喚そのものを"無かった事"にしようとする。云わば歴史修正が彼らの目的だった。

その為にまずは魔王召喚を阻止する。

それが三人の行動指針であった。


当初はそれが上手くいったと思った。

しかしやがて、そうではない事を知る。

何度、魔王召喚の儀式を止めようとしても必ず次の狂信者が現れる。

その度に膨大な生贄の血が流れ、狂信者達の死体で溢れた。

そして、いつしかカナタ達はうっすらと気付いてしまった。

これは世界の意思なのだと。


だがやがて、ベータの予知が世界と同調する事で真の予知能力として"覚醒"した。

その時にようやく、これらは全てギルゴマ教大主教の指示であると判明したのだ。


カナタ達は狂信者達との最後の戦いに挑みそれに勝利した。



その時に黒幕である大主教が最後に言ったのだ。


「これは、神の意思だ。我を降臨させよとのご神託だ」


「チッ狂信者め」


カナタは吐き出すように呟き、止めを刺そうとした。

しかしその時、粘りつくような気配がカナタを襲った。

瞬時に飛びのき、辺りを見回したが誰もいない。

だが次の瞬間に大主教は稲妻のような光に覆われ倒れた。


「おぉ、神よ私の願いを叶えて下さるのですね…私の命をあなたの為にお使いください…」


そう言って大主教は事切れた。



「本当に最後まで狂信者だったわね、でも今の光は…まだ黒幕がいるって事?」


アルファが新たな敵の存在に言及した。


「あれは…良くない、恐らくはあれが、あなたの命を奪うモノ」


ベータが虚空を見つめながらカナタに言った。


「見えたのか?」


ベータは額に汗を浮かべながら苦しそうに頷いた。


「今の私達では勝てない、魔王召喚を阻止するのは諦めた方が良い…」


ベータはそう言って意識を失った。


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