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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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奇跡を見る、その13~動き出す"世界"~

何やら不穏な動きが…いわゆるこれは、フラグというやつですね。


「おい!あいつの様子がおかしいぞ!」


「あぁ、さっきから何か苦しそうな様子だ。もしかすると着地でどこか捻ったか?」


「くそ、あとちょっとなのに!」


「いや、待て。そうじゃない胸を押さえている。何か体に異常が起きているようだ」


「なあ?俺の気のせいか?あいつの体が淡く光っているように見えるんだが…」


「いや、気のせいじゃねえよ、俺にもそう見える」


中央冒険者組合本部では彼の異変に気付いた人々の間で様々な憶測が飛んだ。しかし、彼が何かを叫んだ瞬間、全員の目が眩む程の激しい光が膨張した。


「くそ、一体あそこでは何が起きているんだ?!」


光は一瞬、ドーム状の形となり、そしてパリンっと割れた。


次の瞬間には恐ろしいほどの爆風が辺り一面を吹き飛ばす。

映像を見ていた全員が呆気にとられた。


「おいおいおい、今のは何だ?これまでの爆発とは比べ物にならねぇぞ!」


「そんな事より、彼は無事か?!」


「あ、あぁ無事だ…。いや、無事…なのか?何だかしらねぇが、酷く苦しそうに頭を抱えているぞ?」


彼を見守る観衆が、ゴクリと唾を飲む。

誰もが心配そうに固唾を飲んで彼を見つめていた。


そして酷く長く感じる空白の時間を人々はジッと見守っていた。だが実際にはほんの数十秒といったところだったであろう。その数瞬の間を置いて、彼は大きな声で名乗りを上げた。



「俺の名は田中彼方!地球から、次元を超え、時間をも超えてやって来た!勇者を救う者!」



彼がそう言った瞬間、割れるように砕けた光の渦が再び収束する。

今まで薄ぼんやりとしていた光は彼の元へと戻り、今やハッキリと彼を虹色の光で包み込んでいた。


観衆は理解した。彼こそが勇者を救う為に使わされた者であると。


「おい、今の名乗りを聞いたか?」


「あぁ、タナカカナタと言った、勇者を救う使者だと言ったぜ!みんなも聞いたか?タナカカナタ!くそ、これじゃ言い難いな!カナタだ!みんな彼の名を世界中に告げろ!彼の名はカナタだ!」


「おう!カナタ!勇者を救う使者!」


「あぁ、カナタだ!カナタ!」


世界中の人々が、彼の名を呼んだ。


世界が彼の名を呼んだ。




"世界"は認めた。彼の名を、彼の存在を、彼の生き様を。

もう"彼を修正"する事は出来ない。世界は認めるざるを得なかった。



だが…彼が死ねば、修正は可能だ…。

彼がいなくなれば、世界は元の姿へと戻る…。



歓声に沸く人々の裏側で"世界"はゆっくりと動き始めた。

その事に気付いている者は誰一人としていなかった…。

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