奇跡を見る、その10~覚醒~
やっと主人公の名前を出せました。
え?普通の名前?
まあそう言わないで下さいよ。
彼は混濁する意識の中で宇宙空間のような場所にいた。
様々な映像が彼の目の前を過ぎ去っていく。
これは…俺の記憶か?
「俺の名はホレス、頑丈なだけが取り柄だがお前達の壁になる事ぐらいは出来るだろう」
無骨だが気の良さそうな赤髪の青年が笑いながら握手を求める姿が見えた。
「レーナ・マクガーデンよ、噂の冒険者パーティーであるカラーズに誘われた事は光栄だけど…私の力が役に立つのかしら?」
青髪の女性は少し訝しげにこちらを見ていた。
ふと、混濁する意識の中で彼は暗い空間の中に僅かではあるが暖かい光を感じ、その方向へ進んだ。
ここは…地球か?
目の前には青い惑星があった。それを見ながら彼と神々しい女性が話している。
「貴方には過去の異世界へ向かって頂きます。そこで彼女を救うための計画を実行してもらう事になるでしょう」
アルファとベータによく似た、しかし遥かに威厳のある女性が喋っていた。
あれは確か…そう、地球の管理者を名乗る女神だ。
アルファとベータの母親…アルファ?ベータ?誰だったっけ?
そう思った時、赤い髪をした先ほどの女神を若くしたような女性が現れた。
「あなた正気じゃないわ!一人の女性を救う為に、自分の命を犠牲にするなんて!」
青い髪の女性も現れる。
「人類を救う為には仕方ない事」
こちらの方は随分と不愛想だ。
少し可笑しくなって彼はクスリと笑った。
…また場面が変わった。これは…俺の子供の頃か?
「たぬき!お前、女の味方するのかよ!」
「うるせえ、お前が俺をたぬきと呼ぶな!」
一対多数では敵わない、彼は殴られながらも後ろの女の子を必死で守っていた。
…誰だっけ?この女の子…。
「たぬき、ごめんね。私があの子達に文句を言ったからこんな事になって…」
「…別にあやまる事はねぇよ、お前は正しい事を言っただけだ。それより、たぬきって呼ぶな」
「いいじゃない、あなたは彼方のたぬきなんだから」
ふふ、と女の子は笑った。
「ねぇ知ってる?かいぶんって言うんだって!あなたの名前、ね?同じでしょ?」
…かいぶん?あぁ、回文か、上から読んでも下から読んでも同じになるやつだよな…。
彼方のたぬき、彼方、かなた、カナタ…、カ、ナ、タ…?…タ…ナ…カ?
そうだ、…思い出した…!
俺の名は…。
俺の名は!
「田中彼方!地球から、次元を超え、時間をも超えてやって来た!勇者を救う者!」
カナタがそう言った瞬間、バリンと音を立て、世界が弾けた。
一瞬で元の世界へと意識が戻る。
…地球から時空を超えてやって来た、勇者を救う為の使者。
田中彼方、覚醒!
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