奇跡を見る、その6~システムエラー~
やっと主人公らしくなってきましたかね?
右に三歩進み、敵の攻撃を剣で受け、魔法を放つ。
左からの攻撃を躱し、一歩下がり、魔法を放つ。
しゃがみ込んで前転、目の前の敵を切る。
彼はめぐるましく変わる戦況を読み、次の行動を予測する。
全てがギリギリの行動であり、一歩間違えれば死ぬ。
そんな神業のような戦いを続けていた。
そんな彼がふとした違和感に気付き始めた。
俺のカンではこっちが最短だ。
だが…こっちの方が敵が少ないのか?
バカな…なぜそんな事が分かる?
ドクンと一瞬、心臓が跳ねた。
ち、くそ分かったよ。
こっちで良いのか?
彼は不思議な直感のような感覚に従った。
ドクン。また心臓が跳ねた。
くそ、なんだ?この奇妙な感覚は…?
だが次の瞬間、彼の目にも分かる形で結果が出た。
最短コースで爆発が起きたのだ。
先ほど自分のカン通りに進んでいたら、またあの自爆攻撃に巻き込まれていた。
ドクン。
そして、その声は届いた。
「危ない!」
まだ幼さの残る声が頭に響く。
彼はその声が差す後方100メートルの地点を見た。
ヤバい、極大魔法か!
ドクン。
彼の胸元が淡く光った。
これは…昨日の遺跡で発見した結晶石か?
ふと彼はベータの言葉を思い出した。
「これを持って行って」
「これは魔結晶か?だが何の役に立つんだ?」
「良いから持って行って」
「分かったよ、そんな怖い顔するなって、ちゃんと懐に入れておくから」
「必ず、肌身離さず持っていて」
「あぁ、で?これが何の役に立つんだ?」
「…お守り」
「お守り?」
「そう」
ベータとの会話はここで終わった。
彼女はもう話す事は無いと言いたげな表情でプイとあちらを向いた。
ドクン。
淡い光が全身を包む。
まずい!極大魔法が放たれた!
そう思った瞬間、彼の脳裏にイメージが沸いた。
あの魔法が着弾した衝撃を利用して。さらに前へと進む…馬鹿な、そんな曲芸できる訳がない。
ドクン。
また心臓が跳ねた。
くそ、分かったよ、やってやるさ!
次の瞬間、極大魔法が爆炎を上げた。
彼の全身を淡い光が包む。
そして彼はその爆風を利用し、空を舞った。
はは、何だか知らないが上手くいったみたいだな。
あー、そうだ。
「誰だか知らないが助かったよ、ありがとう。少年」
そう呟いた瞬間、彼の頭に声が響いた。
「システムエラー。神眼の能力が解放されます。アクセプト?」
ドクン。
勇者まであと600メートル。
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