9話:二人のご両親と合った
今回は伏線張りのため、数話を投稿します。
今後の楽しみにして頂けると幸いです。
「死んだことは内緒な。」
「小声でエルマに呟く俺。」
「分かったわ。」
そう返すエルマ。頷くリーザ。
応接間に案内され、二人と別れた俺は
出された紅茶を頂いていた俺。
しばらくすると、執事らしき魔族がやってきて。
「この度はありがとうございました。」
そう言って頭を下げる。
「大丈夫です。当然の事をしたまでです。」
「人間にこのような方がいらっしゃるとは。
私は友好的な人間の話は聞いたことがあるのですが、
実際に出会えるとは思っておりませんでした。」
「やはり、長い間の争いのせいで。」
「そうですね・・・・。」
少しの沈黙の後。
「エルマ様、リーザ様のご家族はもうすぐ到着されるので
お呼びしますね。」
「リーザのご両親・・・?確か別の街の。もう来れるのですか?」
「はい、転移魔法で来るとの事です。」
「転移魔法ですか。成る程。」
「それでは失礼します。」
そう言って、一礼し部屋を出ていく執事。
しばらくすると。また、現れ広間に案内された。
そこには、エルマの父、兄、母、リーザの両親と禍々しい魔力を放つ男が居た。
俺が人間ということもあって皆人間の姿をしている。
「初めまして、ミナトです。」
まずは自分から頭を下げた。
「この町の領主のブルーノです。こちらは妻のアルマ。息子のエドガーです。」
「アルマです。」
「エドガーです。」
次はリーザの両親が挨拶をした。
「リーザの父のデニスです。こちらは妻のローザ」
「ローザです。」
最後に男が話をする。
「我はコンラッド、この地方の最長老である。面白い人間の噂を聞いてな
急遽参加させて貰った。」
まずは自己紹介を済ませたのち。(ついでに口調は直してもらうようにした。)
「この度は娘が世話になったみたいで、ありがとう。」
そう言って頭を下げるブルーノ
「私からも礼を言わせ欲しい。ありがとう。」
そう言って頭を下げるデニス。
「頭を上げて下さい。当然の事をしたまでです。」
「ありがとう、まさか人間に助けられるとは思わなかったのでね。
変身魔法を娘が使えると思って許可を出したのだが、まさか未熟だとは
思わなくてね。君は人間なのになぜ魔族を助けたんだい?」
「私は・・・。敵対しないものには助ける主義なので。後は遠い場所から来たので
魔族にそこまで怨念などはないのですよ。」
そう言う俺。
「そうか。二人共運が良かったな。後で説教な。」
そう言って二人を睨むご家族の方々。
「家族の皆さんの気持ちも分かりますが、外に遊びに出たい彼女の気持ちも分かります。
どうか、軽めにしてやって下さいね。あと、彼女たちにはお礼を頂きましたので
もうこれ以上は大丈夫です。当然の事をしたまでなので。」
そう言って、フォローを入れておく俺。
「分かった。」
「それでも私たちからもお礼をさせて頂きたい。食事などもてなしたいので
数日間はこちらに滞在して欲しいが大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「それでは、食事の準備を」
そういうと従者達が食事の準備をした。結構豪華だ。
「少ないが、ぜひ楽しんでいってくれ。」
ご家族の方々と歓談し食事を楽しんだ。お酒も入って皆いい気分になっていた。
「そういえば、ミナトは転移魔法が使えるんだな。」
「私の場合は転送魔法です。」
「転送魔法だと?成る程。それを使える人間が現れるとは。」
コンラッドは笑いながらそういった。
「ご存じですか?」
「我は知っている。昔の大賢者が使っていたというものだ。
懐かしいな。」
「成る程。えと、昔の話をして頂いても?」
「それはいづれ全てを知ることになったらしてやろう。
まずは冒険者の上位に登り詰め、全てを理解してくるがよい。」
「分かりました。でも、貴方の同胞を討つかもしれませんよ。」
「よい。」
そういうコンラッドと困惑するほかの方々。
「私はこんな事を頂いたのに、冒険者です。あなた方の敵です。
あなた方を討つことになりますよ。」
そういって悲しい表情をする俺。
「そういう日も来るだろう。だが、これだけは覚えてほしい。」
はっきり言うブルーノ
「私たちも貴方の同胞の人間を討つ。こちらからは手を出さなくても
出されたら反撃する。つまりおあいこということだ。だから、
気ににしなくて良い。ただ、君には味方することは誓おう。」
「そうですね。ありがとうございます。」
少し気持ちが楽になる俺。
食事も終わり、歓談に入りそろそろ解散の流れになった時。
「お父様、お母様、ご相談があります。」
そう言うエルマ
「なんだ?」
「ミナトについて行きたいです。」
全員硬直する俺。
「反対だ、お前あんな事されたんだぞ。忘れたのか?
それに同族を討つ事もあるんだぞ!馬鹿なことを言うな。」
全力で反対する声を上げる俺。
「それに、ご両親を討つ可能性だって・・・・。」
「アンタはしないでしょ?」
「うっ。」
詰まる俺。
「私も行きたいです。」
「そういうリーザ。」
「リーザまで・・・・。」
「ごめんなさい、ミナトさん。でも私は貴方の傍に居たいんです。
それと、人間の考えを知りたいのです。」
笑顔で返すリーザ。
「それに、アンタの傍にいたほうが安全でしょ?」
「それはそうだが・・・・。」
困惑する両親と俺。
「よいではないか。我は賛成だぞ。全てを理解したほうが良いしな。」
そういうコンラッド
「許可しよう。ただし、お前と戦う可能性もある事は理解しているな?」
「はいお父様」
そういうエルマ
「私も賛成する。ただし、危なかったら帰ってこい。」
「お父様・・・。」
そういうリーザ。
「分かった。ただし、魔族を討つのは俺だけだ。
それでいいか?」
二人にさせる訳には行かないので、念押しする俺。
「それなら、我からはこれを授けよう。」
そういうと魔法を掛けるコンラッド
「人間ごときの魔法では解除出来ないようにした。
それで、二人は人間の姿から変わることはない。」
「「ありがとうございます。」」
そういう二人。
「ミナトさん娘を頼みます。」
そういう二人のご両親。
「分かりました。あとこれを、リザレクション。」
そういうとこの場に居る全員に蘇生魔法を掛ける俺。
「ダメージを軽減する魔法です。何かあった時は駆け付けます。」
「ほら、やっぱりそうじゃない。アンタ。」
笑顔を見せるエルマ。
「ほう、良いものを見せてもらった。」
不敵な笑みを浮かべるコンラッド。
そして解散となった。
そして寝室に案内され、俺は色々あったと思い、寝ることにした。