20話:エマちゃんの冒険者訓練
「えと、ほら、昨日リーザ元気が無かっただろ?だから昨日話をしに
行ったんだ。」
「で?仲良く寝てたって訳?良い御身分だこと。」
「いや、色々あってだな?その・・・・。ごめん。」
「まあ、良いわ。アンタの事だもん。仕方ないわね。
じゃあ。」
そう言うと顔を真っ赤にして
「じゃあ、今夜は私の所に来なさい。」
「えっ?」
「なに?嫌なの?」
「違う、良いのか?」
「良いわよ!むしろ来てよ!」
「分かった。伺わせて頂きます。」
今夜も眠れない日になりそうです。
朝食を済ませると、エマの適性をみるために、皆で家の外に出る。
「俺には適正について分からないから、他のみんなに査定して欲しいんだが、
大丈夫か?」
そう言うと全員頷く。
「じゃあ、最初は剣かな?オリヴィア先生お願いします。」
「分かりました。」
と言って、打ち合う二人。だけど、すぐにエマが負けて剣を弾き飛ばされている。
「参りました。」
そういうエマ。
「どうだった?」
「まだ、危ないわね。ただ力が強いから訓練すれば実践で使えるかも?」
あ、仲間だから敬語は無しにして貰った。今まで主人と使用人みたいだったからな。
「次は魔法かな?リーザ先生。お願いします。」
「はい。」
「それじゃあ、まずは下位魔法のファイアアローを使ってみましょう。」
そういうと、魔法の詠唱を教えて。しばらくしたのち、
「ファイアアロー」
そういうと、火矢が発生したが、徐々に弱くなり、消滅した。
「うーん。火魔法の適性はなさそうですね。」
「じゃあ、残りの魔法を試してみようか?」
リーザに氷、エルマに水・風魔法の序盤魔法を教えて貰っていたが、
どれもパッとしない出来だった。
少し落ち込んでいるみたいで涙目だ。
「まあ、適性が無いからって落ち込むな。」
「はい。」
休憩しよう。
昼食の後、
「それじゃあ、エルマ先生、弓についてお願いします。」
「分かったわ。それじゃあ、こっちに来て。」
そういうと、的まで案内する。
「あの的に狙って撃ってみて。」
そういうと、弓を撃ったが、あらぬ方向に外れる。
「ちょっと、厳しいわね・・・・。」
「そうか・・・・。」
悩んでいると、
「私には何も力になれないのですね・・・。ごめんなさい。
冒険者は止めたほうが良いんですよね・・・・。」
泣き出したので・・・。
「そうだ!オリヴィア。身体強化魔法が使えるんだったよな?
エマには使えないのか?」
「教えてみるけど・・・・。難しいんじゃない?」
「試しに教えてみてよ?」
そういうと、オリヴィアは身体強化魔法の方法を伝授したみたいで、
試しに使って模擬戦をしてみる事にした。
「身体強化。」
「身体強化。」
二人がそう言って打ち合うが、先ほどと同様にすぐ剣がはじかれてしまう。
「あっ!」
オリヴィアが勢い余って肩に剣を打ち付けてしまう。
模擬用の刃がないとはいえ、金属が打ち付けているので怪我・・・。最悪骨折も
覚悟していたが。
「痛くない?」
「えっ?」
困惑する全員。
「オリヴィア、身体強化して叩きつけたんだろ?普通骨折するよな?」
「ええ。私も剣士として冒険者してたから、魔物もたくさん倒したし。」
「え?怪我無いの?」
「はい、大丈夫です。」
痛がる姿もなく、どう見ても無事な姿が見える。
「まさか、タンク適性があるのか?」
「かもしれませんね。」
そう、エマにはタンク適性があるのであった。
「まさかの盾役か。」
「そうね、意外だったわ。」
「回復するから、魔法をぶつけてみてくれないか?」
「ええっ?」
拒否しそうになる。エマ。
「済まない、だが、確認したいんだ。」
「分かりました。」
「じゃあ、リーザ頼む。」
「分かりました。ファイアアロー。」
そういうと、燃え盛る火矢がエマに飛んでぶつかるが、
「特に痛くないです。」
平然としているエマ。
「やっぱり、エマ。君はタンクだ。」
エマちゃんはタンクの適性があったみたいです。