貴方は、誰ですか?
温かい温もり。
包まれるような感覚。
長い両腕で抱きしめられると、私の頭の中は蕩けてしまいそうになる。
「よしよし」
頭を撫でられるのは、あまり好きじゃないはずなのに、子ども扱いされるのは、嫌なはずなのに。
私の喉からは、甘い囁きが漏れてしまいそうになる。
「んっ」
首筋を触られても、特に嫌な感じはしなかった。
そうしているうちに、片手がわき腹のあたりに触れてきた。
自分でも、瞳が涙で潤んでしまっていると思った。
心の奥から、締め付けるような切なさに、全身の力が抜けてくるのが分かった。
ごろごろと、私はお布団に横たわっている。
(ああ、切ないっ。でも、もっと……)
本能からなのか、かぷりと甘く肌を噛んでしまった。
びくりと、触れている手が一瞬だけ止まる。
(楽しくなってきた)
やられてばかりでは、私も少し物足りなさを感じていた所、少しだけ攻めッ気が生まれた。同時に、心に余裕も生まれてきたように思う。
手と足と、そして時々の甘噛み、相手が興奮するように、撫でる手が荒くなってくるのが分かった。
「痛いよ」
貴方は薄く、サディストのように微笑んでいた。
(ああ、もう我慢が……)
「にゃー」(ごろごろごろ)
結局、私は今日も、喜びを表に出してしまった。
あの手の撫で加減には、どうも勝てそうにない。
そう、私は一匹の猫。
性別は女の子で、貴方に遊んでもらうのが、とても好きな女の子です。
END