流れ星よ、いつか私に
旧年中はお世話になりました。本年も宜しくお願いいたします。
流れ星よ、どうか私に力を貸して。
願いを叶えて、なんて言うつもりはないけれど。
…想いを伝える勇気を下さい。
「あっ、流れ星!」
隣を歩く幼なじみの尚吾が空を指差し大きな声で言う。
俯いていた私が空を見上げても、いつもと変わらない空があるだけで…。
「…見えなかった…。私も見たかったなぁ」
そうしたら、きっと…。
「お前が下ばっか見て歩いてるからだろ。上見て歩いてみろよ。きっとすぐに見つけられるって」
「…そんなこと言われても…」
かっこよくて、頭が良くて、しかも運動も得意な尚ちゃん。
天が二物も三物も与えたような人。
だから、学校中の女子達から凄く人気があって…。
そのせいで幼なじみの私にキツイ視線を向ける人が沢山いる。
可愛いわけでもなく、スタイルがいいわけでもなく、頭が良いわけでもなく…全てが平凡の私が隣にいるのが許せないって、言われたこともある。
…だけど、好きなの。
小さな頃から…そう、物心がつく前から側にいた尚ちゃん。
意地悪な男の子や、大きくて怖い犬から守ってくれて、私の騎士様だと本気で信じてた頃もあったくらい。
格好いい騎士様への憧れの気持ちが『好き』へ変化するのに、時間はかからなかった。
人気者の尚ちゃんと私じゃあ釣り合わない、諦めようと思ったことは何度もある。
でも…この気持ちを捨てられなかった。
ねぇ、尚ちゃん。
今、私がダイエットをしてるって知ってる?
苦手な数学と英語の予習復習を頑張ってること、知ってる?
少しでも尚ちゃんに釣り合うように、私頑張るよ。
だから……。
あなたに想いを伝えてもいいよね…?
「ほら、急ぐぞ。遅くなったら、お前じゃなくて俺が怒られるんだからな」
「ま、待って尚ちゃん…っ」
「あぁ、もう!ほら、手ぇ貸せよ!」
少し早足の尚ちゃんに手を繋がれて、心臓がドキンと跳ねる。
いつも私を守ってくれた、大きな手。
この手を放したくない。
流れ星よ、どうか私に力を貸して。
あなたが好きです、と伝える勇気を下さい。
お読みくださり、ありがとうございました。