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助けてヘルパーさん  作者: 塞翁が馬
8/23

助けて8話目

 獣人の女の子の世話をするようになって半月が経つ、ようやくひどかった傷も治ってきた。連日の世話もこれで報われると言うものだな。まあ、おかげで治癒魔法のコツが大分つかめてきた。今ならより効果的に魔法を使うことも可能だろう。


 獣人とは言っても耳やしっぽを違う事を覗けば、年頃の娘さんに変わりはない。必死に自分にこれは仕事と言い聞かし、下の世話までしてみたが自分だって男だからな……。自分でトイレに行けるようになった時には正直ほっとした。


 ヘファイ様の言っていた融和は、獣人の女の子の話しからすると本当に難しそうだな……。


 リュックから肉と芋を取り出すと水筒の水で芋をさっと洗う。鍋を火にかけて芋を炊く。肉には、下味をつけて串焼きにするか……。どうにも調理方法が少ないな……


「なあ? 何か食べたいものは、ないか?俺はあまりこの世界の料理を知らないから少し教えてほしいんだが?」


 獣人の女の子に相談する。最近は、そこまで露骨に嫌がられないので聞いてみた。


「わ、私はあまり料理をしないから……でもワクの美を練ったものなら得意よ」


 ほう 聞いたことのない実だな


「そうか、じゃあもう少し身体が動くようになったら作ってもらうかな。楽しみしておくよ」


 目標を持たせることもリハビリの一環だしな


「わ、わかったわ」


 芋が炊け、肉が焼けるまでに治療をしてしまおう。そうだ……


「なあ、いいかげんに名前くらい教えてくれよ。いつまでもお前ってわけにもいかないだろ」


「ヒルデ……」


「お? ヒルデか、良い名だな」


「両親がつけてくれたと聞いているわ」


「その言い方だと両親は?」


「ええ。人族に殺されたそうよ」


「そうか……ヒルデも苦労してんだな」


「もって?」


「ああ。俺も子供の頃に両親と兄弟を亡くしている。記憶にないくらい小さいころに事故で、両親と姉が死んだって聞いてる。その後は、施設で育ったからな」


「そうなんだ……」


「まあ、この世界にはそんな奴はごまんといるだろうさ。争い奪い合うって事は、奪うときもあれば奪われる時もあるってことだからな。親を殺した奴を敵と言って殺せば、その子に親の仇と言って殺される。それとな、これだけは言っておくが、どの種族にも良い奴と悪い奴がいるからな。全部を恨むのはやめておけ。俺はかたき討ちを止めはしないが、無差別に殺すのは止めるぞ」


 ヒルデは、顔を手で覆う。


「私は、リザードマンたちに殺されてもおかしくなかった。それだけひどい事を私達は彼らにしたから……。自分ばかりが、親が殺されたから……相手を恨んでも、殺しても良いと勝手に思っていた。でもそれは違う。私は、そんなことがしたかったんじゃない……」


 嗚咽をこらえきれずにヒルデはわんわんと泣き出した。泣く子には、どうしようもないな。俺は仕方なく、ヒルデの頭をそっと撫でた。


「お前だけが悪いわけじゃないさ」


 鍋の中の芋と焼ける肉の加減をしながらヒルデが泣き止むのを待つ。


「ねえ? トシヤ……私はどうしたらいいのかな?」


 ようやく泣き止んだヒルデが道を求める


「そうだな、俺は、種族間の争いを減らし、共存の道を探している。もし、ヒルデが、ヒルデのように苦しむ仲間たちを増やさない事を目標にするのなら一緒に来ないか?」


「人族と獣人族の争いもなくなるの?」


「そんなすぐにはなくならないな。でもな、争いは減らす事ができるかもしれない。苦しむ人を……涙する子供を救えるかもしれない」


「涙する子供? 私のようにならないように……」


「俺は、襲い来る者は、倒すし殺すかもしれない。だが、俺から襲うことはない。可能な限り、話し会いで融和の道を模索したいと思っている」


「私じゃ役に立てないよ……」


「そんな事はないさ。俺には特別な魔法もあるからね」


「特別な魔法?」


「ああ、それはきっと俺達の目標をかなえる力になるはずだ」


「じゃあ。私は、トシヤについていくよ。そして少しでも犠牲者を減らすの……それが私に課せられた責任だと思うから」


「ああ。了解だよ。これからよろしくなヒルデ」


「こちらこそ。それと、今まで色々とありがとう」


 最後の方は、声が小さくて聞き取りにくかったが気持ちは十分に伝わった。俺は、ヒルデの手を握り、治癒魔法をかける。するとこれまでにないほど光は強く輝き……ものすごい早さで傷を塞いでいった。


「こ、これって?」


「ああ、言っただろ……特別な魔法だって。俺達が、同じ目標に向かって進む限り、こんな奇跡も当たり前になるんだ」


 瞬く間にヒルデの怪我は全快する。身体の動きを確認するようにピョンピョンと跳ねたりするヒルデがトシヤの顔を見る。


「ね、ねえ。なんか身体も軽いし怪我する前以上に力もみなぎるんだけど?」


「それも奇跡の一端だな。さあ、怪我も治ったことだし、まずはワクの実でもごちそうになるか?」




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