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助けてヘルパーさん  作者: 塞翁が馬
22/23

助けて22話

 高さ2mあるかないかの木で作られた門と壁が森の中にぽっかりとできた村を囲っている。案内されたホビットの村は、自然をうまく利用してはいるが、かなり高度な建物が立ち並んでいる。身長が1m少しくらいしかないホビット達がこちらを見るとどこか小人と接しているような感覚になる。


「長老の家に案内するよ」


 ホビット達の視線を受けながら村の中を進む。物珍しいのか口をポカーンと開けてみる子供のホビットに手を振り、友好的に振る舞う。案内されたのは、ホビットの長老と言われる代表者の住まいのようだ。


「長老ー。客人を連れてきましたよ」


 案内したホビットが、建物の中に声をかけると白い髭を豊かにたくわえた老人が現れた。


「なんと・・・人族?と獣人族の客人か・・・。猫族ではない獣人族とは・・・珍しいのぅ」


「ヒルデ。獣人族って種族が色々あるのか?」


「そうよ。私達狼族の他にもたくさんの種族があるわ。人族の国がたくさんあるように獣人族にも色々な種族がいて国や街を作っているわ。人族の街で猫族や犬族、キツネ族、熊族なんかに会ったって言う仲間がいたからきっとそれぞれの種族が暮らす場所があるはずよ」


 そうか・・・獣人族にもかなりの種族があるのか。人族の次に人口が多いのが獣人族と聞いていたが、獣人族の中にも細かく分ければ種族があるってことだ。


「獣人同士は、仲が良いのか?」


「そんな話しは聞いたことがないわね。人族が嫌いって事でなら一致団結できるかも知れないけど、一緒に生活しているわけでもないし、火種があれば争うこともあると思うわ」


 なるほどな。獣人同士でも仲が良いわけじゃないのか。まあ、人族同士だって争うくらいだからな。


「おまえさん方は、ここに何をしに来なすったのじゃ?」


「俺達は・・・」


 どこまでホビットに伝えるかを不意に迷う。


「俺達は、旅をしているんだが、色々な種族に会ってみたいと思っている」


「そうか・・・旅をのぅ・・・」


 ホビットの長老が案内してきたホビットに視線を移す。案内してきたホビットが頷くと


「まあ、こうして会ったのも縁じゃろうし。良かったらここに滞在していきなされ。何があると言うもんでもないが、好きなだけいてくれて構わないでのぅ」


「ではありがたく」


 再び案内してくれたホビットに連れられ村の中にある一番大きな建物まで行くとここで寝泊まりしても良いとの説明を受ける。しかし、最も大きなこの建物も俺やポコロが入るには常に背をかがめる必要があった。まあ、横になるだけなら膝をついて進めば何とか入れるし横になるだけのスペースはあるから我慢することになった。3人だけになると


「ねえ。どうして旅の目的を長老に言わなかったの?」


「そうそう。私も気になったの」


 ヒルデが聞き、ポコロが連なる。そう・・・なぜ目的を告げなかったのか。


「少しだけ違和感を感じた。うまく言えないが、何かを俺達に隠しているような気がしたんだ」


 その違和感が何かがは、自分でもうまく言えないが・・・


「まあ。トシヤが何かを感じたのならば私は信じるけど」


「そうね。私も良いけど何かあったらちゃんと教えてね」


「了解わかったよ。俺にも別に何ってものがあるわけじゃないんだ。今回は、なんとなくってのが正直な感想だしな。この後、少しここに滞在して様子を見る。それで何もなければ残る2つの種族のどちらかに接触してみるつもりだ」


 今後の事について少し相談し休息しているとホビット族から夕食が差し入れられた。何かの魔物の肉と森で採れた木の実のようなものなどだ。ごちそうと言えるほど豪華でもないが、もてなしてくれたのだろうと感謝していただいた。


 次の日には、ホビットの村の様子を見るため村へ出たが、村の子供たちもびっくりするからと言う理由で断られた。確かに子供たちには怖いのかもしれない・・・。俺達は、長老が用があると言うので再び長老の元へ向かった。


「それで、何か御用があるとか?」


 長老に呼び出された理由を尋ねる


「いやな・・・。案内したホビットに聞いたところお主たちは、森に住むあのカマキリをも倒すと言うではないか・・・。我らにとってあのカマキリは到底かなわぬ魔物じゃもんでかなりの勇者と考えたのじゃ。もし、よければじゃが我らの力になってはくれまいか?」


「俺達は、内容によっては協力もしますが、何をすれば良いのですか?」


「それなんじゃが、実は我らの村に代々伝わる宝玉を獣人族の元に届けてほしいのじゃ。我らと獣人族は敵対しているわけではないが、交流もなく言葉も通じない。ただ、宝玉を届けに行っても意味は伝わらないのじゃ。そこで、聞けばお主らは多くの種族の言葉を知ると言う。是非、我らの言葉と共にこの宝玉を届けてもらい。獣人族とホビット族の友好の証としたいのじゃ」


「そんな大切な物をなぜ獣人族に渡すのですか?」


「どのような大切な物でも友好のためなら安いものじゃよ。我らは争いは好まぬからの・・・湖を中心に暮らす我らが仲良く過ごすためなら努力は惜しまんつもりじゃ」


「ホビット族は、友好のために宝物を差し出すのですか?」


「それも1つの方法じゃと思うとる。信頼を得るには誠意を示すことも必要じゃしの」


「まあ、それくらいでしたら引き受けますが、獣人族には何と言葉を伝えればよいのですか?」


「ああ。それは難しいものではない。ただ「我らの友好のために」と伝えてもらえればそれで良い」


「それだけで良いのですか?」


「それだけで十分じゃよ」


 ホビット族は、友好のために自らの宝を差し出し獣人族との和を願うか・・・。


「では、魚人族とはどうするのです?獣人族とホビット族が仲良くなれば当然魚人族との間にしこりができるのではないですか?」


「それなんじゃが、先日、我らの仲間が湖で水を汲んでいるところを襲われての・・・数名が怪我をすると言うことがあったんじゃ。幸い死人は出ておらんが、魚人族には荒っぽいのが多くて難儀しておる。少し時間をおかんと友好も何も進まんと考えたのじゃ。そこでまずは、我らと獣人族が歩みより、魚人族に声をかければ晴れて共存も可能じゃと考えたんじゃ」


 なるほどな。確かに2種族から提案を受ければ最後の種族も輪に加わりやすいだろう。それにしても共存を望む種族がいるとはな・・・。この世界も捨てたものではないな。


「わかりました。その依頼引き受けましょう。大切な宝物を届け友好の言葉を伝える事にしましょう」


「そうか。引き受けてくださるか。本当にありがたいことじゃな言葉が通じる者がこのタイミングで現れるとは願ったりかなったりじゃよ」


 長老は、喜びながら懐へ手を入れると懐から大きな水色の宝石を取り出した。


「これが、我らの宝。ブルーサファイアじゃ。確かに貴重な物じゃが、我らの未来のためなら惜しくはない」


 長老は俺にブルーサファイアを渡すと「頼みますよ」と言って頭を下げた。


「あなた方には、お礼に我らが作った。弓一式をお渡ししましょう。我らは弓を使う種族ゆえ、弓づくりは得意での・・・。この弓は一族の自慢のものじゃ」


 そう言うと弓一式を差し出した。別にお礼はいらなかったのだが、弓は今後の事も考えると持っていても良いと考え遠慮なくいただくことにした。


「それでは、さっそくですがこれから獣人族の元へ向かいます」


 3人は、ホビット達に見送られ獣人族の元へと向かい旅だった。



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「獣人族の猫族ってのは、どんな種族なんだろうな?」


「そうね~。猫族は素早い身のこなしができる種族よね」


「ヒルデよりも素早いのか?」


「今の私なら別だけど、以前の私なら適わないと思うわ。」


 スピード特化した種族だな。


「まあ、どちらにしても会って見なければわからないからな」


「そうね。実際には、会って話しを聞かないとわからないものね」


 俺達は、湖の西側を目指して北上する。



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