助けて2話目
おじいさんは、どうなったかな……助かると言いな……
僕は、ふと意識を戻すが、目が開かない。僕はどうなったんだろう……がれきや木材の下敷きになって無事って事はないだろうな……。病院かどこかで包帯でぐるぐるまきにでもされているのかな?
「いえ……」
ふと耳に誰か知らない人の声が聞こえた。看護師さんかな?でも言葉が出ない……
「いえ、あなたは、すでにあちらの世界では死んだことになっています」
死んだ……。そうか……そうだよね。僕は死んでしまったのか……。でも看護師さん?の言うあちらの世界ってのはなんだろう。生前の世界と死後の世界ってことかな……
「少し違いますね」
僕の言葉が聞こえるの?
「ええ。あなたの声は聞こえていますよ」
あなたは?
「私は、ユーテリア。あなたの中では……そうですね神と言う言葉が適切のようです」
神様……
「そのようなものですね」
僕は、死んだのですか?
「はい。あちらの世界で瓦礫に潰されお亡くなりになりましたよ」
そうですか……あ、一緒にいたおじいさんは助かったのですか?
「おじいさん? ああ、はい。あなたが助けた方は無事のようです」
よ、よかった~
「あなたは、ご自分の命よりもおじいさんが大切なのですか?あのおじいさんは、あなたの親でも家族でもないでしょうに」
そうですね家族とかではないです。でも僕は、おじいさんが助かってよかった。
「変な考え方ですね」
そうですか?僕はこれが普通なので……
「まあ、あなたが変わり者だと言うことは問いません。それよりもこれからの事を私から話させてもらいますよ」
これから?僕は死んだのですから天国とか地獄とかに行くのではないですか?できれば地獄よりは、天国が良いのですけど……
「そうですね~ でも少し違います。あなたが向かうのは、天国でも地獄でもなく別の世界です」
あ、それって輪廻転生とか言うやつですか?
「近いですけど、それも違いますね。あなたは、そのまま別の世界へ旅立つことになっています」
別の世界へ?
「そうです。あなたは、あなたが暮らすことになる世界の神より、招待されていますのでその神よりギフトを授かりその世界へ迎えられます」
なぜ僕が招待されるのでしょう?
「それは、向こうの神でなければわかりませんね。私は、この世界の神としてあなたを次の世界に送る側の神ですから……」
ギフトとはなんですか?
「ギフトとは、神が与える奇跡のようなものです。私の世界にはありませんが、あなたが向かう世界には、あなたの常識にはない生き物や暮らしがあります。きっとあなたには、その世界で暮らす上で貴重な何かしらの力を授かる事でしょう」
あなたにもわからないのですか?
「私の世界ではありませんからね。向こうの事はわかりません」
そうですか……僕は、すぐにも向こうの世界へ向かうのですか?
「私が、送ればすぐですね。誰かに何か伝えたい事とかはありますか?」
あの……僕には両親も家族ももういないので……
「そうですか……わかりました。それではあなたが良いならこれから向こうの世界へあなたを送ります」
はい大丈夫です。色々とありがとうございました。
「私は、あなたに何もしていませんよ。むしろ、向こうにあなたを送る事で向こうの神から対価をいただけますので私の方が感謝したいくらいですから……」
いえ、この世界を作られたのは、ユーテリア様なのでしょう?僕がいるのもユーテリア様のおかげですからね……ありがとうはおかしくないですよ
「最後まで面白い事をいいますね。さあ、向こうの神が待っていますから」
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ユーテリア様のお姿は見る事ができなかったが、きっとやさしい顔をされているのだろうな……
僕が目を覚ますとそこには、大きな熊? のような塊があった。
「おお。気がついたか……と言うことは、無事に送り届けられたのじゃな」
熊のような塊からは、想像できないようなやわらかい声が聞こえる。
「あの……」
僕が熊のような塊に声をかけるとその塊は、ゆっくり立ち上がり熊のような人が現れた。
「はっはっは。まずは、初めましてじゃな。わしの名は、ヘファイ。この世界の神をしておる」
「神さまでしたか……」
「なんじゃとおもったんじゃ……」
「いえ……その……」
「まあええわい。わしが、ユーテリアに無理を言ってお主をよこしてもらったんじゃからな」
「それなのですが、僕は、どうしてこの世界に招待いただけたのですか?」
「うーん。少し長い話しになるが聞いてもらえるかの……」
そう言うとヘファイは、僕にこの世界の事について話し始めた。
ヘファイは、自分が作ったこの世界をグリモールと呼んだ。ヘファイは、グリモールに、多くの種族が暮らせるような環境を用意し、住まわせることにした。
グリモールには、人族、妖精族、巨人族、竜族、不死族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族などがおり、ヘファイが作った大陸や海にそれらは散らばり種族毎に暮らすことになる。
最初こそグリモールは、それらの種族毎にどんどん繁栄していったが、幾つかの種族が他の種族を攻撃するようになると種族間の争いが絶えなくなった。
ヘファイは、種族が違っても共存できるものと考えていたが、その考えが間違いだったことに気付くのにそれほど時間はかからなかった。
人族は、最も数が多く野心的で他種族を従わせようと戦い始めた。
妖精族は、数が少なく争いを好まない性格から深い森に隠れるように住むようになった。
巨人族は、数が少なく自分達が住む山脈に巨大な城を築き他の種族と自分達を遮断した。
竜族は、より強者にならんと戦いを求めて世界に散った。
不死族は、ダンジョンの奥へと籠り外部との関係を絶った。
獣人族は、森や荒野を中心に他種族からの略奪を繰り返していた。
エルフ族は、森に住み。中立の姿勢と他種族との不干渉を貫く。
ドワーフ族は、他種族との融和を考え、他種族の中に溶け込む道を選んだ。
他の種族もそれぞれ、自分達が進む道を歩む
ヘファイは、種族が争う事すべてを否定はしなかったが、一方的に1つの種族が滅ぶ事は望んでいなかった。
この世界には、争い以外に道はないのか?
ヘファイは、その問いに答えを出すための鍵を探した。
「それが、君と言うわけじゃ」




