帰還4
本殿へ移動の最中、リーナは繰り返しこちらをみてはぶつぶつと
独り言をつぶやいていた。
そして本殿へ大神官に状態を診てもらう。
「うーーむ。リーナ殿…特にこのお方は何も呪い等受けられてないのう」
「身体共に非常に健やかとみうけられる。」
「そ・そうですか。では記憶のほうは…?」
「それはわからないが、なにか戦いの途中で強い衝撃を受けて
忘れる事は多々ありそれかもしれん。」
「ただ一つ言えることは彼は身体共に健康であるという事じゃな」
「あとは時間に身をゆだねるしかなかろう」
「…わかりました。大神官様ありがとうございました。」
リーナがお礼のお金? らしきものを大神官の使いに渡す。
どうやらこの記憶喪失は魔法等ではないという事ははっきりしたらしい。
大聖堂前
「えと…そのごめんなさい」
「え?! いやいや、自分がむしろ謝るというか感謝を言わなきゃというか」
「記憶…結局もどらなかったし」
「そんな…むしろここまで保護してくれて助かったというか」
「お金もださせてしまって…本当にどう感謝を表していいのか」
「今日診てもらった代金は必ずなんとかしてお返しするから」
「そんな大したお金じゃないから…気にしないで!」
「でも…なんで…ゲート内に…」
「えっ?」
「あ、いやなんでもないから…」
きまずい空気が流れつつもリーナが切り出す。
「えと、行くあてはあるの??」
「あ、行くあては…ははっ…もちろんない…よね(汗」
「そ。そうだよね! ごめん。何言ってんだろわたし」
「あの、じゃあこれから一緒にご飯でもどうかな??」
「近くにみんなと合流予定の酒場までなんだケド…?」
「も・もちろん!! 行っていいならぜひ!」
そうして合流地点の酒場へ移動する。
途中変な、温い空気を醸し出しながら…移動する。
酒場周辺は歓楽街にあたるらしく、冒険者たちが日ごろの
労をねぎらうべく繰り出し、大変な喧噪のなか人々が入り乱れていた。
いろんな大小の酒場や、布面積の非常に小さい服を着た
色っぽいおねーさんが立って手招きしてたりと
――手招きをみてたらリーナの鋭い目線が――
様々な誘惑にかられつつ、酒場の前に到着。
酒場:シロレッツの泉
そう書いてある酒場には店内に多くの先客がおり、大そうにぎやかであった。
そういえば…自分この言葉読めるんだな。
何者なんだろうか。もしかして記憶失う前は学者とかだったりして。
くだらないことを考えつつ、店内へ入る。