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「バン」から始まる英雄譚!  作者: こじましようこ(裏)
第二歩:キミが歩く道は
33/46

新装開店!

「……んで、朝帰りまでして作った箱ってのがコイツか?」


試作品作るのに没頭し、日をまたいで既にお昼。


「なんか言い方に棘ありますよね?」


箱を手に取って、ジロジロながめるおやっさん。


「私よく意味がまだ理解できていないのですが、結局どういう物なんですか?」

「なんかすげぇもんだとはわかるがなぁ。」


おやっさんから箱を受け取り、ガリンが指先一つで器用にクルクル回す。


「まぁようするにさ、この箱に詰めればビッチが腐らないって事だろ?ダイコ」

「そうです。永遠にってわけではありませんが。」


ガリンから箱を奪い返す。


「まだどのくらい保たれるのかが分かりませんが、冷熱実験では

10時間はそのまま保たれました。」

「熱いものや冷たいものが、そのままに状態が維持されるって事ですか?」

「うん。入れた時とほぼ同じ状態が維持される。」


へぇ~っと言ったまなざしで箱が注目される。


「熱いお茶を入れれば、それがそのまま保たれるってなぁすげぇな」

「もちろん蓋を閉めた状態で、ですけど。大気に触れた状態ではそんなに保てません。」

「ダイコ、これはビッチの鮮度も、そのまま保つって考えていいのかい?」

「ええ、野菜のシャキシャキ感も、作った時そのままに保たれると思って大丈夫です。」

「それは料理人にとっては、すごくありがたいものだねっダイコ!」


「んでぇコイツを量産にかけたいってわけだ?」

「はい、開店まであと二日ですよね? それまでに十分な量ってわけには

いきませんけど、試作品を試験販売して、反応を確かめたいです。」

「開店間際にまた大変な仕事もってきたなぁ」


苦笑いのおやっさん。


「すいません。この生産については、陣頭指揮をとってくれる人もいますので、

おやっさんは設備等環境を整えてもらえれば大丈夫です。」

「わかった。ひとまずは新しく拡張した厨房の、2Fで作ってもらうことになりそうだなぁ。」

「そうですね。研究場所も併設しましょうか。」

「ボクはとりあえずビッチ作って、どれくらい鮮度が保たれるか実験する事にするよ♪」


そう言い箱を手にとるガリン。

これで、再出発に必要なものはすべて整った。

あとは開店を待つばかりだ。


それからすぐに、フレイアが引っ越してくる。

2Fをフレイアの自室兼研究所として、割り当てることが決まったのである。


「フ、フレイア・ランティスです! よ、よろしくお願いします!」

「嬢ちゃんが箱開発したのか。ずいぶんと若けぇなぁ」

「い、いえ、独力ではとてもとても! ダイコさんの協力がなければ私一人では…」

「フレイアさんよろしくね! 一緒にがんばりましょう!!」

「とりあえず、フレイアが開発研究を取り仕切ってもらうから、協力よろしく頼む。」

「そしてフレイア、2Fはお前の自宅として利用するのはいいんだが…」

「は、はい!」

「第二の魔界城にするなよ?」


まわりは なんのことだ? という顔をする。

しかし、ダイコは今後幾度となく、魔界城を目の当りにすることになる。

そしてその夜、新装開店前夜。


「これで準備は万全だなぁ」

「そうですね。生産体制も整いましたし。後は明日を待つばかりです。」

「ここまで凄い早さできましたが、いよいよ本格的に始まるんですね。」

「あぁ。最初のドタバタっぷりは、すごかったけどな。」

「よくこんな短期間で、体制整えられたもんですね。自分で言うのもなんですが、奇跡ですよ。」


そこでフレイアがやってくる。


「ダイコさん、とりあえず保霊箱を100個用意しました。」

「ありがとう。開店前に、とりあえずの量を確保できただけでも素晴らしい!」

「まだ、生産にもお金かかりますし、何より一度に大量に作る事は、難しい品です。」

「大量生産するのはまだ先でいいよ。今は、商品として完成度を上げていこう。」

「そうですね!」

「そういえばビッチは、どれくらいの期間鮮度もっているんだろ。」

「今の所、30時間を経過してますが、鮮度は変わりありません。作りたてのままです。」

「凄いな。30時間か。」

「あの調子じゃ、3日は確実に保てそうです。」

「あとは箱の保存特性付加が、どのくらいの期間保障されるかだな。」

「そこらへんは、時間がかかりそうな検証ですね。」

「当面は、使い切りの試験販売という事で。値段もほぼ、原価で売り出したいと思ってます。」

「ま、そりゃそうだな。」

「箱も改良を重ねつつ、ある程度検証実験の結果が出そろった段階で、

大量生産に踏み切ることにしましょう。」

「わかりました!」

「それと、フレイアにはもう一個平行して、実験してもらいたいものがあるんだ。」

「なんでしょう??」

「それは………」



新装開店当日。お店は2時から作業開始。

厨房には、ガリンの指示する声が響く。


「今日は天才が作る、スーパーなビッチを世に出す初日だよ~ みんな気合い入れてね~♪」


……ほおっておこう。ああ見えても腕は確かだし。ウザいけど。


前日の夜に最後の試食をしたとき驚いた。今まで自分たちで作っていたサンドビッチが、

別物みたいに思えるほど、完成度が増したサンドビッチがそこにはあった。


「どうだい? この天才がエッセンスを加えたスーパービッチは♪」


スーパービッチ……サンドビッチは貴婦人なんですけど…

しかしこれは…同じものとは思えないくらいに旨い。


「く、くやしいですけど……私たちが作るビッチより数段上です。」

「ふぃぃぃぃ! スーパービッチ感激ですぅ!!」


リズいたのか。


「パパ、また腕を上げたね。ムシャムシャ。」

「愛する娘に褒められると、とても嬉しいねぇ♪」

「認めざるを得ませんね。これは。」

「ダイコくんに認められて、ボクは嬉しいさぁ♪」


たしかに本物の天才だこの人。ウザいけど。

おやっさんの周りには、一芸にとがった人ばかりいるなぁ。


「他にもファロンが見つけてきた食材を使って、新しいレシピを考案中さぁ~期待しててね♪」

「期待してるぜぇ ガリン!」


自分も期待してますよ! ガリンさん!! ウザいけど。


朝一で200人いようが、問題なさそうな仕込みの量。

すでに500人分の調理も、ほぼ済ませている。どんとこいだ!




5時頃。リズが慌てた顔で知らせにくる。


「ふぃぃぃぃ!! ダイコさぁん! 外が!」

「外? なんかあったのか? まさか…ケンカでもしてるのか?」

「ふぃぃぃぃ!! 人が 人がぁ!!」


埒あかん。自分の目で見てこよう。

2Fの自室窓から辺りを見回す。えっ…

人で通りが埋め尽くされている……

何人いるんだ?!200?500?もっと??

慌てて厨房へかけていく!


「ガリンさんっ! 今、どれくらい完成品ありますか??」

「なんだい慌てて。今はようやく500ってとこかな♪」

「作るペースを上げてください! その倍は開店時ほしいです!」

「倍もかい??」

「通りが人で埋め尽くされています! 1000人じゃきかないかも…?!」

「なんだってぇ? それは一大事♪」


厨房に緊張が走り、ガリンが指示を飛ばす!


「天才のデビュー戦には、もってこいの状況だね♪ みんなペースあげるよっ!」


スイッチが入ったかのように、全員キビキビと動き出す。

なんだかんだ言ってこの人、すでに厨房支配してるな。ウザいけど。



そして、売り場スタッフ全員に状況を説明。全員の顔がひきしまる。


「あんたたちっ! 今日は絶対に失敗できないよ!! いいね!!」

「「「はいッ! メイシャお姉さま!!」」」


全員が声を合わせて、メイシャの檄に応える。

ん?メイシャお姉さま??

こいつは何を作り上げようというのか……


しかし、そんなことを取り上げている余裕はない。

列の整理で外に出る。

改めて商店前の通りを見渡す。こんなに人が集まることは初だな。

これ以上集まると、開店時間を切り上げる事も考慮しないとマズそうだ。


まだまだ集まる人々の群れをみて、開店時間を1時間繰り上げ、6時に変更決定を

全員に伝えるダイコ。それに伴い、開店作業は急ピッチで進む。


6時。新装開店時間になった。

ダイコが店前に設けてある、高く備えた宣伝台の上に立つ。


「みなさま大変おまたせしました!!!」

「只今より、営業を開始します!!」


その言葉と同時に、店の出入り口が開かれる。

大歓声がその場で起こる。


殺到する店内。メイシャを筆頭に、全員がそれぞれのポジションに付く。

グランジーナは会計にまわる。

リズは補充に、ダイコは列整理に全力をあげる。


そこには開店当時と比べて、遥かに強化された連携が、そこにはあった。

スムーズな会計、補充。お客様対応を始め、パニックになっていた

昔の面影が、そこにはなかった。


「頼もしくなったな。」


一人呟くダイコ。


圧倒的なお客様で埋め尽くされた、新装開店初日。

それは当然のごとく、無事終了した。



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