援軍?
「あーーーどこほっつきあるいてんのかしら!!」
「まぁまぁ。でもほんと保護者ね。リーナって」
なだめるマルヤにご機嫌斜めのリーナ達
「一緒に飲んでたおっさんの身元も分かったし、もう見つかったも同然じゃねーか」
そう右に位置するのは蒼眼クランの特攻隊長 ガラン・バークセール
蒼眼クランの一番槍としても知られる騎士のガランは
面倒くさそうになだめすかす。
「団長がそこまで肩入れするほどの男なのですか? そのダイコって人は」
後方から言い放つのは 蒼眼クランの魔呪師 ペイロット・ハングス
金髪マッシュルームカットお坊ちゃん風の彼は無関心そうに付き従う。
「うるさいわねっ! 嫌ならついてこなければいいのに!」
「そうはいかないでしょう団長。」
「蒼眼の団長一人うろつかせるとかクランの恥ですよ」
「ほんとオメーはそういうとこ気にしねーよな。」
「ふんっ」
ふくれっ面のリーナをなだめるマルヤ。
「ここらへんだろ。インダストリー商店ってのは」
「この通り面にあったはずなんだけど…」
「なんでしょう? あの人だかりは」
「なんだ? やけに騒いでるな。ケンカか?」
ウズウズし始めるガラン。
「地図ではちょうどあの人だかり辺りだけど」
「行ってみましょう」
ドカッ…バギ…おぉぉぉ!!!
「随分もりあがってんなぁ・・おいそこの・・お前だよ」
「なんだよ…! 今いいとこなんだから…ん?」
「お、おまえは…蒼眼の狂犬??!!」
「ずいぶんなご挨拶だなおい」
「ひぃぃぃ! 悪気はなかったんだ! 口がすべったというか…」
「十分悪気だろそれはよぅ」
「狂犬だってっ…ぷぷ」
「うちの狂犬が驚かせてすまない」
「あぁあなたは蒼眼のリーナ…団長!」
「狂犬じゃねーーよオレは!!」
「ところで、この騒ぎはなんなのですか?」
「ケ・ケンカですよ! なんでも新しく開店したお店の前で」
「店前に立っていた若い従業員が絡まれまして」
そこで間髪入れずに真面目な顔した狂犬が告げる。
「おいリーナ…あれ赤蛇だぞ」
リーナと頭3個分ほどの背丈の差がある大男のガランは
群衆の壁お構いなしに騒動を高い位置から見定める。
「赤蛇? あの蛇か?」
「は、はい! 赤蛇のジャランです!」
赤蛇…これはとあるグループを指した言葉で、
蛇鎌クランが正式名称の歴も長く、由緒あるクランである。
約120年前ほどに結成され、100年前の大戦時に名を馳せた
武闘派としても有名なクランでもある。
その中でも悪名を轟かすものがいる。
目の前に立っているジャラン。赤蛇のジャランである。
血を見ることが大好きなジャランは、冒険者の中でも特に残酷な殺し方を
することでも有名である。過去にゲートで遭遇したものが言うには
ゲート内が血の雨でも降ったようなひどい状況だった・・との報告が全土に広まり、
それを揶揄してか、赤蛇と呼ぶようになった。本人はご満悦だったそうだが。
冒険者としても一流で、第1級冒険者でもある。
残忍さがなければ超級入りもあったといわれるほどでもある。
中央街でも毎日のように騒ぎを繰り返し、ギルドからいくら処罰をくらっても
一向に変わらない男。ギルドにケンカを売り続けている男。
そんな男がケンカをしている。
それだけで異常事態=日常茶飯事ということは言うまでもない。
「割って入るぞ。続け!」
人の波をかき分けて入りこむリーナ。
それに続き、マルヤとペイロットはいつでも詠唱が入れる準備をする。
だが…狂犬は身構えることもなく意外な一言を放つ。
「ちょっと待てよ。面白い展開だぞこれ」
悪そうな顔を覗かせて戦況を見つめる。




