きっかけは店の前
通りはざわつき、帰還してくる冒険者も足を止め野次馬として参加する。
まずいぞこれ!
隊長はメイシャの腰をぐっと引き寄せ…
「さぁ行こうかねーちゃん」
リズは手下に拉致されそうになってる!
「はわっはわっ・・はわわわ・・・(白目」
なんかの物語にありがちなシチュエーション!
なんとかせねば!! そう思った瞬間、ゴロツキ集団の腰元に目が留まる。
「剣 ?!」
武装している…!
こっちは丸腰。おまけに戦闘経験どころか
人をなぐった経験すら怪しい自分。
やれるのか…いや、やるんだろ!! おれ!!
なけなしの勇気を振りしぼり突っ込め!! おれ!!!
隊長と呼ばれるゴロツキめがけてタックルをかますも…
手下が間に入ったと思いきやダイコの左手をとって軽くいなす!
受け身も満足に取れず「ぐえっ」と情けない声を発してしまう。
「ダイコ!」
メイシャが叫ぶ。はわはわ・・(以下略
「なんだおまえ。逆らうなら容赦しねーぞ」
「おい、しなねぇ程度に痛めつけてやれ」
隊長と呼ばれるゴロツキは店前あたりを見回し
「腹減ったな…商品タダでくれるっていうじゃねーか。」
「 全部もってこい 」
「「「 へいっ!!! 」」」
なんだと…?
お前らに全部この商品をあげるだと??
世界で一番おいしいサンドビッチをおまえらに食わせるだと!??
これはお前らみたいな屑が食べるためにつくってんじゃねーんだよ!
がんばっている冒険者のためのものなんだよ!
そしておれらの明日のための…大事な商品なんだよ!!
ブチン
なにが頭の奥か切れたような、そんなイメージが
頭はすっきり…そして視界は……
なんだろう。 このゴロツキ達に変な…いや
湯気?? 煙?? みたいなものが見える。
ゴロツキだけじゃない。
野次馬も、メイシャにも、リズに同様の煙が見える。
ただゴロツキとメイシャ達とは決定的に違うものがある。
量だ。メイシャやリズは薄く纏っているだけ。
ゴロツキ…特に隊長はその何倍もの煙が体中に纏わりついている。
わかる。いまならわかる。これは身体エネルギー……だと思う。多分。
煙の流れに沿って体が動く。次の動作が容易に読める。
なによりも時間がゆっくり流れているような気分だ。
再び手下と隊長の前に立ちはだかる。
「なんだぁ?? 文句あるのか? こしぬけ!!」
手下は身構え拳を繰り出す…が
繰り出したパンチを難なくかわす。
拳の動きがスローモーションに瞳は映る。
「てめぇ! かわしてんじゃねーーよ!」
何発も繰り出す拳をゆっくり見ながら優雅に右左・・・
近づいて拳にキスできそうだな。
何発も拳を繰り出しては全てかわされる手下は距離を取り、
業を煮やして腰元の柄に手をかける。
「おめぇが悪いんだぞ! 抜かせやがって」
野次馬は騒然とする。抜いた!!
騒ぐ周りを無視するかのように
ダイコは突っ込む!
「な・なめてんじゃねぇ!!」
突き出す剣先がゆっくりと伸びてくる。
なんだ? こいつはヤル気あるのか?
突き出す剣先をゆっくり眺め、そしてギリギリの所で躱して
合わせるように煙の一番薄いみぞおち付近へ、思い切り拳を突き立てる!
ボゴォォォ……!!!
白目をむいて倒れ込む手下A。
ん? A? まぁいいか。
驚く手下たち。そして怒りの顔を見せる隊長。
メイシャを乱暴に振り払いそして…
「高くつくぞ…血の雨だっ!」
予期せぬ展開に野次馬が歓喜喝采!!騒ぐ騒ぐ。
そんな騒ぎに気付き近寄る集団があった。




