開店!
万全の準備は終えたはずだ!そう心に念じるように扉を開放し
開店初日が始まる。
「うーーーさぶっ!」
「はわわわわわ…ぶるぶる」
通りはそこそこ人の流れがある。そこそこ武装した冒険者もいる。
だが視線が痛い。うん。奇抜な恰好した女が寒そうに震えて立っている。
これはアカン!!
「えーーみなさま毎度おなじみのインダストリー商会です!」
「このたび新しく生まれ変わったこのインダストリー商会に」
「なんと! 世界初といっていいでしょう!! 新感覚の食べ物をここに発売します!」
「とはいってもどんなものか食べてみないとわからないでしょう!!」
「今回・本日限りではありますが、試食をご用意しております」
「ぜひ皆様一度だけお試し下さい!!!!」
しーーーん……反応なしっ!
「リズっ! メイシャ!!」
「はわ・はわ…!」
「みなさぁーーん! おひとつ・一口試してみてくださいぃ~」
リズは相変わらずはわはわ。メイシャは度胸あるな。
だが一向に試食をためしてくれない。30分が過ぎ…
みな色物をみるような目で近寄ろうとするも…なにか警戒している。
おいおいタダだぞ! 今後試食なんてやらないんだぞ!!
心で焦りつつも…まだまだ始まったばかり。これからだ。
それに…切り札はまだある。
そう時計をみる。16時を過ぎた。
あと1時間…
「ねぇ…ダイコ」
「ぜんぜん喰ってくれないじゃん!」
「どーすんのよ。これ」
「とにかくいまは耐えろ」
「耐えろって…もうすぐ17時過ぎよ」
「確かにそろそろ冒険者たちの帰還がピークの時間だけど」
「これだと余計警戒されちゃうんじゃないの?」
確かにそうだ。人か少ないからこのイロモノ商店に入る勇気がないのかもしれない。
人の流れが多くなると、その流れに商店が目立ちづらく
むしろ埋没してしまう恐れの方が高い。
そのために行列を作っておく必要があるのだが…
まだか……
そこへ、近づいてくる集団が…
「おもしろそうな商店あるって言ってたがここか?」
「へい! 隊長!」
「ふーん」
いかにもガラの悪そうな集団だがむしろ…やっと来てくれた!
「おほん! …ありがとうご…」
「しかしへぇ…誘うような服きちゃって…」
小男が遮るように二人に投げ掛ける。
「こんなだれも客も寄り付かないとこで震えちゃって」
「俺らと今から暖かいとこでゆっくりしよーぜ!」
え?? なんか…段取り違うような…
いや、アドリブ? アドリブだな?!
憎らしい演出だなっ! だが脱線はまずい。
「おほん!!! お客様ありがとうございます!!」
「あぁなんだおめぇ?」
『ちょっとちょっと』
『段取り通りでお願いしますよ。早く試食してください』
小声で早く段取り通りに促す。が…
「うるせえな。あっち行ってろ!!」
別の手下っぽい男が掴みかかって突き飛ばす
ダイコは吹っ飛び、地面へ座り込む。
あれ…段取り…
やばいこれもしかして
本当に絡まれてる??




