王都
転移先は王城。俺は魔法は使えないが魔力はすべての人間に存在する。俺は普通ぐらいだな。魔力があれば魔法具は使える。
今使ったのは転移ブレスレットだ。転移魔法陣の書かれたブレスレットで魔力を流せばそれに記録されている転移先に行けるってやつだ。
Sランクへの支給品で一般人も金さえあれば買える。すっげー高いけどな。
「おかえりなさい。ジン。
その子は?」
コイツは宰相のユーセルだ。怒らせると、死ぬ。
「ただいま。国王に会えるか?
出来れば今すぐに。」
「どういうことですか?あなたから陛下に会いたいなどと。
まさか、明日は槍がふってくるのでしょうか」
「うるせぇ。とっとと合わせろ。」
ブフォァ
…さみぃー。
「何ですか、その態度は。子供がいなかったら今頃は氷像になっていたことでしょうね。」
氷像て、おいおい。
「………なに王城で上級ぶっぱなしてんだよ。」
「何でしょう。」ニコッ
「イエ、ナンデモアリマセン。
トコロデ宰相サマ、国王陛下ハイラッシャイマスデショウカ。」
「陛下でしたら、あなたが帰ってきたこともわかって居られるでしょうから、謁見の間だと思いますよ。」
謁見の間にいくと、もうすでに国王はスタンバイ済み。礼とかいいよな、めんどくせぇし。
「よお、国王。」
「宰相を怒らせてんじゃねーよ。俺様の仕事が増えんじゃねーかよ。」
「うるせぇ。国王が仕事サボってんじゃねーよ。」
「てか、その子供誰だよ。隠し子かよ。結婚したのかよ。何で事後報告なんだよ。俺様には教えろよ。宰相は知ってたのかよ。仲間はずれかよ。俺様とお前のなk「黙れ」 」
「…………」
「はぁ、こいつは任務先で拾ったんだよ。」
「ジン。冗談はよせ。今回の任務先はフェオドルの森だろ。あの森に子供がいるわけがないだろう。」
「知らねぇよ。居たんだからしゃーねだろ。早く調べろよ。」
「国王に命令するな。まったく。
【精霊たちよ…】」
国王はこの国に一人しかいない精霊使いだ。精霊と心を交わし、力を貸してもらう代わりに魔力を与える。何でも精霊使いの魔力は美味しいらしい。よくわかんねぇが。
「!?」
「何だっ」
「これは………」
「んだよ。さっさと言えよっ」
「この子供は捨てられたみたいだな。生まれつき魔力が強すぎたらしい。」
成る程な。魔力の強い子供は貴族でもない限り、殺されるか、良くても売られるか、だろうな。特に親が魔法師じゃない場合は。暴走とか、いろいろとな。
「でも、何であんなところに。」
「殺されそうになったところを、精霊達が逃したみたいだな」
「…このガキ、精霊使いか?」
「いや、才能はあるが、まだ精霊使いではない。精霊の愛し子といったところか。」
「はぁ、で、どーすんだよ。」
「何が?」
「このガキだよ。」
「んー、まずは名前だな。どーやら無いようだし、いつまでもガキでは可哀想だ。」
「名前、………ポチ」
「それはない」
「じゃあ国王が考えろ。」
「ふむ、………チビ」
「俺とかわんねぇよ。」
「しょうがない。宰相を呼んでこい。」
「嫌だ。」
「俺様も嫌だ。」
「呼びましたか?」
「「呼びましたが呼んでません!!」」
「どっちですか。」