拾われる
Side ジン
俺の名はジン。
ギルド『王の守護者』に所属している。
『王の守護者』は国王が認めたSランク冒険者のみで構成されている国王直属のギルドだ。
元々他のギルドに所属していた奴等がSランクになると同時に強制的に所属させられる。
まぁ、元のギルドを辞めるわけじゃなく掛け持ちだし、特典も多い。
たとえばSランクは国王から特別な名『ヴェルトラーム』が与えられる。
つまり俺はジン・ヴェルトラームってわけだ。
貴族と同等の力あるし、冒険者の憧れってやつだ。
そんな良いもんじゃねーけどな。
今もこうやって仕事押し付けられてるし。
何だよ、ダークファイアドラゴン50体討伐とか。
めんどくせぇ。
「よし、任務完了だな」
『…--- -』
「何だ?」
森の奥から声が聞こえた気がする。
冒険者・・・じゃねえな。冒険者なら、それ相当の空気感ってのがある。
一般人か?
いや、そんなはずはない。
こんな奥まで入ってこれるのは最低でもAランク以上のやつだ。
「おいおい、どーいうことだよ。何でガキがここにいるんだ?」
しかし視線の先にいたのは、どう見ても3、4歳ぐらいのガキだった
「大丈夫か?どうしてここにいる?」
「…………」
「おい」
何にもしゃべらねぇ。ていうか、寝てるな。
ボロボロのかろうじて服のような布を着てる。
一応生きてはいるようだが。
レオギリア帝国の奴隷か?まぁそれはともかく
「ここは危険だ。王都まで戻んぞ。」
「……」
「まったく、しゃーねーな」
ひょいっ
抱えてもおきねぇし、思ったよりも軽い。
よく見りゃ着てるもんだけじゃなく、ガキ自体が傷だらけだ。
ここで襲われたにしては、古傷も多い。
「………まぁいいか。転移」