別れ
「ところで、神子様。この子供はいったい?」
「子供?あぁ、えっと、…そうっ、偶然見つけて、怪我をしていたので……助けようとっ」
「……………素晴らしい!なんと、素晴らしい!!傷ついた子供に手をさしのべる。これぞまさしく祈りの神子様ではありませんか!!!」
……… 僕は…………
「ではこの子供をお救いになるのですね。」
「……いえ、もう……この子供は私の力では………。せめて、静かな場所で………最後を迎えさせてあげましょう…………。私の力が及ばないばかりに…………」
「神子様。そのお気持ちだけでも、この子供は救われることでしょう」
「どこか、誰もいない静かな場所へ、送ってあげてくれませんか?」
「わかりました。誰か、転移陣をここへ。」
………………僕は、どうなるの………
「用意ができました。行き先はフェオドルの森です。神子様のおっしゃられた通りに人はほとんど訪れない、静かな場所でございます」
「最後に抱きしめても?」
「もちろんです」
お母さんが僕を抱きしめる…………
…………冷たい、いたい、苦しい…………
「うふふふ。私は最高のヒロインなのよ。みんなに愛される、ヒロインになのよ。でもそうなるには、あんた、ジャマなの。
私のために死んでね。」
「では、転移させます。離れてください」
………お母さん………
……………さようなら、幸せになってね………