平行した物語
「いいぞ!もっと完成度の高い怪物を!」
そう研究所の中で叫ぶのはマッドサイエンティストのヨミだった。
「蜂に人工の針をつけることに成功した・・・これならば」
その研究は街にまた困難を呼び起こす。
「さーて今日の記事は超人化パワードスーツ・・・いいわね!」
桜川の元には情報が舞い込んできていた。
前回の蜂怪人の記事は独占スクープのため桜川の勤める出版社カカオココアの週刊誌スーパーガイだけでしか見れない記事だった。
そのためカカオココアは一躍有名出版社の仲間入りをしたのである。
そして桜川はその週刊誌の発案者及び担当者となったのだ。
「これがパワードスーツですか」
桜川は念入りにメモをとりながら話した。
「はいそうです。これは怪物にも対抗できるものですよ」
そう答えたのは若い研究者だった。
「お年寄りでもヒーローになれる代物です」
彼は自信ありげに答えた。
「なるほど・・・ちなみにこのスーツはどのような仕組みで動いているのですか?」
桜川は尋ねた。
「人の筋肉の動きに反応して人工筋肉が動く仕組みになってます。いわゆる着脱式筋肉とでもいいましょうか」
彼は自信げに続けた。
「着脱式筋肉という商品名にするんですか?」
桜川はつぶやいた。
「ハハッまさか」
この研究者の名は田中といった。
「田中スーツとかどうです?」
得意気に田中は答えた。
「売り上げに影響でますよ」
桜川は指摘した。
「あなたは信用できる記者だ!」
田中はそう叫ぶと桜川を下の階へつれていった。
「えっ?どういうことです?」
桜川は尋ねた。
「つまりですね。あなたは無駄に持論を述べませんが嘘もつかない!真実を追求する方でしょう!」
田中は自信満々に答えた。
「わかりますか!」
桜川は意気投合とした。
「じゃあせっかくですので・・・このスーツの実験風景を見せましょう」
その実験風景は研究者がスーツを着て何トンもあるトラックを持ち上げるものだった。
「持ち上げるんですか!?」
桜川は興味身心でメモを取った。
トラックは持ち上がり拍手と歓声が飛び交う。
「やはり私たちの研究は素晴らしい」
そしてそのトラックはそのまま見学していた桜側のガラスへと飛んできた。
強化ガラスといえども高速のトラックが当たればひとたまりもない。
ガシャアアアン
見学者達はその場に伏せた。
だが何人かは潰されて事切れていた。
「私の研究を悪用するつもりか!!」
テスト者に向かって田中は叫んだ。
「田中先生・・・いや田中さん・・・あなたの研究は素晴らしい!だがあなたは無欲すぎる・・・あなたにはついていけない!」
そういってテスト者は地下から地上までジャンプして地面を突き抜けて地上へとでた。
「ちょっと危険過ぎませんか!!」
桜川は叫んだ。
「彼は色々私とは対立したがいい奴だと思ってた・・・」
田中はそういうと肩を落とした。
「私の研究は怪物を倒すためのものだった・・・。つまり・・・この世で最強の・・・スーツだから・・・」
桜川は叫んだ。
「スーツが余ってるなら着て戦ってくださいよ!}
桜側は両手で田中の肩をつかみゆさぶった。
「すまない・・・資料はたくさんあるがまともなのは盗まれたあれだけだ・・・」
田中はそう言い頭を抱えた。
「まともじゃないの貸して!私が着るわ」
桜川のその言葉を聞いたとたん田中は言った。
「だめだ。不具合のあるスーツを素人には着せれない・・・」
田中はそういって立ち上がった。
「私が着よう・・・」
田中はスーツ保管庫へ向かった。
だが向かう途中に保管庫からスーツが飛び出した。
「誰かあそこにいたのか?」
田中は回りの研究者に向かって叫んだ。
「いえ!鍵をしてるはずですから!」
研究者もパニックになった。
「スーツ装着者がわからないの?」
桜川が言った。
「いや・・・カメラがついてるが・・・真っ黒の影しか写ってないぞ」
そして地上では暴れる1号機がいた。
「待て・・・」
突如テスト機が現れてその中身が喋った。
「ふむ田中か?まぁいいテスト機の不具合を私は知っている!稼働時間に難がある!ハハハ!精々楽しもうぜ!先輩!」
1号機に対してテスト機は蹴りをした。
「ふおおお」
吹き飛ばされた1号機はビルにぶつかりビルが倒れた。
「フヒヒやるじゃねーか」
1号機に傷は入ったがまだまだ動ける状態だった。
「時間に難があるのは俺も知っている」
テスト機の黒い影の中で何かがつぶやいている。
「ああ・・・だが運用方法をしってるだけマシだ」
テスト機の黒い影は死んでしまった研究者であった。
研究者は1号機を野にはなってしまったことを悔いていたのだ。
「絶対にとめる!科学の力は悪用させない!」
テスト機はそう叫ぶと滑空モードを終了し地面についた。
「ふむ・・・!オーバーヒートを防ぐためにパワーセーブか・・・賢い研究者のやりそうなことよ・・・」
1号機は滑空状態から蹴りをいれた。
その後倒れたテスト機を殴り続けた。
「壊してやる!!力を持つのは俺だけでいい」
1号機の攻撃は止まらない。
「ぐおおお・・・壊れるぞ」
「そうなればよくわからない姿の我々では太刀打ちできないだろう」
「ならばやってみるか」
テスト機から独り言が聞こえると
テスト機から炎が吹き出した。
そして手からワイヤーが飛び出し1号機を縛った。
「何をするつもりだ!!お前も死ぬのだぞ!田中!」
裏切った研究者は叫んだ。
「残念だが田中先生ではない・・・俺たちはお前に殺された研究者だ!」
その後テスト機は1号機と共に空に打ち上げられ爆発した。
「馬鹿ナアアアアアアアアア」
裏切った研究者はその名が知れることなく爆発して散ったのである。
「不思議なことだ・・・なにがおこったのか」
外で見ていた田中はつぶやいた。
「ですがあなたもう少し足元固める必要があるんじゃない?」
桜川はそういって田中にメモを投げた。
「あなたがポンコツでこれだけの被害が出た・・・わかってるわよね」
桜川は睨みを効かして田中に言った。
「私は・・・つまり研究を軽くみていた・・・すまない・・・信用できる人間に使われないと・・・科学は危険なものだ」
そういった田中は研究所へ戻っていった。
「なんというか田中先生ってあの年でまだ成長しそうっすね」
黒い影は空からその光景をみていた。
「まっとりあえずあとはなんとかしてくれるでしょ」
そういうと黒い影は消えてしまった。
「聞きましたか!黒い影が勝手に動いて裏切り者の反逆者を倒したって」
リザードは新聞を見てきたのかそう話かけた。
「なんというか俺たち以外にもいるんだな・・・残ったやつが」
一条はそうつぶやいた。
「もしかしたら大昔からいたかもしれないでござるな」
そういって3人は空を見上げた。
「俺らがとめれたらなぁ・・・」
そうつぶやきかけたがやめたのはいうまでもない。