第46話 別視点
白虎隊の将軍といえば、白い髪に白い肌と赤い目が特徴の所謂アルビノらしく、更には時期桜義組の組長候補とさえいわれている。
そんなことはどうでもいい。俺はソイツと戦ってみたいんだ。
狭義組の殺戮武人や殺人兵器と呼ばれる俺は強敵との戦いに思いをはせた。
汚染され、吐き気がしそうな赤い海の傍にある倉庫に、その将軍と呼ばれる少年がやってきた。
ソイツは思ったよりヒョロっとしており、まるで女のような細い体をしている為に目を疑ったが、白い髪と赤い瞳が本物であることを裏付ける。
まるで白猫のようだと思った。
「よく来たな、白虎隊の将軍にして....
桜義組の甥っ子」
「....」
ちょっとした挑発を交えたが、将軍くんは俺のことなど眼中にないかのように何も言葉を発さずに遠い何処かをみている。
まぁ、考えてもみゃ。自分の弟としゃべりたくなんか無いんだろうと思うが、それでも苛立った俺は将軍くんの腹に蹴りをいれてやろうと、足をあげた。
「何か言ったらどうなんだ?」
予備動作無しの蹴りで、将軍はよそ見をしていた為に内心、入った!と、確信をしていたのだが....
「消えろ....」
あいつは一言そういって、僅かな動作だけでかわし、俺のことなどどうでもよさそうにしていた。本当に猫みたいだ。
「ッハ!本当に噂どおりの人間だな、将軍さん」
無駄な動きはせず、どうでもいいことには無関心で、弱い人間には興味がない。
中には、将軍の身内に手を出せば殺されるや、将軍に会ったら『俺はお前と友達だ!』と宣言すればアッサリと白虎隊に、入れるなんていう滑稽な噂までながれてる。
「俺も結構有名でな、俺の噂は知ってるか?」
その筋の人間ならば、噂程度には聞いたことがあるだろう。狭義組の殺人兵器と呼ばれている。
しかし、目の前の少年は興味の無い人間はどうでもいいといっている奴だ。もしかしたら知らないのかもしれないと思ったが予想に反して、口を開き淡々と言葉を放った。
「戦闘狂で、血気盛ん、見境なく人を殴る、強い人で周りからの人望も厚い」
まるで、一昔前の音声ソフトのごとく機械のように淡々という将軍に、自分の噂はちゃんと聞いているんだなという感動があったが、それは長く続かなかった。
将軍は俺の噂をある程度喋ったあと、急にピタリと止め....
「でも、実際は凄く弱くて惨めな人間。誰かに助けて貰わないとダメで後先考えない。本当に哀れで悲しい」
俺を挑発するかの如く、そう吐き捨てた。
「言ってくれんじゃねーか....」
そいつの挑発にのるように言えば、何をいっているのか分からないとばかりに、白々しい演技をして「全部事実だろ」とバカにするようにいった。
中々肝がすわった男だ。
「それより、幸人はどこ?」
話はこれで終わりだとばかりに、そういい放った。
真っ赤なその目に俺は写っていない。
仮に写ったら、まるで血まみれのような真っ赤な赤がうつるんだろうと思うと、ゾクゾクした。
「こっちだ」
その衝動を抑え、俺は倉庫の扉を開いて中に入るようにうながした。
倉庫の中に....
「ねぇ、幸人はどこ?」
将軍さんの弟の姿など無かった。そりゃそうだ、この場所はそんな目的の為の場所じゃあない。
ギイィ....バタン
ニヤリと俺が笑うと同時に、倉庫の扉が俺の部下によって閉められた。勿論、鍵がついているので中から互いに出ることは出来ない。
「どういうこ....ッグ!!」
俺は将軍さんが言い終わる前に拳を腹に叩き込もうとしたが、直前に後ろに飛ばれ、対したダメージは与えられなかった。
「俺と遊ぼうぜ」
俺は、高らかに笑いながら殺人兵器として将軍さんに殴りかかった。
さぁ、楽しいゲームの始まりだ、
男の名前、何にしよう?
男が将軍さんやら将軍くんと呼んでいるのは、天然です。




