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第36話 過去話

僕の過去を話す前に、母の話を少しだけしよう。

何かしらの勘違いやスレ違いが起こっていたのかもしれないけれど、これだけは言える。



「何で....こんなのが産まれたのよ」



僕が産まれた時、両親はそれを歓迎することは無かった。


アルビノという、突然変異から産まれた僕は肌と髪が以上な迄に真っ白で、目が異常なまでに真っ赤だった。誰かが言うには、僕は祖父に大変似ていたらしい。


母の薊さんは....そんな僕を愛しては無かったと思う。

そして僕も、コイツだけは好きになれなかった。


でも、コイツが僕と弟を産んでくれたことは感謝している。










「お兄ちゃん!!今日ね!!学校でね!!....」


「何?ユキ」


僕には、一つ下の弟、幸人がいた。僕は弟をユキと呼んでいた。


根倉な僕と違ってとても明るくて、元気のいい、しかも優秀な自慢の弟だった。


「テストで20番以内に入ったんだよ!!算数の計算はクラスで3番目なんだよ!!」


うわ!!凄いな!ユキは!!


僕の小学校はかなり進学に力をいれているみたいで、テスト上位者は紙に張り出される。

因みに、僕の名前は張られたことなんてない。まぁ、当たり前だから仕方ないけどね。


一学年150人だから、物凄いことだ。

本当にユキは物凄い!


「お兄ちゃんは...どうだったの?」


上目使いでこっちを見るユキは世界一可愛いと思う。もうユキ大好き!!愛してる!!


でも残酷!!そんな質問しないで!


「20番以内じゃなかったよ」


「そっか....」


ショボーンとしたユキを見ると心が痛む。


そりゃね、自分の兄がバカだったら嫌だもんね。そうだよね。ごめんね、嫌いに成らないでね!


「あのね!僕!!もっともっと頑張るから!」


「頑張れ」


やっぱり、弟はいいものだ。

こんな出来損ないの兄にも一生懸命話かけてくれる。本当になんて素晴らしいんだろう。


学校での僕は本当に根倉な子供であるという自覚はある。喋るのが苦手で、適当にヘラヘラ笑ってるから大分気味が悪いと思う。


お陰で友達なんていなくて、誰も話かけてくれないし、時々嫌がらせも受ける。机に花とか置かれたり、靴とか盗まれるもん。


でも盗まれる代わりに新しい靴が置かれるのは何故かな?とは思うけど、多分履き違い起こせという意味だろう。


こんな兄をもってるせいで、ユキもきっと苦労しているのだろう....うぅ、憂鬱だ....


「ユキ、学校で俺のせいで何か言われなかった?」


アイツの兄ちゃん頭悪いんだぜ!!とか、アイツの兄ちゃん変な姿だぜ!!とか、僕のせいで蔑まれていたら、泣くと思う。


「え....あ、ううん!!何も言われて無かったよ!!大丈夫だから!!!」


「そっか」


ちょっと自意識過剰だったかな?


あ、もしかして僕が兄であることをユキは隠してたりするのかもしれない。


学校でもユキはよく僕に話しかけたり抱きついてくれるけど、本当は「あれはお兄ちゃんじゃ無いよ。近所の兄さん」とか言ってるのかも....


うわ~用意に想像出来る。ヤバイ、泣きそう。


あ、でもそれが本当だった場合、僕にそれを咎める理由なんて....


「お兄ちゃん」


ネガティブ思考に走りまくっている僕の思考を止めたユキは可愛いらしくいった。


「僕はお兄ちゃんのこと好きだよ。お兄ちゃんは....僕のこと好き?」


ユキは時々、不安そうにそんなことを言っている。

何でそんな表情をするのか分からないけど、僕的には嬉しいからいいだけどね。


こんな嬉しいことを言ってくれるのは、世界で弟位のものだと思う。父は苦笑いしか見たことないし、母に至っては、僕の成績とか見て嫌な表情をする位だ。


「大好きだよ」


結論、やっぱ弟最高!!

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