第35話 疲れた
「ただいま、政宗....」
僕が廃墟に入ると、政宗が遅いといってこっちに来た。鬼のような形相が凄く怖いのに、イケメンだからこの世は間違ってる。
「将軍、何やってたんだよ」
「ごめん、ちょっと疲れてるから帰っていい?」
僕は、色々あった出来事のせいで僕の頭の中はパーンとなっている。ビルの上から落とされたスイカの気分が今なら分かるくらいに、頭パーンだ。
....本気でヤバイと言えるだろう。
「将軍!!疲れてるならソファーに座って下さいっす!!」
「将軍!俺を殴ってストレス発散して下さいっす!」
「将軍!ストレスってなんすか!?それをぶっ飛ばしたらいいんすね!?」
「将軍!!湯タンポ持って来たっす!!」
皆は本当にいい人たちで、そんな小粋なジョークをいってくる。しかし、政宗には五月蝿かったみたいだ。
「将ぐ「お前ら黙れぇぇええ!!!!!疲れてんだよ!!そっとしとけ!!バカ!!」...」
どうやら政宗も疲れていたらしい。
何時も頼ってばかりだからかな?
「取り合えず、湯タンポと毛布渡せ、そして果物と金だせ」
「政宗さん!俺は!?」
「お前は、いらねぇ」
炉鵜沢くんが泣き出して何処かへ走っていった。
政宗は皆から毛布やら湯タンポやら貰うと僕の方へと渡した。
「使え」
意味がわからない。
何で僕は湯タンポとか毛布とか果物を渡されてるんだろ?
単に荷物になるだけだし、僕は果物を食べる時はタバスコないと食べれないし....
ッハ!?もしかして、新手の嫌がらせだったりするのかな?いや、政宗はそんなことしない....でも、もしかして...
「あ?足りなかったか?
....お前らもっと出せ!!」
「「「「ウィっす!」」」」」
嫌々!メリケンサックとか、いらないから!!釘バットも要らない!!つーかチェーンソーとか何で持ってんの!?ジェイソンか!?
「いらない」
これ以上増やされてたまるか!!!そう思って必死に止めた。一瞬、何故かダイナマイトが見えたがきっと気のせいだろう。
「これは要らない。俺は帰って寝る。じゃあ」
俺はそう言って、政宗に全部渡してから逃げるようにして廃墟を後にした。
「おい!?将軍!」
政宗、今までごめんね。まさかこんな意地悪をするほど疲れてたなんて知らなかったんだ!!
これからはちゃんと優しくするから許して!!
僕は帰って、ため息をついた。
「ふぅ....」
帰る、と言ってもネットカフェの事なのだが、ある意味では家より落ち着く。
僕はネトカフェの大きな椅子の座って、政宗から貰った毛布を被って頭を整理した。
色々有りすぎてゴチャゴチャしている。
それにしても、今日は本当に色々あった。
叔父さんたちに誘拐されて、美咲さんに久しぶりにあって、沙織さんという綺麗な女性にあって....
久しぶりに弟に出会って、変わりなくて....千秋さんに会って.....
よく考えたら、今日一日でどんだけ色んな目にあってんだよ!?
ヤッパリ俺の人生は確実に可笑しい!
「(ふぁ....取り合えず寝よう)」
マブタが重くなってきて、1週間ぶりに眠気が襲ってきた。そして僕は目を閉じた。
久しぶりに夢を見た。
酷く懐かしくて、酷く幼なかったころの夢をみた。
もしタイムトリップ出来て、この頃の僕に出会えていたらば、殺してやりたいと思うくらいに....
それほどまでに、愚かだったあの頃。
次は過去編です!!




