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第1話 登校

「打ち上げやろうぜ!!白虎隊の名がまた上がったことに!」


「いいね!!やろうやろう!」


大いに盛り上がる彼等を見て、俺は微笑ましく思いながらも、帰らなければならなかった。


でも、いうのもひけるから、小声で言おう。


「俺、帰るわ」


しかし彼等はその声に反応して一斉にこっちを見てきた。怖い


「なんでっすか!いいじゃないっすか!」


そんな声が聞こえるが、本当に急いで帰らなければならない。


うぅ、怖いよぉ...いっそのこと学校爆破しちゃえばこの怖さってなくなるのかな?


そんなバカな事を考えながらも、目を会わせずに勇気を振り絞る。


「悪いな、朝がはやいんだ」


そういう一言をおいて、俺はそのまま帰った。


「ちょっ!?将軍!?」



帰ったというよりは学校へ行くといった方が正しいと思う。もう日が昇って、朝になり遅刻寸前の俺は唯一誇れる脚力をフルに使って全速力を出した。


コインロッカーを見つけ、中に入れてあった制服を引っ張りだし公衆トイレで着替える。


俺は青ベースの黒っぽい色が特徴的な学生服をしっかりと着て、髪型を整える。目立つ銀髪を纏め上げ、上から黒髪のカツラを被り、外れないようにパチッと止める。


そしてメガネを付けて、耳にイヤホンをつけて英語を聞きながら俺は学校へと向かった。







学校へと向かった…筈なのだが


「俺さ~金欲しいんだよね~」


「っひ!あ、あの!金はなくて…」


「だったら飛べや!!」


何故か典型的なカツアゲの現場に居合わせてしまった。イヤホンから聞こえる英語ごしからも聞こえる。泣きたい、逃げたい。


しかし、俺の通る道はそこなのである。回り道していたら完璧に遅刻してしまう。


遅刻した後の授業中の教室に入るなんてのは、チキンの俺に出来る訳がない。めっちゃ目立つから。そうなると白虎隊の人達と居たほうがマシになる=また悪名がでる。


相手は怖そうな高校生3人と気の弱そうな人が2人。仕方がない、一か八かで……英語煩い。


「やめたらどうですか?邪魔です」


声を張り上げようとするが、残念ながらチキンの俺には普段道理の声しか出なかった。ヤバイ、怖い。


もうこの人達の事とかどうでもいい、怖い怖い。俺は全力疾走で狭い路地を全力疾走でかけぬけた。


「なんだテメェ……ぐぼっ!?」


結果、つまづいた。最悪だ。つまづいた拍子に肘は鳩尾に埋まってしまい、驚いて声を上げようとしたが、怖くて出なかった。


体制を整えようと壁の方へ突き出した手に変な体温が当たった。出来れば暖かさとか必要なかったけど、男の首にヒットしている。イヤァァア!!怖い怖い怖い!!


恐る恐る前を向くとそこには伸びた男二人組みがいた…またやっちゃった…


「あ、あの!有難うございます!」


後ろでお礼を言う人の声が聞こえるが、正直な話俺はそれどころじゃない。早く学校に行かなくてはならないのだ。


しかし、無視をするのも気が引けるので俺は何か言おうと思って考える。


この場合、将軍モードで喋ればいいのだろうか?それとも敬語で喋ればいいのだろうか?


「Is disturbed. Get out」


英語のリスニングを聞きながら考えすぎて俺は訳の分からない言葉を喋っていた。


「え?なに…」


「邪魔です。出て行け」


たしか、こんな言葉だったと思う。何でリスニングでこんな言葉が出てくるんだ……


「すみません!!すぐにどきます!」


彼は怖いものを見たかのようにどこかへ行った……そんなにカツアゲが怖かったのだろうか?


(だよね、怖いよね。俺だってめっちゃ怖い、泣く。カツアゲにあったら直にでもお金渡す程のチキンボーイだもん。)


将也は自分が怖がられているということを度外視してそう結論づけた。


怖いのは、カツアゲよりも無表情で男2人を倒した自分であることなど将也には考えつかないし、最終的に結構酷い言葉を言ったことにも考えがつかない。


「もう時間だ」


携帯の時計を見るともうヤバイ時刻になっている。校門がしめられる前にと俺は急いで学校へと向かった。

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