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信彦目線 長は貪欲

「ちょっくら、ここでまってろよ」


「分かりました」


将也は相変わらず淡々とものを言い、感情が掴めない。お茶を飲みながら高見の見物のように何もしらないかのような振舞いをしていた。







「おい、調べはついたのか?」


俺は将也を部屋に残し、部下を呼び出した。赤城は流石ともいうべきか、この状況に冷静に対処している。


「剣山組の犬だった。あの子の言ってた通り屋根裏に潜んでましたよ」


悔しそうに言う赤城は侵入者に気づけなかったことに苛立っていた。


「あー、そこは別にいいんだ。取り合えず捕獲出来たんなら、そいつの尋問に当たれ」


俺は取り合えず励まして、部下を何人か引き帰らせた。残ったのは赤城と俺だけだ。


「ったくー....あいつは本当に勘がいいんだよな~」


あいつとは将也のことだ。


「たしか、あの子を捕獲するのにも大分大変だったみたいだったみたいですからねぇ....」


赤城は自分の部下が手こずったという不甲斐なさと、自分が気に入った少年の実力を確認出来て嬉しがっている。


「つーか、驚愕したぜ。お前みたいなドS中年が気に入ったと言う奴がまさか俺の甥っ子とか...」


「それはこっちの台詞ですぜ...」


アンタ妹とかいたんだ...

とでも言いそうな顔をされた。俺が長だというのを知ってるか?


まぁ、そこら辺は仕方ないだろう。古株の奴等なら知ってる人間はいると思うが、俺には妹がいた。


桜義組の長女として誕生したものの、女であるという理由で此方側には余り関与せずに育っていた。


「アイツは堅気に育ったけど、将也はここの血を濃く受け継いだらしい....ハァ~アイツすげー成長してんな~」


興奮を押さえる為に息を吹かす。

将也は成長していた。物怖じはしない、容姿も上々、腕っぷしも強い、不良のチームを纏め上げるカリスマ性....上げればキリがない。


「ニヤニヤしないで下せぇ...」


「でも、欲しいんだよ~本当に欲しい。これならば、あの時に奪えばよかった...かの愚かな者達のとこに返してしまったのが悔やしい」


まるで子供のように俺は頭を抱えた後、あの夫婦を思い出してしまい、苛立ってくる。


「アイツ等....っち!!」


「妹夫婦は問題でもあったんですかい?」


「イヤ、どこにでもある『普通』で『普通』の人たちだ。典型的な普通の堅気....家族がだけどな」


将也自身は非凡な存在として産まれてしまった。白い髪に白い肌と赤い目....アルビノとして産まれた将也を普通の生活を望むアイツ等がどんな思いをもってたのか想像にかたくない。


親権を奪おうとしたこともあったが、結局それは叶わずに将也との接触も長い間できなくなっていた。


「まぁ、親権は無理だったが...他にも方法はある」


酒を飲んで俺は笑う。赤城が嫌そうな顔をしたので大層悪い顔をしていたのであろう。


「一体どうする気ですかい?」


疑問視を浮かべている赤城は想像も出来ないだろう。何故ならば、俺はそれを何よりも大切にしているから、万が一にも考えれないのだろう。


「娘の婿にする


これなら全部解決だ」


俺は娘を何よりも大切に思い、外に嫁ぐのを許せない。将也をまた取られるとかされたら今度こそ何をするか分からん....でもこれならいいアイデアだ。


「......俺がいうのもなんですが....アンタって本当に独占欲強いな...」


「長はいつでも貪欲なんだよ」


誰か将也の通訳になって欲しいな~とか、思ってます。将也の親は『普通』の人です。そこまで悪い人ではないと思います。

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