第16話 誘拐
朝になって目を覚ますと、横に正宗がいって驚き、昨日の記憶を必死で呼び起こした。
「昨日泊まったんだ...」
昨日の夜は大変だった。政宗と恋話した後、布団に潜って寝たのはよかっとんだけど、どうやら政宗は寝相の悪い人だったみたいで、布団の中に入ってきた。
手癖も悪いみたいで、僕の服の中に手を入れて触ってきたり、ズボンを脱がそうとしてたなぁ...
まぁ、ちゃんと政宗を布団の中に入れたけどね。「お前って酷いな...」とか寝言まで言ってたし...何の夢みてたんだろ?
「あ、時間...」
早く学校に行こう!!隣を見れば、まだスヤスヤと幸せそうに寝ている政宗に悪く思ったので、知らせないでコッソリと出ていった。
あぁもう!!早くしないと遅刻する!!
僕はいつものロッカーから荷物を取り出し、公共のトイレの中に入った。
銀髪をまとめ上げてから、黒いカツラを被って外れないように金具でパチッと止めて、赤い目を隠す為に色つきの眼鏡を装着する。
制服に手を通せば、学校の僕の出来上がり!
「よし、行くか」
僕はトイレを出て、公園の中にある自販機に金を入れて、コーラを買い公園を後にする。
公園を出る前に、後ろを振り返って公園の時計を見ると、そこそこ時間がなくて急がなきゃダメだった。
「ヤバイな...」
そう僕は呟いて、小走りで道を駆け抜ける。途中で変な音が聞こえて、そっちに視線を送るけど誰もいなかったので、無視した。
そのまま走ってたら、目の前にハエがいた。うわっ!!気持ち悪!!!
「虫め...」
ハエとの衝突が嫌だったので、急ブレーキをかけ、当たらない様によけた。よし!!ハエと衝突が嫌だったからよかったよかっ... ...
ヴァン!!!!
ハエがいた方向が爆発した。正確にいうならば、銃弾みたいなのが横切って、壁に穴をあけた。
ぇぇえええ!!!??どういうこと!!!
ハエ!?ハエが爆発した!?ハエが……ハエの体が…ってバカか!?んはずないだろ!?ハエが爆発する筈がない。だってハエだから!!
俺は人生でここまでハエと言った日はないだろう。
「っち!!流石は赤城さんのお気に入りか...」
何か聞こえた気がしたと思ったら、黒い車が1,2台位現れ、中から屈強そうな人たちが沢山現れた。
え!?なに!?なんなの!?この人たち誰!?僕をどうするき!?
嫌々!!ポジティブシンキング!!ポジティブシンキングで行こう!
「こんなに大勢でいったいどうしたんですか?道にでも迷いました?」
きっとそうだ!多分そうだ!!!
よし、さっき買ったコーラでも飲んで落ち着こう!!!
「随分と生意気だなぁ...大人しくしてもら...」
「グワァ!!!」
缶を開けたら...コーラが吹き出てしまい、男の人の目にかかってしまった。... ...ハハっ...
うん、逃げよう。
「テメェ!!!...っぐ!!」
空になった空き缶を投げつけ、自慢の足で逃げようとした時...
バンバン!!
「っうぐ...」
銃弾が僕の方にきた。一応よけることは出来たけど、銃弾が、カツラをかすってしまい、金具がパキッと割れてしまった。
ボトっとカツラが外れてしまい、醜い銀髪が出てしまった。ヤバイ!!!
しかし、眼鏡も割れてしまい右の色つき硝子にヒビがいって、視界が最悪だ。
そんな視界のまま、思わずカツラを拾おうとしゃがんでしまい...
ドン!!!
「痛」
肩に銃弾が当たってしまった。痛い痛い痛い!!!!アレ!?でも血は出てない!!何で!!?
そんな疑問を考える前に男たちの手によって、押さえつけられてしまった。勿論反射的に暴れたけど、多勢の無 勢である。
「離せ...」
「黙って大人しくしろ!!」
一応頼んでみたけど、案の定無理だった。本当に何なの!?これの理由くらい教えて!!
「おい......ムグっ...」
しかし、口に布を当てられた為にそれも叶わなかった。しかも、何処か粉っぽくてそれを吸ってしまい...
僕は...気を失った。