第10話 死
僕は立ち上がり、もう一度さっきの銃音の方に視線をよこした。
穴が空いていた。
う、うるぅろぇええええ!!!!????え、何で穴が空いてんの!!!?
「なんだ何だ!!?」「さっきの音はなんだ!!?」「将軍ご無事ですか!?」
僕がパニックを起こしている間にも、その音に気づいて駆け寄ってくるみんな。
「よるな、距離をおいて」
そんな皆に僕は制してそういう。本当は守って欲しいけど、相手が銃とかもっているならそれはやめよう。
幸いにも、いや完璧に不幸だけど、あのおじさんの狙いは僕だ、だからなんとかなる。
うぅ、なんで僕がこんな目に...
「政宗も、距離をおいて」
取り合えず政宗さんにも同じようにお願いする。いくら政宗さんでも危ない。しかし、政宗さんはそれに拒否を示した。
「血気盛んなうちの将軍を一人に出来ねーよ」
.... ...は?なにいってんの?
「何を言ってるか分からない」
「笑ってるぞお前」
え、うそ... ...
そうおもって、口許に指を当てると確かに口角が上がっている。
でもそれは単にビビり過ぎて顔がひきつっているだけだよ。
「暴れたい気持ちは分かるが、あの赤城って奴は相当ヤバイ、お前でもちょっと無理だ」
いや、暴れたくなんかないです。平和主義です。ラブ&ピース推奨です。
「別に暴れない。ただ話をするだけ...ねぇ、赤城さん...だっけ?なんでこんなことをした?」
僕は政宗の説得を諦め、赤城さんとやらに話を聞いた。大丈夫、人間話せばなんとかなる。それに全面的に非は...
「お前さんの仲間がうちの組に暴行をしたんだよ」
... ...全面的に非はこちらにあった。
「すまねぇ将軍!!」「将軍のことを...貧弱とか悪口言われて...」「つい...」
後ろで、そういってくる3人は本当に申し訳なさそうだった。いやさ、僕が貧弱な体してるのは事実なのに...
「そっちの言い分は分かった。でも殺されたくないから他の条件にしてほしい」
僕は赤城さんに頼んだ。まだまだやりたいことが沢山あるんだ!!!死にたくねーよ畜生!!!
そんな必死な思いを込めて頼んだ。
「あぁ、いいよ。他の条件に変えてやろう」
案外、赤城さんはアッサリとそういってくれた。イエーイ!!!
赤城さんは、銃を構え、三人のほうに向けた。
「この舎弟に銃弾をぶちこむのと...」
そこで区切り僕の方に銃を構えていった。
「お前に銃弾ぶちこむの、どっちか選べ」
... ... ...
... ...ふむ、つまりは僕が死ぬか、皆が死ぬかを選ぶんだね?
「んだよそりゃねーぜ!!!」
うん、そりゃねーぜ。
「俺たちのことは気にしないで下さい!!」
うん、気にしてない。
「つーか、んなもん悩む必要もねぇ!!!」
うん、悩む必要もない。
「将軍、どうすんだ?」
横で政宗さんが今にも赤城さんに飛びかかりそうな勢いだ。落ち着きなさいよ。
「まぁ、悩む必要もねーけどな。こんなの、答えは決まってる」
「そうだね、悩む必要ないね」
うん、悩む必要とかない。答えは既に決まっているもん。僕はすっごく死にたくない。
きっと銃はいたいんだろうな~...きっと血はドクドクでるんだろうな~...
そう思うと僕は本当に怖かった。きっとまだまだ死にたくないと思うだろう。きっと、幽霊になるくらい未練とかすっごいある。
... ...うん、でもさ...
「おい...将軍?」
僕は歩いて赤城さんのところに向かった。政宗の驚いた声とかちょっと聞こえるけど、余り聞こえない。
「小僧、どうする気だ?」
僕に銃を向けてくる赤城さんの手首をつかみ、赤城さんの顔をみて、ゆっくりとしっかりと...
ちゃんと聞こえる様に僕は言った。
「自分の死を選ぶ」
バン!!!
乾いた銃音が鳴り響いた。
死にたくない以上に大切なものが僕にはある。
将軍はヘタレだけど、イザという時は迷い無しです。次はヤクザ視点とか描きたいです。
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