プロローグ
「殺すぞグルォラ!!」
「やってみろや!!白虎隊舐めんじゃねーぞゴルゥラァ!」
バッキ!!グギンンン!!グッチャ
とある路地裏で、何ともバイオレンスな音が響き渡る。その光景を俺はポー…っとしながら見ている。
俺の名前は 五十嵐 将也
ハッキリ言ってビビりでヘタレだ。人と目を合わすのも苦手で、話すのも凄く苦手な人間だ。
しかも顔面が引きつりまくって筋肉崩壊を起こして無表情か、ニヤけた顔にしかならない。
そんなんなので当然の如く俺はずっとボッチだったのだが……
「テメェエエ!!何すました顔してんだ!?将軍さんよぉ」
何故か俺、不良チームのリーダーにされ、将軍とか言われてます。泣きそうだ。
「死ねやぁぁああ!!」
男が金属バットで襲いかかってきた…ってぇぇええ!!?
「やめろ」
やめて欲しくて、取り合えず謝ろうとしたら躓いてしまい、体制を立て直そうとして足を大きく振り上げて……
グシャ…
何かの音が聞こえた。俺の脚に奇妙な感触が出てきた。出来れば聞こえたく音だった。
半ば予想しながら、下をみると伸びきった男の姿。…怖い。ごめんなさい。怖い。
「す、スゲェェエエエ!!!相手のリーダーを一発KOだ!!」
「流石俺たちの将軍だ!!」
いっきに盛り上がる皆、血気盛んで血まみれになってる……その姿はまるでゾンビのようだった。
というかこの人リーダーだったんだ。
「どっかいけ」
俺はなけなしの勇気を振り絞ってそう声を発した。大丈夫かな?震えてないよね?
しかし、それは杞憂だったらしく相手のチームの人達はリーダーを抱えてどこかへ行ってくれた。
「流石将軍!!今日も鮮やかな勝利っすね!」
「格好いいっす!!素敵です!!」
「一生ついてきます」
色めき立つ皆、また悪名が上がった事に俺は涙をながしそうになった。
俺の名前は 五十嵐 将也 勘違いの連発により、ボッチから不良チーム白虎隊の総長になり、いつの間にか将軍と呼ばれている。
コレは俺の奇妙で可笑しな、確実に間違っている人生の話である。