SOSの意思
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「助けを呼ばれている気がする」
「けど、そんな声は聞こえないよ」
「てか。妄想だろ?」
「! 失礼な」
けれども、聞こえたのは事実であり、疑いようがない。
「私にも、聞こえないよ?」
「はぁ……何でだ? でも確かに僕は……」
「この場所には、なにもいないっつうの」
「これ以上、なにかあるようには思えないよ?」
にんげんは、認識できないものこそサイギシンを働かせる。
いるか、いないか。現状、それよりも重要かもしれない。だが断言
する。ここに、絶対何かいる。
「早い話、勘違いなんだろ?」
「くっそ……なんかそれで片付けられるの腹が立つ」
「しかし、それ以外にないんだろ?」
「なんとかしてこじ付けるなら、遠くの人の叫びとか?」
「いる、って感じが直感で来る感覚だから、違うと思う」
「とんでもないこと言ってんじゃねよ」
「死亡沙汰……起きたりして」
「んなこと起きたら怖すぎる!」
「じゃあ、ちょっと散策してみる?」
「や、止め解こうぜ。怖くなってきた」
「! 助けを呼んだ存在が消えた気がした」