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08  突き刺さる言葉

拝啓

兄さん、いかがお過ごしですか。とりあえず、私は元気です。

そちらの様子はどうでしょう。兄さんは意外とおまぬけなので心配です。

私のことは心配なさらないでください。

私が家に帰らないのは家出とかではございません。

しいて言うならば、迷子です。

そのうち、帰れると思いますので冷蔵庫のプリンをきらさないで下さい。

よろしくお願いします。



敬具


                               千代子



追伸

妖精ちーとさんとお友達になりました。





私はとある世界のとある国に召喚されました。

なんでも魔物が現れて迷惑してるからどうにかしてほしいとのこと。

所詮、勇者というやつです。

私は思います。

昔、兄さんが熱く語っていた『~召喚の心得~第一章』をきちんと聞いておけば良かったと。

過去に戻れるのならば、きちんと話を聞けと自分に説教します。

しかし、現実では過去に戻ることは叶いません。

あの時兄さんが授けてくれた少しばかりの忠告を胸に今日も私は魔物を退治します。




「凄い、凄いよ! 」


「流石だな」


「「格好いいよ! 」」




また、つまらぬものを斬ってしまいました。

私の足下にはついさきほどまで戦っていた魔物が(倒れて)います。

日本国にいたときはこんなものと戦い、しかも勝てるとは夢にも思いませんでした。

これは兄さんが言っていた、見えない妖精ちーとさんのおかげてすね。

ありがとう、ちーとさん。

その他にも、兄さんは異世界には天ぷらそばやオウドウ、ギャルのハーさんがつきもの

と言ってましたが、天ぷらそばはどのお店にも売ってませんでした。

楽しみにしていただけにがっかりしたのは記憶に新しいです。

私を召喚した国の方に聞いても知らないと言われたので天ぷらそばは兄さんの勘違いですね……。

けして、私の記憶違いとかではありませんね、えぇ。

あとのオウドウやギャルのハーさんはよくわかりませんが、とりあえず、オウドウらしきものを探しております。




「チヨコ、オウドウとはどういったものですか? 」



「そうだな、それを教えてくれなければ判らないな」



「「チヨコ、これはオウドウ? 」」




上から順に王宮魔導師のサルジュさん、青騎士のキースさん、聖魔弓兵双子の兄弟、アーチス君、カーチス君。

彼らは、私を召喚した国が授けてくれた最高の人材です。

この国では、数百年に一回の割合で魔物が大量発生し、苦肉の策として異世界より勇者を召喚することになったそうです。

なんでも、異世界の勇者だと成長率が高く、あっという間に魔物を殲滅出来る力を手にすることが出来るとか……

そして、ある程度、魔物の排除が完了したら、元の世界に帰還することも可能とのことです。召喚されたときはびっくりしましたが本当に困っておいでなので人(国)助けと思い引き受けました。いざとなったら自力で帰りますし。




「チヨコ? 」



「あっごめんなさい。少し考え事をしてました。えっとオウドウですね。」



「えぇ、お願いします。」



「えーっと、オウドウとは、銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいいます。」




私は、サルジュさんの質問に教科書で得た知識を思い出しながら話ます。ところでこの世界では合金とか亜鉛、銅といった技術や物はあるんでしょうか……




「チヨコ、よくわからないんですが……」



「「わかんな~い!! 」」



「ドウ?アエン?ゴウキン? 」




どうやらなさそうです。それとも呼び名が違うのでしょうか……

まずは似たようなものを探しますか。




「……こちらでは呼び名が違うのかもしれません、似たようなものを探します」



「「そうだね! 」」



「そうですね」



「そうだな」




そうして、私はオウドウを探すことにしました。

兄さん、頑張って見つけてお土産にしますね、楽しみにしていてください!!






魔術を操る一族である当主の娘 千代子さんが異世界に召喚され行方不明になり、魔術師たちに探すよう通達された。

後日、娘 千代子さんから手紙が届き無事を確認され、当主一族は安心している。

手紙を受け取った千代子さんの兄さんは手紙に書かれていた言葉たちが突き刺さり、治療中である。

優秀な魔術師が書いた手紙は文字が突き刺さるので開封の際は充分に注意してほしい。

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