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05 カーテンの向こう側
「うーん、なぜだろう?」
目の前に広がる景色を見ながらここ数日の記憶を掘り起こし、なんでこんなことになったのか考えみる。
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「・・・ごめん、他に好きな人ができたから別れて」
高校から付き合っている彼女に突然振られた。指輪を用意してプロポーズする直前だった。
「えーっと」
頭が混乱する。
この間まで海外での挙式とかいいね~、指輪はやっぱり誕生石がいいわ~って・・・。
「他に好きな人が出来たの・・・あなたのことは好きだけどその人みたいに愛せないわ。」
そう言って彼女は去って行った。
正直言って次の日からの記憶はあまりない。
とりあえず、会社に行って仕事をこなし、夜は夜で、お酒で気をまぎらす毎日を送っていたと思う。
そして、いつも通りの朝を迎えるはずだった。
「それがなんでこうなったんだ・・・。」
いつものようにカーテンを開けたらそこには見たことのない景色が広がっていた。