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03  帰る家

「ただいまー」


私は誰もいない部屋に向かっていつものように声をかける。

数十年間続けてきた習慣は数週間で消えるものではない。今まで一緒に暮らしてきた祖母が亡くなり、悲しみにくれる間もなく日々はながれる。生きている限り、人は働かなくてはならない。

当面は、祖母が残してくれたわずかな財産でどうにかなるが、あまり使いたくない。

なにがあるかわからないし、その財産は祖母の気持ちだ。


私には両親がいない。

なぜ、いないのか祖母に聞いたがよくわからなった。ただ、時がくれば迎えがくると言っていたので死んでいるのではないかと思っている。

そう、思っているのだ。なぜなら、私が両親は死んだのかと尋ねても祖母は柔らかく笑うだったから。


「・・・こんなものか・・・」


少しずつ、祖母の荷物を片付けていく。使う主を失った道具たちは少し寂しそうだ。

私は病床の祖母から託された指輪をゆっくりなでる。そうすると、不思議と心が落ち着くのだ。荷物を片付けていて寂しくなったみたいだ。

ここ数週間はいろいろとやることがあったのでなんとか乗り切れたが明日からは落ち着くのでどうなるかわからない。

私は孤独を酷く恐れている。とても恐いのだ。考えようとしなかったが私は今、独りなのだ。


「恐いよ、おばあちゃん・・・」


指輪を握り締める。

その時、唐突に視界が開けた。


「・・・え?」


家にいたはずなのに、私が今いる場所はどこかのホテルの一室みたいな部屋だ。

いや、ホテルの部屋とは決定的に違う点がある。


「おかえりなさい、姫」


物語の中でしか見たことのないようなかっこいい人が立っていたのだ。

召還されましたー。

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