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ドアマットにしようとした奴が、ちっこいクセにとんだ悪魔だったっ!? ~踏み躙るためのハードルが高過ぎる~  作者: 月白ヤトヒコ


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ドアマットにしようとした奴が、ちっこいクセにとんだ悪魔だったっ!?

  ※果てしなく小学生低学年男子のノリ。


 ※個人的には、『そこな娘がぷるぷる震えよる理由? そんなの自明の理であろうがっ!』の殿よりも破壊力高め。なので、読む場所を選んでください。


 おれは今、人生最大の選択を迫られている!


「どうしたの? おにいちゃん? やらないの?」


 にこにこと、おれに究極の選択を突き付けた悪魔が無邪気に笑って言う。


 チクショーっ!? おれの気も知らないでっ!!


 それというのも――――


 事の始まりは、うちの村にこの無邪気な悪魔が引っ越して来たことだった。


 うちの村は、人が少ない。引っ越して来た余所者のことはすぐに噂になった。


 一家には小さな子供がいるとのことで、村長の息子であるおれが挨拶してやった。


 ちっさくてひょろいもやし。取るに足らない奴……それが、あの悪魔に対するおれの第一印象だった。


 だが、しか~しっ!?


 村一番の美少女、アマリアちゃんが! こともあろうに、あのもやしのひょろガキを可愛いだとか言って、可愛がり始めたっ!?


 なんてことだっ!? 村周辺に住む年頃の男共のアイドルであるアマリアちゃんが、可愛い可愛いと言ってひょろがりチビの世話を焼いてるんだぞっ!?


 うらやま……じゃねぇっ!! べ、別に全っ然うらやましくなんてねぇけどっ?


 だけどっ、ほら? アマリアちゃんだって? 本当はあんなガキの面倒なんて見たくないかもしれないし? だけど、オトナのジジョー的なやつで? 仕方なく面倒見てやってる可能性だって十分にあるし?


 だから、おれはあのもやしのひょろがりにこの村の子供達のボスが誰なのかってことをわからせてやるつもりだったんだ。


 もやしのひょろがりなんて、ちょっとおどせばすぐに言うことを聞くと思っていた。


 そして、子分二人を引き連れてひょろがりチビの家へと向かったんだ。


 それが、こんなにも恐ろしい事態を引き起こすことになるとは、あのときのおれは全くわかってなかったんだ――――


 チビの家に着くと、チビのお母さんが出て来た。


「あら~、どうしたの?」


 チビのお母さんは、ふんわりした感じでうちの母ちゃんよりも若くて可愛い女の人だった。


「えっと、その……ケビン君いますか?」

「まあ、ケビンと遊んでくれるの? ちょっと待っててね?」


 にこにこと嬉しそうな笑顔に、ちょっぴっとだけザイアクカンが浮かんだけど。それを振り払う。


「ケビン~? お友達が遊びに来てくれたわよ~?」

「はーい。だぁれ~?」

「村長さんのところの息子さん、マックス君達よ~」

「?」


 出て来たケビンは、あまり話したことのないおれ達を見てきょとんと首を傾げた。


「今日はね、お兄ちゃん達がケビンと遊んでくれるんですって。よかったわね~」

「そうなの? わ~い、なにしてあそぶの?」

「そ、そうだ。今日はおれらが遊んでやるから付いて来い!」

「わかったー」

「お昼までには戻って来るのよ~」


 と、ふんわりしたケビンのお母さんの声に見送られて森へ向かった。


「おにーちゃんたち、なにしてあそぶの?」


 にこにこと、これからおれ達にこっぴどくおどされるとも知らずに付いて来るケビン。


 森の浅い入口部分。この辺りでいいかと、チビに向き直る。そして、


「いいか、お前! ちょ~っとアマリアちゃんに優しくされてるからって、チョーシ乗ってんじゃねぇぞ! このチビが!」

「そうだそうだ!」

「アマリアちゃんもメーワクしてんだぞ!」

「?」


 おれらが三人で詰め寄ると、チビはきょとんと首を傾げた。


「おにーちゃんたち、あそんでくれないの?」


 ん? もしかして、おれらの言ってることわかってねぇのか? まあ、コイツチビだし。きっと、おれらよかアホなんだな。


「ハッ、お前なんかと遊んでやるワケねーだろ! おれらはな、お前に忠告してやってんだ。いいか? 今日からアマリアちゃんに近付くんじゃねーぞ!」

「なんで? どうしてアムおねーちゃんにちかよっちゃダメなの?」

「なっ!? あ、アムっ!? お、お前、アマリアちゃんのこと愛称で呼んでやがるのかっ!?」


 ガーンっ!! と、雷が落ちたようなショックが全身を駆け抜ける。


「? うん、アムおねーちゃんがそうよんでって」


 な、なんて、ことだっ!? あ、アマリアちゃんのことを愛称で呼ぶくらいにこのチビが親しくしていただとっ!? このチビは、村に来てまだ数週間しかたってねーんだぞ?


 そ、それを……生まれたときからほぼ幼馴染と言ってもカゴンじゃねーこのおれを差し置いて、家族でもないこのチビが愛称呼びっ!? このチビはキケンだっ!? おれの、アマリアちゃん危機察知センサーが激しく警報を鳴らしてやがる。


「ダメだっ!? お前はもうアマリアちゃんにゼッタイ近寄るなっ!?」

「え~? なんで? どうしてアムおねーちゃんにちかよっちゃダメなの? なんで?」


 チビが、ふしぎそうな顔でおれを見上げる。


 チビにアマリアちゃんに近付いてほしくない理由……そ、それは……


「なっ、そ、そんなのどうでもいいだろっ!? と、とにかく! チビはこれからアマリアちゃんに近付くのキンシっ!? アマリアちゃんに近寄ったら、お前をドアマットにしてやんだからなっ!? ドアマットの刑がイヤなら、もうゼッタイゼッタイアマリアちゃんに近付くんじゃねーぞっ!!」


 多分、真っ赤になっている熱い顔でチビを怒鳴る。


 これだけおどせば、いくらチビがバカでもわかるだろ。


「え~? ヤだ」

「は?」

「あのね、きょうね、アムおねーちゃんたちがぼくにえほんよんでくれるっておやくそくしてたの。だから、ヤだ」


 チビは、おれがこんなにていねいにおどしてやったというのに、あっさりとおれの優しさをふいにして……


「えっとね、おにーちゃんたち、あそんでくれないならぼくもうかえっていい?」


 困ったような顔で家に帰ると言い出した。


「だから、お前っ! アマリアちゃんに近付いたら、おれらがお前をドアマットの刑にしてやるっつってんだよ! わかってんのかっ!!」

「そーだそーだ!」

「お前みたいなチビ、靴でグリグリして踏ん付けてやる!」


 子分二人も一緒になってチビにおどしをかける。


「ドアマット……?」

「そうだ、お前を踏ん付けてグリグリしてやるんだからな!」


 これで、アホにもおれらのおそろしさが伝わったことだろう。全く、アホで話の通じないチビには手間をかけさせられるぜ。


「ぼく、しってる! ドアマットって、ぐりぐりふんでうんちおとすやつでしょ!」


 キャッキャと楽しげに笑うチビ。


「そ、そうだ! どうだ、こわいだろ!」

「じゃあ、おにーちゃんたち……ぷぷっ、うんちふんだの?」


 ぷぷっと吹き出す笑い声に、


「はあっ!? 踏むワケねーだろっ!?」

「そ、そーだそーだ!」

「そんなばっちいもん踏んでねーよ!」


 慌てて否定する。


「じゃあ、いまからふむの? それで、うんちついたくつでぼくをグリグリするの?」


 笑顔から一転、ちょっとだけ不安そうな顔になったチビ。よし、もっと強くおどかしてやる!


「そうだ! 今からうんこ探して踏ん付けて、その足でお前のことグリグリしてやるんだからなっ!? それまで、お前のこと帰してやらないから覚悟しろっ!?」

「は? え? マックスっ!?」

「ええっ!? マジで言ってんのっ!?」

「と、とーぜんだろ!」


 と、子分二人に手招きしてひそひそ話す。


「だってよー、アイツバカだから全然おどしきいてねーし。しかも、家帰したらこの後アマリアちゃんに絵本読んでもらうっつってんだぜ? だったら、もうてってー的にビビらすしかなくね?」

「う~ん……確かに」

「でもさ、泣かすのはまずくね?」

「でもよー、アイツすっげーバカじゃん。泣くか? というワケで、アマリアちゃんに近付かねーって約束するまでめっちゃおどしてやるぞ!」


 そう言って、ひそひそ話終了。


「よし、これからお前をドアマットにするためのうんこ探すから付いて来い!」


「「おー!」」


 と、おれたちは森の中でうんこを探すことになった。


 よたよたと危なっかしく付いて来るチビにイラついて、


「まったく、これだからひょろいチビは」


 仕方ないからちっこい手を引いて歩く。


「わぁ、ありがとおにーちゃん」

「べ、別に! これは、その……あれだ! お前が逃げねーようにだかんな! 転ばないようにとかじゃねーから、勘違いすんじゃねーぞ!」

「ふふっ♪」


 全然わかってなさそうに、おれとつないだ手をぶんぶん振って歩くチビ。


 こうして、チビを連れてうんこ探しをするが――――


「見付からねーな、うんこ」

「そうだな」

「探してないときは落ちてんのになー」


 まあ、場所が悪いのかもな。森の中に落ちてるうんこは大体野生動物のもんだし。う~ん、村に戻るか……? でも、そしたらおれ達がチビをおどそうとしてんのバレるし……なんて考えていたときだった。


「おなかすいたー!」


 チビがハラへりを訴えた。


「もうおうちかえるー」

「は? いや、まてよ! まだうんこ見付かってねーから!」

「え~? ヤだ、ぼくもうあきたー」


 と、チビはこれまた頭の悪そうなワガママを言い出した。そして……


「もうっ、うんちがみつからないならだせばいいじゃない」


 なんか更にとんでもないことを言い出したっ!?!?


「は? ・・・はあっ!?!?」

「だから、うんちおちてないならおにーちゃんたちがここでうんちすればいいでしょ」


「「「っ!?!?」」」


 おれ達は、バカなチビのとんでもない言葉に絶句した。


「ほら、はやくしてよ。ぼくあっちむいてまってるから」


 ぷいっとそっぽを向くチビに子分二人を見ると、二人共すごい勢いで首と両手を振って拒否する。


「いや、そういうことじゃねーんだけどっ!?」

「じゃあもうかえる!」


 むずがるチビに、あせる。だが、チビを帰さないために、ここでうんこをする? そんなの冗談じゃないっ!! 絶対嫌だっ!!


「ま、待て! えっと、その、じゃあ、今からうんこ落ちてるとこ行くぞ!」

「え~? うんちおちてるばしょホントにしってるの~?」


 背に腹は代えられない。仕方ないが……本当に仕方ないが、村に戻ることにする。


 牧場に行けば、家畜のフンがどっかに落ちてんだろ。


 ただ……問題があるとすれば、おれ達がチビをイジメようとしていることがバレることだが……仕方ない。と、チビの手を引いて牧場に向かうことにした。


 そして――――


「あ、うんちはっけん!」


 森の中を見て回ったときには見付からなかったうんこが、牧場に行く途中であっさりと見付かった。


 しかも、されたてホヤホヤ感があり、周囲にぷわ~んとうんこ臭が漂っている。べっちょりしつつもあんまり臭わないから、これ多分放牧されてる牛のフンだろうなー……と、ちょっとゲンジツトウヒした気分でどうでもいいことを思う。


「どうしたの? おにーちゃんたち、ふまないの?」


 チビが、やたらキラキラした目でおれ達を見上げて言った。


 そう……このやたらキラキラした期待のこもる目には、おれも覚えがある。あれは、おれがまだチビのようにアホガキだった頃のこと。


 その辺りに落ちているうんこを見るたび、誰かうんこを踏ん付けないかな♪と、ワクワクした気分で見守っていたときの、希望に満ちた目だ。


 だが、おれはもうあの頃のアホガキではない。誰かがうんこを踏むことを期待してワクワクする程、子供じゃねぇ。おれはもうオトナだからな!


 そう、オトナになってしまったんだ……


 されたてホヤホヤうんこを前に、立ちすくんでしまう。


「ぼくをドアマットにするため、うんちふむんでしょ?」


 ちゅーちょしているおれ達を、キラキラした目が追い詰める。


「ぅぐっ……」


 うんこを踏むか、踏まざるべきか――――


 おれは今、人生最大の選択を迫られている!


「どうしたの? おにいちゃん? やらないの?」


 にこにこと、おれに究極の選択を突き付けた悪魔(ケビン五才児)が無邪気に笑って言う。


 チクショーっ!? おれの気も知らないでっ!!


 うんこを踏んだ奴なんて、めっちゃカッコ悪いだろっ!? それに、アレだ。うんこ踏んで靴汚すと、ぜってー母ちゃんにブチ切れられる。


 くっ、おれはどうすればいいんだっ!?


 そんな葛藤を続けていたときだった。


「アンタ達、こんなとこでなにしてんの? そろそろお昼だよ。うち帰んな」


 母ちゃんの声がした。


「あ、母ちゃん」

「そんちょーのおばちゃん、こんにちは」


 ちなみに、うちは父ちゃんが村長だ。村長の家のおばちゃんという意味だろう。


「あらあら、ケビン君は礼儀正しいね。はい、こんにちは。そろそろお昼ごはんの時間でしょ? お母さんが心配してるだろうから、おうちまで送って行こうかね? ほら、行くよマックス」

「あのね、おばちゃん」

「うん? どうしたんだい? ケビン君」

「おにーちゃんたちね、ぼくのことドアマットにするって」

「は?」

「え? ……っ!?」

「・・・マックス、どういうことだい?」


 母ちゃんの声が、恐ろしく低くなった。


 こ、このガキ母ちゃんにチクりやがったっ!?


「えっとね、それでね、うんちついたくつでぼくのことグリグリするってー。それでね、うんちさがしてたの!」


 えっへん! とでも言いたげ告げるケビンに、母ちゃんから漂う圧が強くなって行く。


「アンタはっっ!?!? 小さい子相手になんてことしようとしてんだいっ!? そんな極悪非道なことするような恥ずかしい子に育てた覚えはないよっ!?」


 特大の雷が落とされた。


「ああもう、ごめんね? ケビン君。怖かったでしょ? マックス達は、おばちゃんが叱っとくからおうち帰っていいよ。一人で帰れる?」

「うん、だいじょーぶ!」

「アンタ達、そこに正座しなっ!?」


 と、おれ達は激怒した母ちゃんにうんこの前で並んで正座させられた。


「おにーちゃんたち、ばいばーい。またあそんであげるねー♪」


 そして、おれらが説教を食らう原因になった悪魔は、にこにこと楽しげに手を振って帰って行った。


 それからおれ達は、昼めし抜きで数時間の説教をしこたま食らった。


 ドアマットにしようとした奴がちっこいクセに、とんだ悪魔だったっ!?


 更に、おれらがケビンをイジメるためにうんこ探しをしていたことが噂になって、アマリアちゃんを含む村中の人達から冷たい視線を向けられるようになった。


 だというのに――――


「おにーちゃんたち、きょうはなにしてあそぶ♪」


 元凶の悪魔は、今日もおれ達を笑顔で誘う。


 ケビン、なんておそろしい子っ!?


 ――おしまい――


 読んでくださり、ありがとうございました。


 某クソエッセイを読み返していて、降りて来たやつです。前回書いたホラーとの落差……ʬʬꉂꉂ(๑˃▽˂๑)


 書いてる奴の腹筋は、書く前からもうケビン君(五才)にやられてます。『婚約破棄の理由? それは・・・坊やだからさっ!!』のお嬢様の如く、全身筋肉痛です。腹筋痛い………_(¦3」∠)_


 マックス(八才)は、多分これからケビン君(小悪魔)に散々振り回されることでしょう。


 投稿のとき設定ミスって連載になっちゃったので、多分二話目は無いです。(*ノω・*)テヘ


 感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。

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― 新着の感想 ―
馬鹿ですね!でも、迷子にならないように手を繋いでたり、懐かれてたり…根は良いやつ?まあ、嫉妬から虐めようと(ただの脅し?)したから、たっぷりと遊び相手になって、しばらく村人達に軽蔑されて、償いましょう…
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