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苦手な方はご注意ください。

帰ってきたら日本は魔物に溢れる世界になってた〜「才能がない」という理由で廃棄された俺、死ぬほど努力して魔王を倒し現実に帰還。今更土下座されても遅い、唯一の魔法使いとして日本の未来を背負ってる

作者: 茨木野

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 俺の名前は【戸隠とがくしいさむ】。


 高校一年生。今日はゴールデンウィーク最終日だった――はず、だった。


「勇者召喚に成功しました!」


 ……気がつけば、見知らぬ儀式場の中央に立っていた。ファンタジーそのものの装飾、足元には輝く魔方陣。


 なんだ、ここ……?

 さっきまで映画を見ていたはずなんだが。


 でも今、俺はここにいる。意味がわからない。


 しかも、勇者召喚って……?


「勇者よ。突然の召喚、申し訳ない」

「は? あんた誰……?」


「ワシはゲータ・ニィガ王国の王、『ハーメッツ=フォン=ゲータ・ニィガ』という」


 壇上に立つ、髭面のオッサンが名乗った。その隣には、綺麗な女の子が控えている。


「わたくしは【ヴィーチェ】と申します。会いたかったですわぁ、勇者様ぁ」


 彼女はトトトッと近寄り、俺に抱きついてきた。


 ……胸が、でかい。思わず目がいく。


「突然のことで、さぞ困惑なさっているでしょう。すべて説明させていただきますわ」

「は、はあ……」


 王の説明は、要約するとこうだった。

•魔王が世界を支配しようとしている

•現地の戦力では歯が立たない

•そこで、伝説の『勇者召喚』を行った


「呼び出されたのが、俺ってこと……?」

「その通りだ、勇者よ。我らの世界を、どうか救ってほしい」


 ……困る。俺はただの高校生だぞ?

 魔物と戦えとか、無理に決まってる。


「大丈夫ですわ、勇者様。天より“三種の神器”が与えられますの。それがあれば、魔王とも戦えますわよ」


「三種の神器……?」


「はいですわ。鑑定スキル、アイテムボックス、そして……“聖武具”が」


 異世界召喚のテンプレだな、鑑定とアイテムボックスは。

 でも、“聖武具”? それは聞いたことない。


「聖武具とは、勇者に与えられる固有武器ですの。超強力な能力が秘められていて、ステータスも大幅に上昇しますわ」


「……なるほど」


 そんな便利な武器があるなら、戦える……のかもしれない。けど。


「やっぱり、俺は……無理ですよ」


「……ちっ。腰抜けが」


 国王が小さくつぶやいた。えっ?


「勇者様、しかし……魔王を倒さぬ限り、現実世界には帰れませんのよ?」


「なっ!? なんだよそれ……!」


「申し訳ありません」


 ヴィーチェが頭を下げる。


「勇者召喚は“呼び出す”だけの儀式。送り返す手段は、存在しませんの」


 ……それ、完全に誘拐じゃねーか。


「なんでそんなに弱気なのですか? あなた、勇者でしょう?」


「自分で名乗ったわけじゃねーし! それに俺には……妹がいるんだ!」


 妹――『戸隠 沙織』。

 中学三年生。両親を早くに亡くした俺たち兄妹は、遺産を切り崩して貧しい生活を送っていた。


 だから俺がバイトして、支えていた。

 俺がいなくなったら、沙織は……生きていけない。


「だから、帰らせてくれ! 俺は戦えない!」


「……はぁ。うざ」


「え? ヴィーチェさん?」


「なんでもありませんわ♡ でも、帰れませんの。魔王を倒さない限り、絶対に」


 ――話聞いてないじゃねえか。


 ……でも、もう、帰る方法がないなら……。


 沙織が、家で待ってる。

 帰らなきゃいけない。


「わかりました……俺、魔王を倒します」


「はいでは、聖武具召喚を行いましょう」


「え、あ、うん……」


 ヴィーチェが俺の手を握り、目を閉じる。


「創造神ノアール様。この者にふさわしい聖なる武具をお与えください」


 そして俺の右手にキスをした。


【この者の才にふさわしい、聖なる武具を与える】

【聖武具:《無限魔力貯蔵庫》】


 脳内に、声が響いた。

 胸の奥で、何かが脈打つ――だが。


 ……光が収まり、俺の手には、何もなかった。


「は? 何これ……? 武器は?」


 俺は何も持っていない。周囲からも、何も見えない。


「ぱぱー、こいつ外れだわ」


「やはりな。見た目通りの外れ勇者だ」


 ヴィーチェと王が、ため息をついた。


「ぺっぺっぺ! キッショ! こんな雑魚の手なんかにキスしちゃった! 手洗わなきゃ!」


「う、ヴィーチェさん……?」


「気安く呼ばないで、外れ勇者」


「なんだよその言い草!」


 叫んだ瞬間、複数の騎士に押し倒された。


「なにすんだよ!」


「あなたを、廃棄するの」


「……は?」


「たまにいるのよ。外れの勇者が。そういうのは、ダンジョンに捨てる決まりなの」


 は? ダンジョンに?


「なぜそんな――!」


「次の勇者を召喚するには、前のが死なないとダメなの。だから、ダンジョンにポイってするの」


「ふざけんなあああああああ!!」


「黙れ、外れ勇者。力なき者に価値などない」


 ハーメッツとヴィーチェは、俺を完全に“処分対象”として見ていた。


「転移の儀式を始めよ」


 魔法使いたちが呪文を唱えだす。

 転移――つまり、ダンジョン送り。


「やめろ! やめてくれ!」


「なんでゴミの言うこと聞かなきゃいけないの?」


 ヴィーチェがつばを吐く。


 ……俺を勝手に召喚して、外れだと判断して、ダンジョンに捨てる。


 ふざけるな。

 ふざけるなよ……!


「ヴィーチェ……ハーメッツ……てめえら、絶対に許さねえ!」


 体が光に包まれる。

 多分、転移の光。


 その瞬間――俺は、誓った。


『絶対に、現実に帰る』

『絶対に、この馬鹿どもは許さない』


    ☆



    ☆


 それから俺は、《七獄セブンス・フォール》と呼ばれるダンジョンへと廃棄された。


 そこは、世界最高難易度のダンジョン。

 ここに足を踏み入れた者は、誰ひとり生きて帰れない――と、鑑定スキルは教えてくれた。


 レベル1の状態で、そんな場所に放り込まれた俺。

 本来なら、恐ろしい魔物たちにあっさり命を奪われていたはずだった。


 けれど、俺は生き延びた。


 それは、俺の持つ聖武具――《無限魔力貯蔵庫》のおかげだ。


 この聖武具は、俺の体内に存在する“内臓のひとつ”。

 そう、剣でも盾でもない。俺の聖武具は……魔力を溜め込むための臓器だった。


 通常、人間が持てる魔力量には上限がある(ソースは鑑定スキル)。

 だが俺は、《無限魔力貯蔵庫》のおかげで、その枠を取り払うことができた。


 魔力を増やす方法はシンプルだ。体内の魔力をすべて使い切ること。

 そうすれば、次回以降に貯められる量が、倍になる。


 最初は、たった100しかなかった魔力量。

 だが地下でひたすら使い切っては溜め直す――その繰り返しで、


 100 → 200 → 400 → 800……


 と、倍々に増えていった。


 俺は数年を地下で過ごし、魔力を蓄え続けた。


 魔法の知識は、ダンジョン内の魔物から盗んだ。

 鑑定スキルを使えば、奴らが使う魔法の構成や効果を丸ごと解析できたからだ。


 こうして――魔力量は限界を超え、使える魔法の数も桁違いに増えていく。


 ついには、“ほぼ無限”といえる魔力量を手に入れた俺は、

 ダンジョンからの脱出に成功。


 そのまま、魔王を討伐した。


 魔王の死と引き換えに得た魔法――【超転移】は、世界間を自由に行き来するためのものだった。


 そして俺は、莫大な魔力量と魔王の財産を手土産に、現実世界への帰還を果たした。


    ☆


「ん……ここは……?」


 ふと目を覚ますと、見知らぬ天井があった。


「お兄ちゃん……?」


 そこにいたのは、黒髪の――とてつもなく美しい少女だった。


「あ……」


 ぽろり、と俺の目から涙がこぼれ落ちる。声が……震える。


「さ、おり……?」

「お兄ちゃん! おにいちゃああぁああああああああああああああああああああああああ!」


 ……耳が痛い。なんてデカい声だ。

 沙織が、ぎゅうっと俺の体を抱きしめてくる。……鼻孔をくすぐる、甘い香り。


 ああ、妹の香りだ。大きく成長した……俺の、妹。

 俺の――愛する沙織が、そこにいる!


 つまり……ああ、俺は、くそったれな異世界から、現実世界へと戻ってきたのだ!


「沙織!」

「お兄ちゃんっ!」

「沙織ぃ!」

「おにいちゃあぁああああああああああああああああああん!」


 ……しばらくして、沙織は落ち着いたらしい。


「沙織……教えてくれ。いま何が起きてる? おまえ……なんで、うちの高校の制服を着てるんだ?」


 俺の通っていたのは、私立アルピコ学園。

 ここは、入試成績トップだと三年間の学費がゼロになる、特待生制度のある高校だ。


 俺たちは極貧家庭で、進学するならこの制度を使うしかなかった。

(就職って選択肢もあったが、沙織に「高校くらい出て」と怒られた)


 だが、そんなアルピコ学園の制服を、なぜか沙織が着ている。


 中学三年の沙織が――だ。


「覚えてないの? お兄ちゃん、一年間ずっと意識不明だったんだよ?」

「!? 一年……!? 俺が?」


「うん。学校の階段から転げ落ちて、頭を打って、そのままずっと寝たきりだったの」

「そ、そう……だったのか……」


 ……いや、待て。

 なんだ、この違和感。


 階段から転げ落ちた……?


「頭を打って一年寝たきりになってたの。で、その間に、私が高校に……って、お兄ちゃん?」


「………………」


「どうしたの?」


 ……おかしい。

 俺は、確か映画を見ている最中に、異世界に召喚されたはずだ。

 そして、向こうで五年間を過ごした。


 だが沙織は、「こっちでは一年」だと言う。


 いろいろと、つじつまが合わない。


「お兄ちゃん、混乱してるんだよね。当然だよ。だって、ずっと寝たきりだったんだから」

「あ、ああ……そう、だな……」


「じゃ、私帰るね。また明日来るよ」

「おう……ありがとうな」


 ……正直、頭が混乱してる。

 少し、状況を整理したい。


「じゃあね、お兄ちゃん」


 沙織は立ち上がり、手を振って病室を出て行った。


「沙織……」


 これだけは、言っておきたかった。


「ただいま。それと……心配かけて、ごめんな」


 沙織は微笑んで、「お帰りなさい」と言って、病室を後にした。


 俺は一人、病室に取り残される。そして、大きくため息をついた。


「やっと……帰ってこれたんだなぁ」


 異世界での五年間は、まさに地獄だった。

 よく生き延びたと思う。


 ……帰還できたのは、沙織の存在があったからだ。

 一人残してきた妹のもとに帰るんだ。その意志が、俺を支えてくれた。


「ん……? あれ?」


 さっきまで沙織が座っていた椅子の上に、何かが落ちていた。

 それはスマホだった。


「沙織のやつ、忘れていったんだな」


 どうするか。明日また来ると言ってたし、そのとき渡しても――


 ……いや。沙織は女子高生だ。スマホがないのはつらかろう。

 よし、届けに行くか。


 俺はベッドから抜け出す。

 一年間寝ていた割に、体は不思議と軽かった。


 時計を見る。


「まだ18時か。問題ないな」


 病室を抜け、廊下を歩く。懐かしい、現代日本の建物だ。

 リノリウムの床を踏みしめながら、俺は受付へと向かう。


「あのー、すみません」

「ああ、戸隠さん。どうしました?」


 受付にいた看護師が、俺に尋ねてくる。


「妹が忘れ物して……ちょっと外、出てもいいですか?」


 その瞬間、看護師の表情が変わった。


「何言ってるんですか!? 死にたいんですか!?」

「……は?」


 いや、死にたいって……そこまで言うか?


「今は、【逢魔が時】なんです! 外出なんてとんでもない!」

「お、おう……?」

「とにかく! 18時以降は全国民外出禁止! そんなの、常識でしょう!?」

「え、ええー……」


 俺は看護師にボロクソに叱られて、病室へと戻ってきた。


「なんだよ……ちょっと出ようとしただけなのに……」


 どうしよう。普通に届けに行こうとしただけで、あんなに怒られた。

 まあいい、明日渡そう。


 ……と、そのときだった。


「!? 魔物の……魔力……?」


 俺は奈落での修行の果てに、魔力を感知できるようになっていた。

 ダンジョンでは、気配を消して忍び寄る敵も多く、自然と身につけた技術だ。


 だが――


「おかしいだろ……なんで、こっちの世界に魔物が……?」


 沙織からは魔力を一切感じなかった。

 看護師たちも、同様だ。


 現代日本には、魔力が存在しない。

 それが常識だった。


「魔物の魔力が……1、2……10体!? どうなってんだ……?」


 わからない。だが、行くしかない。


 ……さっき沙織は帰ったばかりだ。


 もし、あの魔物が――沙織を襲っていたら……!


「沙織!」


 俺は病室の窓を開ける。そして、叫ぶ。


「【飛翔フライ】!」


 空を飛ぶ魔法だ。

 ……問題なく使える。こっちの世界でも、魔法が。


 俺は空へと舞い上がる。


 ぬるり――。


「なんだ……いまの……?」


 まるで蜘蛛の巣を抜けたような、不快感。

 病室の外へ出ると、目に入るのはビル群。東京だ。見慣れた街並み。


 でも、なにかが違う。異様な違和感がある。

 それを考えるより早く、魔物の気配へと向かう。


「! いた……って、あれは……」


 そこにいたのは――

 半透明の化け物。


 人間ほどのサイズで、宙に浮いている。


「なんだ、あれ……」


 魔物だ。魔力の気配からして、間違いない。

 だが異世界の魔物と比べると――


「魔力量が、微弱すぎる……」


 異世界のスライムですら、もっと魔力量はあった。

 魔物は、魔力が強さに直結する。


 それなのに――


「しっかし、なんだこいつ……?」


 俺はその化け物の前へと降り立つ。

 近づいても、微弱な魔力しか感じない。


 異世界の赤ん坊ですら、こいつより強いぞ?


「【鑑定】」


 わけのわからないモノを見たら、とりあえず鑑定スキル。

 それはもう習慣だ。


~~~~~~

怨霊(Lv 0.3)

→死んだばかりの人の霊が、妖魔化したもの

~~~~~~


「はぁ? レベル0.3ぃ?」


 ツノウサギという初心者モンスターでも、レベル3だぞ?

 赤ん坊ですら、レベル1だ。


 つまり――


「異世界の赤ん坊以下の、ゴミってことか……」


『おろろろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』


 その“怨霊”とやらが、俺に襲いかかってきた。


 スカッ。


「…………」


『オロロロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』


 怨霊が俺に殴りかかってくる。何度も、何度も、何度も。


 だけど――


「なんなのおまえ?」


『……お、おろ……ろぉ……』


 意味不明だ。マジでわからん。


 まあ、一応襲ってきてるし、軽く追い払っておくか。


 俺は右手を前に出す。魔力を引き出して、手のひらに集め――


『オロォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』


 ばしゅぅううううう!


「え、ええええ!? き、きえた……!?」


 なにこれ。俺、魔力を手に集めただけなんだけど……それだけで、怨霊が消し飛んだ。


「なんなんまじで……」


 現実世界にモンスターがいる時点でヤバいのに。

 いや、モンスターじゃないのか? でも魔物の魔力は感じたんだが……うーん?


『オロロオオオオオオオオオオ!』『オロロオオオオオオオオオオ!』

『オロロオオオオオオオオオオ!』『オロロオオオオオオオオオオ!』


 なんか、続々と増えてきたんですけど。


 一斉に突っ込んでくるけど……。


 すかっ、すかっ、すかすかっ。


 当たってもダメージゼロ。弱すぎる。


「うざってえな……魔力撃」


 右手に魔力を収束し、ぶっ放す。


 ズドオオオオオオオオオオオオオン!


 怨霊、全滅。


「雑魚すぎんだろ……」


 魔法ですらない、ただの魔力弾だぞ? 適当にぶつけただけで壊滅って。


「これが日本……?」


 ――と、そのとき。


「大丈夫ですか、そこの人!」


 声が聞こえた。聞き覚えのある声。


「さ、沙織!?」

「お、お兄ちゃん!?」


 駆けてきたのは、沙織――俺の妹。


 無事だったか、よかった……。


「お兄ちゃん! 何やってんの!? 今、逢魔が時なんだよ!」


 また出た、その単語。


「妖魔がうろついてるの! 逃げなきゃ!」

「妖魔……さっきの怨霊のことか?」

「そう!」

「倒したけど」

「………………は?」


 沙織、ぽかん顔。


 ……と、そのとき。


「お兄ちゃん、よけて!」


 突如として、また怨霊が現れた。マジで、わいて出てきた。


「こんな強力な怨霊、見たことない……!」


~~~~~~

怨霊(レベル1)

~~~~~~


 え、レベル1?


 赤ちゃん魔物と同レベルなんだけど……。


「わたしがおとりになる! 逃げて!」


 沙織が右手を前に突き出す。


「我が身を喰らえ、【血刀《桜》】!」


 ……は?


 け、血刀? 桜? 沙織……?


 沙織の手に、日本刀が出現する。


「に、日本刀!?」

「ぜやぁああああああああああああああああ!」


 気合とともに突撃する沙織。


 だが――


 ガキィイイイイイイイイイン!


「きゃあああああああああああああああああああああ!」

「沙織ぃいいいいいいいいいい!」


 はじかれ、吹き飛ぶ沙織。


 俺は咄嗟に抱きとめた。


「沙織! 大丈夫か!?」

「う、ん……だめ……逃げて……おにいちゃん……あの妖魔、強い……」


 つつ……と、額から血が。


 は?


 ……おいおい。


「おい、てめえ……俺の妹に何してくれてんだよ……」


 右手を掲げる。


煉獄業火球ノヴァ・ストライク!」


 ぶち切れた俺は、最大級の攻撃魔法を放つ。


「死ねぇえええええええええええええええええええええ!」


 ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


 町に隕石が落ちたかのようなクレーターができる。


 怨霊は、跡形もなく消滅していた。


「沙織ぃいいい! 大丈夫か!? しっかりしろ、沙織ぃいい!」


「う、ん……お兄ちゃん、今の……」


「【小回復ヒール】!」


 ぱぁああ……!


「!? け、けがが治った!? これって……呪禁?」


小回復ヒール! 小回復ヒール! 小回復ヒール! 小回復ヒール!」


「お兄ちゃん! 大丈夫だから! もう治ったから!」


    ☆


 このときの俺は、まだ気づいていなかった。


 ここは、元いた日本じゃない。


 妖魔というモンスターが現れ、妖刀使いがそれと戦う、ちょっとズレた現実世界――。


 そして沙織は、その妖刀使いの一人だった。


 ……俺はこのあと、沙織から真実を聞く。


 そして、妹を守るために、現代唯一の魔法使いとして戦う決意をするのだった。


 その後、異世界のやつから、救難信号がくる。

 ――異世界に戻ってほしい?


 すまんな。


 俺はもう、異世界に未練なんてない。


 俺のすべては、妹のためにある。それ以外は、どうでもいいんだ。

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― 新着の感想 ―
あらすじ前回の短編のままですかね? 主人公の名前が違ってたのでちょっと気になりました( ^_^ ;)
冒頭のヴィーチェのキスしたから手を洗う→口を洗うにした方がいいのでは? 主人公、魔法より水か氷使いに特化した方がいいですし 実妹と禁断の恋に発展しちゃうのかな? 18時以降、外出禁止って飲食店大ダメー…
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