3.友
時間が経つのは早い。
俺の場合、1日の多くをバイトで過ごす事が多い。
親戚の家から頂いてる生活費もあるし、両親が残した財産もあるが俺がバイトを続けるのは家に誰もいない寂しさを埋めるためだろう。
「誰もいない」またあの夢を思い出す。
そんなこんなで修学旅行が刻一刻と近づいていた。
バイトの先輩達に行くか迷っているという相談をすると、
「絶対行ったほうがいい!」
と言っていたので参加を決めた。
でも、参加するなら友達の1人くらい作っておきたい。
流石に、自由行動の時間、1人で沖縄を回るのは気が引けた。
まぁこの学校にまともで話の合う奴がいればだが。
まず、廊下を歩いてみたが、ヤンキーしかいない。
俺が通ると、ヤンキー達が避けて行った。
理由を俺が考えるには、
・見た目が厳つい。(金髪、ピアス、学ランの着方)
・普段見ないから、強いのかもわからず、様子見。
みたいなところだろうか。
居心地が悪すぎるので、すぐ教室に戻った。
今日は、バイトもなかったので、図書室に来てみた。
放課後の図書室なら、ヤンキーもいないはず!という考え。
予想外だったのは、ヤンキーどことか先生すらもいなかった。
奥に歩いていくと、この学校では珍しい、黒髪の人が1人、勉強していた。
ん?あの人を見ているとどこか体がザワザワしてきた。
そんなことは無視して、名札の色的に同い年だ!と思って話しかけてみることにした。
「前、座っていい?」
「あ、え、うん。いいよ」
俺は彼がひと段落するまで本でも読んで待つことにした。
30分程すると、彼のスマホのアラームが鳴って片付けをしていた。
「ねえ?名前、なんで言うの?2年生だよね?」
俺は、聞いてみたが、彼はかなり怯えていた。
無理もない。ヤンキーばかりの学校だし、第一、俺がこの見た目なんだから。
そんな彼を前に、俺は話しかけた理由を伝えてみることにした。
「急に話しかけてごめん。
見た目はこんなだけどさ、ヤンキーじゃないし、なんならこの学校に友達いなくて、、。
もうすぐ修学旅行だし、友達作りたいなって思って。
よかったら友達になってくれない?」
しばらく沈黙が続いた。
「うん、。いいよ。よ、よろしく?」
「なんで疑問形なんだよー!よろしく!!」
時計を見ると完全下校時間が近づいていたので、LINEを交換して別れた。
俺の人生に、一つ芽が生えた気がした。