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想い涙  作者: 黒水 海
1/4

始まり.8月15日

もう何もない土地にただ一人、男が立っていた。

いや、厳密に言えば、何もないのではなく、瓦礫ばかりが落ちていて、建物の一つもない。といったところだ。

周りに人の1人もいない。

男は、ボロボロになった衣服を着て、痩せていて、顔が黒く汚れていた。

男は、大粒の涙を流していた。

それは、悔しくて、悲しくて、そして、どこか嬉しそうにも見えた。

幼い頃から抱いていた夢、大切だった人、あの日見た眩しさを思い出しながら目を閉じた。

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