「序色 創造神話』
その昔。遠い遠い昔のそのまた昔。この世界に人類は存在してなかった。
天使と悪魔。神様がこの世に生み出したのはその二種族だけ。しかし、その間に一本の線が引かれているかのように交わる事の無いその二つは、この世に存在してからずっといがみ合っていた。まるで触れ合う事の無い磁石のように決して――。
だがついにその時はやってきてしまった。互い越える事の無かった一本線を、上塗りする鮮血は最早どちらのものかすらも分からない。一度ぶつかり合えば仕切りを失った水の如く、瞬く間に激化し世界は戦火に包み込まれてしまった。
それを見かねた神様は悪魔と天使を引き離し、それぞれに天界と地獄という場所を与えた。そしてその間に地上を作り、生み出されたのが人類。
だが燃え盛る火が早々と鎮火する訳も無く、悪魔と天使はそれぞれが人間と契約を交わし力を与え始める。天使も悪魔も契約を交わす人間の前にしか現れず、人類にとってその存在は未知数。だが力を得る者は人類にとって日常的であり、そんな契約を交わした者を人類はコントラクターと呼んだ。
そんな天使と悪魔の目的は人類全てを自軍の契約者とし地上を手に入れる事。時を経ても尚、争いに終止符は打たれず地上を巡り人類を使った実質的な代理戦争が静かに開戦の狼煙を上げていた。