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マスカレイド・ナルキッソス  作者: 栗木下
3:体育祭編
74/499

74:甘い言葉にはご用心

「では一つ目の話からしていこう。デビュー戦が終わった事で、公式に学園生徒に対するスポンサー行為やスカウト活動が解禁された。結果、一部の生徒には、既に様々な申し出の話が舞い込んできている事だろう」

 これは事実である。

 俺のマスッターにも、その手の話はたくさん来ていて、途中から面倒になって来たので、スズたちに選別をお願いしているぐらいである。


「ただ、その手の申し出をする者の中には、例年必ずと言っていいほどに、不届き者が混ざっている。よって、申し出を受けて面談、交渉、契約をする際には、必ず学園の外務部に相談をして確認とアドバイスを貰うようにしてもらいたい。不当な契約を結ばされかねないからな」

「そんなの居るんだ?」

「居るね。ナル君に届いていたものの中にも、何件か怪しいのはあったし」

「お、おう……」

 どうやら他人事ではないらしい。


「実例をいくつか説明しておこう」

 そう言うと味鳥先生は不当な契約について、実例を交えて説明してくれる。

 いやうん、決闘者についての説明でも出て来た話と同じものも混ざっているな。

 決闘でズタボロにされるなら良い方で、借金地獄、ブラック企業での酷使、この辺りはそうだ。

 だが他にも、犯罪に巻き込まれたり、男子生徒がレイプされた例とか、色々と黒い話が出てくる。

 普通に怖い。


「そう言うわけだから、プロである外務部とは必ず連携するように。特に学園を通さずに直接生徒へと交渉を仕掛けてくるような連中は確実にクロだ。間違っても生徒だけで対応しようなどとは思うな。もしも心当たりがあるのなら、直ぐに学園へ通報を。決闘学園の名に懸けて、必ず助け出す」

 味鳥先生の言葉に俺たちは素直に頷く。

 とは言え、俺と護国さんの決闘の件のように、合法的に国益も出るように詰められると助けられないようだし、俺自身の警戒もしっかりとする必要はあるだろう。


「では、次の話。今後の授業日程についてだ。樽井先生」

「……。はい」

 樽井先生が黒板に表のようなものを張り出す。


「見ての通り、今後の火曜日から木曜日は基礎訓練あるいは決闘の為の調整として、各自自主的に動いてもらう事になる。怠けても構わんが、怠けた分の借金は実戦で取り立てられることになるから、しっかりと練習をするように」

「……。金曜日は一年生の決闘が行われる日として開放されています。マッチングは学園が設定したシステムによって決定され、一年生の場合は……おおよそですが、一月に一度は決闘をしてもらう事になりますね」

 なるほど。

 月曜日は今やっているようにミーティング。

 火曜日から木曜日は基本的には調整と練習を行うための日。

 金曜日は決闘に挑むか、他の人の決闘の見学。

 と言う形になるらしい。

 ちなみにだが、今後は三年生は月曜日か火曜日、二年生は水曜日か木曜日の午後に決闘を行う事が多くなるらしい。

 当然ながら先輩たちのが戦術戦略共に見応えがあるし、小隊戦とやらも開催されているそうなので、先輩たちの決闘を見学するのも、勉強の一つとして選択肢に入るようだ。


「……。もちろん、他の日に開いている舞台を使って決闘を行うことも出来ます。が、そちらを成績に反映させる場合には、事前に決闘に臨む者全員の許可と学園への申請が必要ですので、お忘れなく」

「成績に反映させない場合は模擬決闘という事になるな。先生としては、実戦練習という事で、舞台が空いているなら、こちらをおススメするぞ」

 なお、そう言う空いている時間を利用して、俺と縁紅がやったような本気の決闘が行われることもある。

 また、どうしてか企業同士の決闘の代理人として学園の生徒同士が選ばれたので、学園内で決闘が行われることもあるようだ。

 こういう時は色々と本気度が変わってくるし、マスッターに通知も来るので、興味がある人間は見に行くらしい。


「それで月曜日にはミーティングという事になっているわけだが……実は今週のミーティングが終わると、次にこの教室で、それとこの面々でミーティングをするのは体育祭明けになる」

「はい?」

「……。体育祭だけでなく、文化祭の前後でもこうなります。と言うのも、これらのイベントは寮ごとに分かれて行動する事になるため、この時間を使って、それぞれの寮で話し合う必要があるのです。そんなわけで、体育祭明けまで、月曜日のミーティングの時間は各寮にあるミーティング室に集まる事になります」

「ああ、なるほど」

「そう言う訳だから、来週から各自間違えないように。まあ、マスッターをきちんと確認すれば問題はない話だがな」

 この時点で……まあ、色々と察した気がする。

 どうして各寮に分かれて座っているとか、各寮の総合的な成績優秀者が招かれているのかとか、各寮の総合的な成績優秀者と魔力量甲判定を一緒にしているとか、その辺について色々と。

 しかしそうなると、火曜日から木曜日のマスカレイドの授業にしても、決闘の準備もしつつ、そっちの準備もしないといけなくなるわけか。

 結構忙しそうと言うか、大変そうだな。


「さて、既に大部分の者が察しているだろうが、三つ目の話である体育祭についてだ」

 黒板の表が剥がされて、別の表が張られる。


「改めて言うが、体育祭は各寮ごとに分かれて活動する事になる。そして、基本的には各寮の一年生を指揮する事になるのが、この場に居る面々と言うわけだ。二年生三年生の代表とも協力をして、それぞれの寮の勝利を目指し、頑張ってもらいたい」

 うん、やっぱりそう言う事らしい。

 いやしかし、護国さんや吉備津はともかくとして、俺や徳徒たちに指揮をするなんて無理だろ。

 精々、神輿として担がれるぐらいが……。


「だから私が居るんだよ、ナル君」

「あ、はい」

 うん、そこまで思って自分でも分かった。

 俺はマスカレイドをして、エースとして、競技で活躍することで士気を上げる。

 どんな競技があるかは分からないが、たぶん求められているのはそこまでだ。

 俺がやるべき指揮の仕事については、スズ及び前の席に居る戌亥寮の二人に任せろ、そう言う事なんだろう。

 そして、もしかしなくても、徳徒たちも同様、と。


 なお、スズがナチュラルに俺の心を読んだかのような発言をしたが、スズならこういう時に俺が何を思っているかは察していて当然なので、驚く事ではない。


「決闘学園の体育祭は、基本的にマスカレイドを利用したものとなる。その様子はテレビを通して外部でも放映される。スポンサーも沢山付く。つまり、考えるまでもなく、活躍をすればそれだけ目立つ場でもある」

「……。また、普段は行われないような特殊なルールでの決闘が行われる場でもあります。そう言った特殊なルールに慣れ親しむ事が出来る貴重な機会でもありますので、どうか生かすようにお願いします」

 話を戻して。

 マスカレイドを利用した体育祭。

 それだけ派手で、色んな人の目を引く事にもなる。

 それはつまり、俺の仮面体の美しさを見せつける場面にもなるという事だろう。

 キャストオフには気を付ける必要があるが……うん、楽しみになってきた。


「ではこれで今日のミーティングは終わる。この後は……そうだな、少なくとも、同じ寮の者とは自己紹介と連絡先の交換を終えておくように。忘れると面倒だぞ」

「……。では、先生たちは先に失礼しますね。体育祭の詳細については、マスッターの方に詳しいページが出ていますので、そちらを確認するようにしてください」

 そうして今日のミーティングは終わったのだった。

 で、俺とスズは護国さんたちに軽く挨拶をすると、早速戌亥寮の二人と共に、適当な教室へと移動したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 社会経験の無い高校生とかいいカモですからね。やはりプロのサポートは必須。 >キャストオフには気を付ける必要があるが マスカレイドするとそこ気を付けなくなりますよねw
[一言] > 結果、一部の生徒には、既に様々な申し出の話が舞い込んできている事だろう ここにいるに上澄みにはきてるでしょうね >途中から面倒になって来たので、スズたちに選別をお願いしているぐらいであ…
[一言] >男子生徒がレイプされた例 ☀「こんなこと見逃すわけにはいかないわ!早速調査しましょう(キリッ)」 >キャストオフには気を付ける必要があるが……うん、楽しみになってきた 先生「風紀を乱して…
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