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マスカレイド・ナルキッソス  作者: 栗木下
8:文化祭編
327/499

327:文化祭一日目・ジャッジ&バニー

「レディィィィィスッ! アンド! ジェントルメェェェン! この度は文化祭、戌亥寮の名物出し物、宣言決闘の観戦にお越しいただき、誠にありがとうございます!!」

 文化祭一日目の13時。

 大ホールにて、戌亥寮の出し物である宣言決闘が始まった。


「司会進行は、わっちこと戌亥寮一年、学園広報部、決闘司会専任、照東(てるあずま)京子(きょうこ)が務めさせていただきます! ぜひぜひ名前を覚えていって下さいませー!」

 朝日色の髪の女子生徒……照東京子が、大きく手を振って、大ホールに集まった観客たちに自身の存在をアピールしつつ、話を進めていく。


「まずはルール説明から。宣言決闘のルールは簡単に申し上げてしまえば、『右ストレートでぶっ飛ばす』と宣言したならば、右ストレートでぶっ飛ばさなければいけない。と言うものです」

 照東がシャドーボクシングをしながら、説明を続ける。


「では、もしも宣言に反する攻撃を行ったら? 判断を行うのは五名のジャッジです。このジャッジたちの内、過半数が宣言に反したと判断したならば、その時点で敗北! つまり、この決闘では、相手に自分の攻撃内容を教えた上で、相手に有効打を与えなければいけないのです! そう、頭と体も酷使する、実に文化的な決闘なのです!」

「「「ーーーーー~~~~~!!」」」

「ちなみに、本日のジャッジを行う五人の生徒はこちらの五名となっております!」

 舞台の外、舞台を囲うように立つ五人の生徒にスポットライトが当てられる。

 そこに居るのは戌亥寮の二年生、三年生であり、スポットライトが当たると同時に観客へ自身の存在をアピールするように手を振る。

 そして、五人の内の一人……熊白にマイクが渡される。


「今日の審判長となる熊白だくまー。分かりづらい宣言をしたら、その時点でくまたちの心証が悪くなるから、出来るだけ分かり易い宣言をしろと先に言っておくくまー」

「はい、ありがとうございましたー!」

 照東がそう言うと、審判に当たっていたスポットライトが消される。


「では続きまして、最初にどちらの攻撃から始まるのか、今現在どちらのターンであるかを示すルーレット担当者の紹介です。今年は三日間、とある人物がルーレット係を務めてくれることになりました」

 別の場所にスポットライトが向けられる。

 そこにあるのは人の背丈を超える大きなルーレット盤と一人の男子生徒。


「戌亥寮一年、翠川鳴輝。いいえ……」

「マスカレイド発動。魅せろ……」

 照東の声に合わせるように男子生徒がマスカレイドを発動する。

 全身が光に包まれて、その姿形を変えていく。

 だが、そのシルエットは他の生徒たちにもよく知られた男子生徒のものとは少々異なるものであり、具体的に言えば、普段よりも頭頂部や腰の辺りに追加されているパーツが有り、背も高くなっている。


「おい待て、まさか……」

「マジか……マジかよ!」

「来るのか……来るんだな……!」

 その事に気づいた目敏い何人かの生徒がざわめき始める中、光が晴れていく。


「……」

 初めに見えたのは手袋に覆われた手で、その手首には可愛らしいリボンが結ばれている。

 次に見えたのは高いヒールを持つ靴、シンプルなアンクレット、網タイツで、美しい脚線美を見せている。

 そこから胸の谷間を見せつけるような、動き方によってはズレたり落ちたりしてしまうのではないかと不安になる形のビスチェとレオタードを合わせた衣服が現れて、腰にウサギの尻尾を模した白い毛玉が装着される。

 首の光が消えて、可愛らしいチョーカーが露わになる。

 絶世の美女と言って差支えのない顔が現れて、耳からイヤーカフスが提げられる。

 そして最後に頭頂部から二本の長い耳……ウサギのそれを模したものがその存在感を示す。


「ナルキッソスです!」

「「「ーーーーー~~~~~!!」」」

 そう、現れたのは、バニーガール衣装を完璧なまでに身に纏ったナルキッソス。

 その姿は正に可愛らしい白兎。

 浮かべる笑顔は自信に満ち溢れたもので、見る者の様々な欲を喚起してやまない物。

 大ホールが本日一番の歓声に包まれるのも当然の事であった。


「こんにちはー! 今日は楽しんでいってくれー!」

「「「ーーーーー~~~~~!!」」」

 ナルキッソスはルーレット盤を移動させつつ、所定の位置へと移動。

 ルーレット盤を動かないように固定すると、その隣に立つ。


「これにて運営側のメンバーは揃いました。なお、宣言決闘の細かいルールにつきましては、戌亥寮の『マスッター』ページをご確認くださいませー!」

 照東はナルキッソスに向けられる歓声の量に内心で歯噛みしつつも、自身の役割を果たすべく、言葉を紡ぐ。


 なお、宣言決闘の細かいルールであるが、大筋は通常の決闘と変わらず、どちらかのマスカレイドが解除されれば決着となる。

 変わるのは宣言周り。


 まず、決闘開始直前にルーレットが回されて、ルーレットで選ばれた方が攻撃者となる。

 攻撃者は自分の攻撃内容を宣言し、その宣言内容に沿うように攻撃をしなければいけない。


 防御側は防御するも回避するも自由だが、意図した反撃は決闘の趣旨に反するとして禁止。


 攻撃側の行動が終わった時点でジャッジは攻撃が宣言に沿っていたかを審判する。

 審判をした結果、アウトだと判断したらジャッジが赤い旗を上げ、過半数……五人中三人が旗を上げたなら、その時点で攻撃側の敗北となって決闘は終了となる。


 ちなみにナルキッソスが管理するルーレット盤は、最初に回された後も、今がどちらの攻撃の番なのかを示すために使われる。

 そのため、ナルキッソスの役目は案外忙しいものであったりする。


「それでは、第一決闘に参加する決闘者の入場です!」

 これで事前にするべき説明が無事に終わった。

 だから、此処からが本番。

 そんな事を内心で思いつつ放たれた照東の声と共に、再びスポットライトの照らす先が変わる。

ちなみにバニーガールナルキッソスが身に付けている幾つかの品は、スズたちが直前に服飾サークルで購入した物となっております。

これらの品は流石にまだ『ドレッサールーム』に取り込み切れていないので、ナルは注意を払いつつ動き回っています。

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― 新着の感想 ―
>照東京子 駄目照様の分体とまではいかなくても、因子ぐらいは入ってそう。 >動き方によってはズレたり落ちたりしてしまうのではないかと不安になる形のビスチェとレオタードを合わせた衣服 実際のバニース…
>照東京子が務めさせていただきます! 照東ってまさか駄目照さま? >この決闘では、相手に自分の攻撃内容を教えた上で、相手に有効打を与えなければいけないのです! 右ストレートを当てても耐えられてぶ…
取り込み前の装備があるから動きが慎重にならなければならず、しかもそれがプレゼントであるが故に万が一の破損もナル君的には避けたいのですな。 なおスズ様達はナルキッソスを飾り立てる事こそが目的に思えるの…
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