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マスカレイド・ナルキッソス  作者: 栗木下
7:文化祭前の日常編
280/499

280:第二回モデル撮影

「マスカレイド発動。魅せろ、ナルキッソス」

 新しい『シルクラウド・クラウン』を着用した俺はマスカレイドを発動。

 仮面体に変身する。


「ナル君。調子はどう?」

「そうだな……。違和感はない。けれど、力が満ちているのは感じている。と言うところだな」

「つまりは良い感じな訳ですネ」

「そうなるな。使い勝手は変わらずに決闘で必要な要素は強化されてる」

 そうしてまずは、軽い柔軟運動から始めて、体の調子や、力を込めた際にどの程度の入れ方でどれだけ出力されるかを確認していく。

 一つ確実なのは、僅かではあっても、これまでよりも確実に戦闘能力は上がっている、と言う点だな。

 その僅かな差が決闘の行く末を変える可能性も十分にあるのだから、これは良い点だろう。


「ではナルさん。撮影を始めましょう。あちらに服は用意してあります」

「分かった。着替えてくる」

 では、モデル撮影を始めよう。

 と言うわけで、俺は『シルクラウド』社が用意してくれた衣装に着替えると、カメラマンさんの指示に従ってポーズを取り、写真を撮ってもらう。


「次のポーズをお願いします」

「分かりました」

 今回用意された衣装は……秋物と冬物だな。

 基本的には長袖で露出度は低い。

 生地の厚みは薄いものもあれば厚いものもあり、必然的にその服を着る際に想定されている温度も違う。

 クーラーが効いているとはいえ、半袖のスタッフも多いようなスタジオ内で着ると、本来は暑い服であるが……。

 この点については問題ないな。

 俺は仮面体であり、この程度の暑さではダメージにもならない。


「ナルさん。問題なく着ていられてますね」

「脱ぎたいと言う気持ちはあるぞ。借り物だからキャストオフするわけにはいかないと言う気持ちもあるから、着続けているけど」

「なるほど」

 むしろ問題なのは露出度の低さだな。

 シスター服やライダースーツの時もそうだったが、露出度の低い服装と言うのを、仮面体の俺は好まないらしい。

 どうしても脱ぎたくなってしまう。

 俺の美しさは肌を直接空気に晒してこそと言う思いが強いからだろう。

 そしてこれは俺自身、否定する気もないし、否定させる気もない。


「そもそモ、魔力で作り出した服でないとキャストオフは出来ないのでハ?」

「いや、服を内側から弾けさせるようなキャストオフなら出来る。と言うか、夏休み中に自腹で買った服で試したら出来た。だから、気を付けると共に我慢はしないといけない」

「なるほどでス。でハ、無理だけはしないようにしてくださイ」

 ただ方向性が違うだけで、他の服を着たって俺は美しい。

 長袖のコートでも、厚手のセーターでも、薄手のシャツでも、俺にはよく似合っている。

 そして似合っているからこそ、カメラマンさんの指示は細かいし、厳しくもなる。

 だから、俺もそれに応えるように、全力で応じていく。


「うーん、ナルちゃんの露出度が低い……いやそれでいいんだろうけど……」

「ファッション誌は服がメインですからネェ」

「そうですね。ただ、服の方を目立たせると言う技術は……今後のナルさんの為になるかもしれません」

 イチの言う通りだ。

 俺ではなく服を目立たせる技術は決闘でも使える。

 俺が目立つのは周知の事実。

 そんな俺が一瞬であっても目立たなくなれば、それは強烈な光が唐突に消えてなくなるようなもので、相手次第では動揺を誘うくらいの事は出来るかもしれない。

 それは立派な武器になる事だろう。

 このモデル撮影で、魔力を用いない単純な技術として、その手の技術を少しでも掴めれば……少なくとも便利なのは確実だろう。


「オーケーです! では次の服をお願いします!」

「分かりました!」

 今着ている服についてはこれで終わりらしい。

 と言うわけで、俺は服がまとめて置いてある場所へと移動して、次の服を見る。

 えーと、次は……ネグリジェのようだな。

 かなり薄めの生地で、手にした限りでは脆そうに思える。

 なので俺は慎重に着替えると、ゆっくりと歩いてカメラの前に立つ。


「……」

「スズ?」

 そうして俺がカメラの前に立って、ポーズを取った。

 するとスズが震え出して……。

 ああうん、これは駄目だな。


「!?」

 鼻血を噴き出しつつスズが倒れた。


「ア、スズが死にましたネ」

「水着の時にもなった奴ですか」

「ナルキッソスさん、こちらに顔をお願いします」

「はい、分かりましたー」

 うん、予測可能、回避不可能と言う奴だな。

 とても幸せそうな顔で倒れているスズはスタッフさんによって回収されて裏へと運ばれていった。

 しばらく静かな場所で落ち着いていれば、戻ってこれるだろう、たぶん。


「いやしかし、これ、発刊出来ますかね?」

「編集長はアウト判定を出すかもしれませんね」

「あの美貌と薄手のネグリジェの組み合わせは想像以上にヤバいですね……」

「まあ、ファッション誌は無理でも、ナルキッソスさん個人の写真集ならきっと行けるでしょう」

 なお、俺が今着ているネグリジェは、薄手のワンピースで、ボディラインや下に着けているものが薄っすらと見えるものになっている。

 正直に言って、着ている俺自身も、裸よりよっぽどエロイんじゃないかと思ったりしたが……まあ、下着はきちんと身に付けているのでセーフだろう。


「以上でモデル撮影は終了となります。お疲れさまでした!」

「ありがとうございます! 皆さん、お疲れさまでした!」

 まあ、とりあえずモデルとしての撮影は終わった。

 では、昼休みを挟んだら、ある意味ではモデル撮影以上の難題……第二回ドレスパワー検証会、それと、新しく『シルクラウド』社から貰ったスキルの試運転会と行こう。

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― 新着の感想 ―
バッファローマンのコスプレして1000万パワーを引き出せたら凄くない?
スズが死んだ! この人手無し(人員不足)!! というジョークはさておいて、 さすが、スズさんや、ナル君なら性別なんて些細な事ですかねw どっかの元社長が気が付かれそうで気が付かれない微妙な世…
>次は……ネグリジェのようだな ☀「巴ちゃんにも写真送信しておきましょう」 その頃決闘場 解説「お~と、トモエいきなり倒れて行動不能になった!一体何が起こったのか!?」 >「編集長はアウト判定を出す…
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