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マスカレイド・ナルキッソス  作者: 栗木下
6:デートラッシュ・夏編
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249:遊園地へ行こう

「巴とはデートに行きましタ」

「そうだな」

「イチとも実質的にデートをしたと言っていいでしょウ」

「一日一緒だったから、俺からは否定できないな」

「と言うわけデ、マリーもナルとデートへ行きたいでス!」

「よし分かった行こう!」

 そんなわけで、今日はマリーとのデートをする事になった。

 正直なところ、マリーから言い出さずとも、夏休み中の何処かでマリーとスズの二人とそれぞれ別にそう言う事をするつもりはあったのだけれど、マリー自身が行きたいと言うのなら、この機会に行くべきだろう。


「それでマリー。何処か行きたいところとかはあるのか?」

「そうですネ……ショッピングモール内に作られている遊園地へと行きたいですネ。今まで行ったことが無いのデ、折角だから行ってみたいでス。噂によれバ、夏限定のホラーハウスとかも出ているそうですシ」

「ホラーハウスか……夏に相応しい感じだな。うん、それじゃあ行ってみようか」

 向かう先はショッピングモール内に存在している遊園地に決まった。

 ある意味では定番のデートスポットだな。

 だが俺もまだ行った事が無いので、ちょうどいいと思う。

 と言うわけで、戌亥寮からショッピングモールへと移動し、ショッピングモールの中を更に移動して遊園地エリアへと、雑談しつつ移動。


「おー、此処が遊園地か……意外と色々とあるな」

「ですネ。とは言エ、スペースも限られているのデ、色々と工夫が凝らされているようですネ」

 遊園地は……外見と言うかテーマについては、一般的なファンシーで楽しい感じだな。

 アトラクションについては、ショッピングモールの外からでも見えていた観覧車に、塔のような外見のフリーフォール、メリーゴーランド、ティーカップ、アーケードゲームにメダルゲームなども含んだゲームコーナー、いわゆるパンダカーのような小型遊具が集められたエリアなどがある。

 そして、マリー曰く、噂になっているらしい特設のホラーハウスも、そういう季節ものを出すための場所に作られているようだ。

 一般的な遊園地との差異を挙げるのであれば……ジェットコースターの類が存在しないのが分かり易いところだろうか。

 それと、決闘学園内部に存在しているので、主な客層に合わないアトラクションも無いように思えるな。


「ただ、色々とある割には客はそんなに多くないな」

「平日ですシ、学園内の施設ですかラ。おかげで乗りたいものに待たずに乗れますけどネ」

 ちなみに人は多くない。

 見渡せば数組のカップルは見かけるし、女子数人グループも居るし、大人の客も居るが、だいたいのアトラクションは待たずに乗れるぐらいの人の入り具合である。


「さて何処から行こうか?」

「でハ、フリーフォールから行きましょウ! 体力のある内に激しめのものからでース!」

「分かった。マリーが乗りたいだけ乗ろう」

 俺とマリーは早速フリーフォールへと向かうと、早速搭乗。

 上下に激しく振られつつ、叫び声を上げる。

 それを何度か繰り返したら、次はメリーゴーランドにティーカップと乗り継いで、前者は普通に馬に跨るだけであったが、後者については二人でハンドルを回して激しく回転させる。

 それほどに激しい回転となれば目を回しそうになるものなのだが、俺は『恒常性(ホメオスタシス)』の働きによって特に何事も無く、マリーも素の三半規管の強さで以って酔わずに楽しんだ。


「では次は観覧車へ行きましょウ!」

「ああ、行こう。小休憩ってところだな」

「ですネー。けれド、観覧車の頂上からゆっくりと学園内を見渡してみるのも乙なものだと思いますヨ」

「違いない」

 そうしてある程度楽しんだところで、小休憩も兼ねて観覧車へ。

 二人でゴンドラへと乗り込み、係員の手によってゴンドラの扉が閉められる。

 かなりゆっくりとした観覧車なので、一周するのに……十分ちょっとはかかるだろうか。


「ふふフ。何も考えずにキャーキャーと騒ぐだけと言うのモ、いいものですネ」

「だな。偶にはこうやってシンプルに騒ぐのも楽しい」

 ゴンドラの外に決闘学園の一部が見える。

 そこまで大きな観覧車ではないので、見えない部分も多いが、決闘学園の大部分は見渡せる感じだ。

 目立つところだと……戌亥寮に、申酉寮に、学園の校舎にグラウンドに、いつもの大ホールに……入学して四か月も経つと、意外と心当たりがある場所も多いな。


「……」

「マリー? どうかしたのか?」

 と、マリーが何か話したがっている姿が見えたので、俺は促すことにした。


「少し悩みましたガ、誰かに聞かれる心配もなさそうですシ、此処で話しますカ」

「話か。何かあったのか?」

「はイ。ちょっと裏の方で面倒そうな動きがありそうとの事でス。ナルとマリー、それにイチや巴との関係性も合わせるト、ナルが関わる可能性も高そうなのデ、今のうちに概要だけでも話してしまいまス」

「分かった」

 どうやら何かがあったらしい。

 マリーの顔の真剣さ具合からしても、中々の面倒さを持っていそうな気配があるな。

 本格的な話は……また今度機会を見てか。

 と言う事は、まだ確定していない部分もあると言う事なんだろう。

 まあ、先に知っておけば、それだけ心構えも付くので、悪い事じゃない。


「ゴールドケイン家とは違うゴールドの一族が『蓄財』で作った金貨が裏で流通しているようでス」

「……」

 うん、中々では済まないレベルで面倒な事態になりそうな話が出てきたな。

やっぱり続く


マリー「シチュエーションカード『遊園地』を発動しまス! 合わせて、これもこれもこれも出していきますよ!」

巴「一気呵成とはこの事ですか!」

スズ「けれど火力を出せるかどうかは此処から次第だよ!」

イチ「……」←無言でお茶を飲んでいる

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― 新着の感想 ―
>俺からは否定できないな イチ「あれはデートじゃなくてサークルの仕事です」 >マリーから言い出さずとも、夏休み中の何処かでマリーとスズの二人とそれぞれ別にそう言う事をするつもりはあったのだけれど …
他家の金貨……そっちの含有率は、さて。めっちゃ粗悪品でも、誰でも使えるなら……一応、需要は出るのかねぇ(・・? マリーちゃんのは、分かりやすい学生デートだ。イチさんの1日は……もう1度があればいいね…
ふと何故か休日に熊白先輩がパンダカーでゆったりまったりしてるイメージが浮かんでしまいました……
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