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第96話 これからの為に

 はあ、はあ、はあ、はあ、はあ


 グリーンドレイクとの戦いは終わった。


 俺は倒したグリーンドレイク2匹と、2つあった卵を収納した。

 生命力が弱い卵なら、ストレージで収納可能だった。


 そして周りに落ちている、遺留品を拾った。


「これから、どうする」

 ポツリと俺は言った。


「そうね、きっと村は大変なことになってるわよね」

 オルガさんが言えば、ルイディナさんも答える。


「帰って村の立て直しから、始めるのね」


「なんだか帰りたくないな。みんなもう居ないもの」

 パメラさんが、しんみりと言う。


「エリアスっち、はどうしたいの?私は帰りたくない。私達に良くしてくれた人達はもういないのよ。メイドのアーネさんも…」


「そうだね。でも俺は領主だから、その責任を背負って村の復興を…」

「だから辛いのよ。死んだ人は帰ってこない。そして壊れた家を建て直しながら…。元の生活になんて、もう戻れないわ」

「それは、そうだけど…」

「あなたが戻っても何もできない。私達にはなにも出来ないのよ」


 パメラさんの言う事も分かる。

 やっと村の人達と打ち解けてきたと思った矢先に、こんなことになるなんて。

 村に戻っても、俺に出来ることはみんなを励ますことしかできない。

 なんの意味があるだろう。


 何もできない領主だ。


「領主なんて、俺には無理だったんだ。何もかも捨てて、この国を出たい」

 エリアスは村での惨事を、受け入れることが出来なかった。

 そして自分を責めた。

 

「エリアス君がそうしたいなら、それでもいいわ」

「私もよ、エリアス。好きにしなさいな」


「オルガさん、ルイディナさん」

「私も、その方が良いと思う。私も村には帰りたくない」

 パメラさんもアーネさんが亡くなったことを、今は受け入れられないようだ。


「それなら冒険者ギルドに寄って行こう。俺達にも出来ることはある」

「グリーンドレイクの報奨金ね?」

「いいえ、パメラさん。グリーンドレイクもドラゴンの端くれです。素材は高く売れるでしょう」

「それを売って、他の国に行くの?」

「報奨金は、これからの生活費に。素材のお金はグリーンドレイクに襲われた、人や村にギルド経由で分け与えてもらいます」

「それも良いかもね。そうすればヴィラーの村にも復興のお金が入るものね」

 パメラさんやアーネさんも頷く。


 俺達は冒険者としてのレベルも上がり、前のようにお金に執着しなくなっていた。

 なぜなら稼ぎたければ魔物を狩ればいい、そう思えるくらい自信が付いたからだ。

 収入の当てがあれば、気持的にも余裕ができる。

 

「ではに行きましょうか」

 パメラさんに頼み空間結合魔法で、ウォルド領の近くまで飛んだ。




 そして冒険者ギルドの中に入った。

 受付のマリサさんに、ギルドマスターに会いたいことを伝えてもらった。


「どうぞ、ギルマスがお会いになるそうです」

 そう言われ2階のギルマスのドアを叩く。


 トン、トン


「どうぞ」

 中から声がした。

 俺はドアを開け、中に入った。

「どうぞ、座って。で、どうしたの」


 ギルマスのイノーラさんの隣にパメラさんが座る。

 そして前のソファに、俺、オルガさん、ルイディナさんが座った。


「ドラゴンを倒しました」

「えぇ~~!!!た、倒したの?本当に」

「本当です。グリーンドレイクは1()()で、マジック・バッグに入っています」


「どこで見つけたの?それよりも、どうやって倒したのかしら」

「ウォルド領の街道から中に入り、魔物を探していたら鳴き声がして、大きな魔物が飛んで行ったのです。ウォルド領から北に、なにかありますか?」

「そうね、確かヴィラーと言う小さい村があったはずだわ。まさかそこも…」


「それはわかりません。俺達は、その後をつけて行きました」

 えっ!後をつけて行った?飛んでいるドラゴンの後を。


「1時間くらい走ると一際高い岩の山脈があって、その上をドラゴンは目指して飛び始めました」

 1時間走った?ドラゴンと同じ速さで?


「山の中腹まで登ると、平らな場所がありドラゴンはそこにいました」

 何を言っているの?

 山の中腹まで登った?


「探索はここまでにして、一度報告に戻ろうと思ったのですが」

 岩の山脈と言えばバーク山脈のことね。

 あんな高くて岩だらけの山の中腹に、ドラゴンはいます!て言われてもね。

 どうやって登るのよ!


「この機を逃すと、次の機会はないかもしれないと思い戦ってしまいました」

 そうよ、それでいいのよ。

 戦ってくれて良かった。

 あなた達に依頼して良かったわ~。



「それから周りに落ちていた宝石や武器などの、遺留品を持ち帰りました。持ち主のご家族が分かれば、返してあげてください」

 え、欲がないのね。

 あなた達の物で良いよの。


「それからドラゴンを出したいのですが。誰も近づかない、広いところは無いでしょうか?」

 あぁ、買取ね。

 ドラゴンの粗材を扱えるなんて、このギルドの自慢になるわ。


「格闘練習場なら、今の時間使えるわ。そこに行きましょう」


 そう言われ俺達は1階にある、格闘練習場に向かった。


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