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第95話 決着

 俺達は空に舞い上がった。


【スキル】鑑定サーチ使い調べているが、グリーンドレイクが見つからない。

 高度を更に上げ山の中腹まで登り『鑑定』の範囲を広げていく。


 いた!


 ここから見える向かいの、山が平らになったところにいた。


 俺達は全速力で飛んだ。

 近づくとグリーンドレイクは2匹だった。


 1匹が飛び立とうと翼を広げる。


「「 炎の精霊よ、集い来たれ、全てを焼き尽くし、喰らいつくせ 」」


〈〈〈〈〈 アストラル ファイア 〉〉〉〉〉


「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

   「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

     「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

        「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

     「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

   「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」

「バァ、バァ、バァ、バァ、バァ、バァ!!」


炎の弾幕を受け、グリーンドレイクは後に吹き飛んだ。


パメラさんはもう、遠慮をしていなかった。

爆裂系の魔法は破壊力があり、街なのでは使いにくい。

だからあえてヴィラーの村では、風魔法を使っていたのだ。

場所が岩山なら遠慮はいらない。


もう1匹のグリーンドレイクは、大人しくそのまましゃがみ込んでいる。


倒れたグリーンドレイクは起き上がろうとする。



〈〈〈〈〈 ヘイル フローズン 〉〉〉〉〉


 ルイディナさんが弓矢に魔法を纏わせながら放つ!

 矢が刺さった場所から、雪嵐が発生し凍結が始まる。

 グリーンドレイクは、起き上がる途中の体制のまま動けなくなった。


 

〈〈〈〈〈 シャイニング 〉〉〉〉〉


 オルガさんが剣に魔力を集中させ叫ぶ!


 光のエネルギーを濃縮した小さな光球が、飛んでいき突然弾ける。

 爆発的な衝撃と、強烈な光が辺りを包む。


「「「「 グァ~~~~~ン!! 」」」」


 グリーンドレイクは、緑色の血を流し起き上がった。

 

 そしてブレスを吐いた。

「「「「 ブォ~~~~~!! 」」」」



 俺は嫁3人をかばうように前に立ちはだかる。


 「「 収納!! 」」


 俺もレベルが上がり、収納できる範囲が広がった。

 今では自分の体から前後2mはカバーできるようになっていた。


「「「「 シュゥ~~~~~!! 」」」」

 グリーンドレイクの吐いたブレスが収納されていく。


 そして今度は俺の攻撃だ。

 俺は魔法を飛ばせず、接近戦しかできない。

 だができることはある。

 魔力をストレージに溜めて行く。


 俺は走った。

 グリーンドレイクに向かって!


 走りながらストレージでグリーンドレイクの前まで階段を作った。

 ストレージは生き物を収納できない。

 だから階段状に収納口をグリーンドレイクの前に掛け、体長9mのグリーンドレイクの顔のところまで登る。

 そして口を開けている、グリーンドレイクの中に溜めていた魔力を叩きこんだ!


 「Blue flame(ブルー フレイム)!!(青い炎)」

 

 約10,000℃の青い炎が、グリーンドレイクの口の中で燃え上がる。

 そして魔力を口の中に押し込む。


「「「「 グォ~~~~~ン!! 」」」」


 苦しそうに泣き叫ぶ声が山脈に響く。


 内臓が焼かれていく臭いがする。



「エリアス君、離れて!」

 オルガさんの叫び声がする。


 俺は素早くその場を離れた。

 

〈〈〈〈〈 ウインド エッジ 〉〉〉〉〉


 オルガさんは風邪魔法を剣に纏わせる。

 左足を引き腰を落とし、膝に力を貯め剣を抜き刀を外側に捻る。

 抜き放つ瞬間にそのまま刃は水平に振り抜く!


「「「「 ズバッ!! 」」」」


 グリーンドレイクの腹は真一文字に切られた。


 手首を反らしせて柄を握り、二の太刀で首を狙う!

 その瞬間、今まで貯めていた衝撃を放つ!!


 居合の構えだ。


 ドサッ!


 そしてグリーンドレイクの首が落ちた。





 はあ、はあ、はあ


 俺達は肩で息をしている。

 強くなったとは思っていたが、全開で戦う機会はなかった。



 そして残った1匹は翼を広げ、威嚇はするが飛び立たない。

 よく見ると足元に巣があり、両脚の間に卵が2つ見える。


 メスか、卵を育てるために栄養が必要だったのか。



 生きていくために他者を食べる。

 それは人も同じだ。

 そしてグリーンドレイクらも、子供を育てるために狩りをした。

 それがいけないというのか。


 人は生きていくために、牛や豚を食べている。

 やられたら、やり返されるとは誰も思ってはいない。


 そして卵を守るグリーンドレイクには、敵意は無かった。

 だが人の感情は複雑だ、それを許すことは出来なかった。




「なにを迷っているの、エリアスっち」

 パメラさんが聞いてくる。

 俺は迷っている理由を話した。


「私は許さないわ、これを見て」

 パメラさんが指を指す。


 さらわれた馬車は跡形もなく壊され、血の跡がついている。

 馬車2台分くらいはありそうな、宝石や武器、破れた服。


 たくさんの骨が積もり、遺留品が落ちていた。


 そして俺達がアーネさんにあげた、ホーンラビットの襟巻(えりまき)も。

 俺は屈んで襟巻を拾い、抱きしめていた。


 メスに食べさせるために人間の、息の根を止めたら丸のみにする。

 そしてここまで飛んで来たら、吐き出して食べさせる。

 その繰り返しだったのだろう。




「せめて一瞬で楽にしてあげる。封印を1つ解くわ」

 パメラさんは右手の布をほどいた。


 すると魔力が集まり始める。

 パメラさんの体の周りをまわる様に、魔力が渦を巻く。

 

 右手に魔力が更に集まる。

 まるでブーメランの様に、魔力の塊がグルグル回り出す。


「虚空より風を起こせ、更なる速さで埋め尽くせ、見えなき刃よ、彼の者を刻め」


 〈〈〈〈〈 ウインド ブラスト 〉〉〉〉〉


 パメラさんの右手から、魔力の刃が回転しながら飛んでいく。


 グリーンドレイクの首のところを通過し、ブーメランの様に戻り消えた。

 すると一拍遅れてグリーンドレイクの首が、ボロリと落ち血が噴き出していた。


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