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第90話 便利な生活

 翌朝、朝食を食べて屋敷に戻ってきた頃にアーネさんがやって来た。

 リヤカーに寝具を積み、手荷物1つの寂しいで立ちだった。


「おはようございます。本日からよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 オルガさん達みんなで迎え、改めて紹介をした。

 今日から家族だ。


「1階に空いている部屋があるので、そこを使ってください」

「分かりました」

「それから足りないものがあれば言ってください。揃えますから」

「それでは後で確認させて頂きます」


 アーネさんは以前、働いていたから屋敷の中は知っているようだ。


「食器類は無いのでしょうか?」

「はい、ありません。全て外食でしたから。水を飲むためのカップくらいしかありません」

「はあ、そこからですか」


 ど、どこからでしょう?と、言ってみたい。


「しかし家の中はとても綺麗ですね。昨日、伺った時にも思いましたが、奥様方が綺麗好きなのですね」


『奥様だって』

『そうね~』

 クネクネ、クネクネ。

 3人して何をやっているんだ?


「それにお庭もとても綺麗に手入れをされています。これはどなたが、されているのでしょうか?」

「我が家はみんなでしています」

「そうですか、仲がよろしいのですね」

「えぇ、新婚ですから」

「新婚さんですか」


 冒険者として功績を残し男爵になり、それを機会に3人と結婚したことを話した。

「そうですか。とてもお幸せそうで、見ているこちらもほのぼのとします」


 それから必要な物を書き出し、みんなで雑貨屋に行った。




「こんにちは!」

 まずアーネさんがドアを開け中に入る。

 俺達は後だそうだ。


「まあアーネ、どうしたんだい?おやエリアス様じゃないか」

「今日からエリアス様のところで、住み込みで働かせてもらう事になったんだよ」

「そうかい、良かったね」


 雑貨屋マティさんとそんな話で盛り上がった。

 狭い村の中だ、知っている人ばかりで知らない人はいないらしい。


 そして必要な物を買って行く。

 食器類、鍋、ヤカンなどの台所用品、包丁などだ。

 料理をしないから、調理品がなかった。


 この機会に清掃具も買うとしよう。


 マティさんにも、エリアス様はいつも奥様3人と一緒で仲がいいね、と冷やかされた。


 一通りの物を買い揃えストレージに仕舞った。

 初めて見たアーネさんはとても驚き、それだけで一財産ですね、と言っていた。

 そして屋敷に戻った。



 台所の収納棚に買ってきた食器類を仕舞う。

「どの陶器に水を溜めておくのでしょうか?」

「水を溜めるですか??」

「水を溜めて洗い物に使ったり、飲み水にしたりしていなかったのでしょうか?」

「実は俺達4人は生活魔法を使えるので、水を溜めて使っていなかったんですよ」

 そう言って流しに指先から水を出して見せた。


「まあ、それでは火もそうでしょうか?」

「えぇ、そうです。俺達は火打石はいりませんから。ほらね」

 今度は指先からオルガさんが、ろうそくの炎くらいの火を出している。

「言ってもらえれば、いつでも出しますから」

 火打石で火を点けるのは時間が掛かり、大変だからね。


 最近、嫁達がいつの間にか生活魔法を覚え、暮らしが便利になってきている。


「でもアーネさんは水が無いと不便でしょうから、出しておきますね」

 そう言うと俺はいくつかある使っていなかった陶器にストレージを使い、汚れやホコリを収納し綺麗にした。

 清潔クリーンと呼んでいる便利な魔法だ。

 

「水は洗い物用と飲み水用で陶器に、3つくらいあれば足りますか?」

「……」

「アーネさん?」

「え、えぇ、そうですね…」


「では溜めますね」

 俺は指先から水を出した。

 オルガさん、ルイディナさん、パメラさんも手伝ってすぐに陶器は満たされた。



 それから1階のお風呂の事も話しておいた。

 火と水の生活魔法でお湯が出来るから、毎日お風呂に入ることを話した。

 得意なのは俺とパメラさんだ。

 オルガさんとルイディナさんは、元々魔術師ではなかったので出来ない訳ではないが、制御がいまいちだと言う事を話しておいた。



 季節は秋。

 そろそろ寒くなる頃だ。

 森に入った際に居間の暖炉用に、たくさんの薪になる木を切って裏庭に積み上げている。

 その事も話しておいた。


 それから食事を作るための、食材を買うお金を預けておいた。

 2万円を細かいお金で渡し、無くなったら言う様に話した。

 我が家の大蔵大臣オルガさんに確認し決めた額だ。

 俺では食材の金額も分からないから。

 オルガさん曰く1人1食500円くらいだから、5人で1食分が2,500円。

 2万円あれば8回分の食事ができるはずだと。


 そしてストレージから、アレン領に居た時に買っておいた調味料を出した。

 塩、胡椒、マヨネーズ、味元あじげん、醤油、ソース。

 そして最近、販売された醤油と味噌もだ。

 


 アーネさんはさっきから、呆然としているようだが。

 いったい、どうしたんだろう?


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