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第89話 メイドさん

 アーマン村長がアーネさんという、メイドさんを連れて来た。

 だが今の生活はメイドさん自体、必要に感じないので迷っている。


 俺がよほど考えている様に、見えたのだろうアーネさんが話し出す。


「ではエリアス様。お客様がおいでになった場合、おもてなしはどの様にされるのでしょうか?」

「お客様ですか?」

「はい、この村の領主様である以上は、この村に他の貴族の方がおいでにお相手をしなければなりません。そうなった時のご用意はいかがされていますか?」


 はい?そんなことは、いっさい用意しておりません。


「さようですか、そのための食器などのご用意もしなければなりません。メイドが居なければ、エリアス様や奥様方がされることになります。そして主人自らされるのは、見栄えが良くありません」


 妻達は家事をせずメイドに任せることが、一種のステイタスてことだよね。


「そしてお客様をお迎えする時の作法など、ご存じでしょうか?」


 ドアを開け、いらっしゃい!とか。


「いいえ、それはなりません。迎えはメイドがするものですから」


 あれ?さっきから話しているけど。

 アーネさんも相手の思考が読める超能力者なのか?


 貴族出ではない俺達は貴族の常識を知らない。

 だからメイドさんを雇う事で、その知らないところを埋めると言う事か。

 

「お給料はどのくらいを、希望されているのでしょうか?」

「住み込みで1日2食頂ければ、お給料はこのくらいで…」

「いいえ、我が家は1日3食ですよ」

「まあ3食も頂けるのですが、では月2万円でいかがでしょうか」


 この世界では食べていくのが優先だ。

 だから現金より食べ物だ。

 そして1日の労働賃金は3,000円で、月平均の収入は9万あれば生活できる。

 だがそれは男性がもらえる金額で、女性はもっと低い。

 1日2,000円くらいだろうか。

 男女で賃金格差があるからだ。


 住み込みなので、月平均の収入の1/3あれば生活できるだろう。

 しかも1日3食で月3万もらえるなら高給だと言う。

 特にこの村では農業が出来なければ、働けるところ自体が極端に少ないらしい。



 オルガさんを見ると頷いている。

 給料は少し高いくらいの方が、本人もやる気が出ていいだろうからね。


「では、いつからにしますか」

「明日からでも、いいでしょうか?」

「ええ、構いませんよ」

「では、明日の朝来ます。よろしくお願いします」


「話はまとまりましたな。では私もこれで」


 そう言うとアーマン村長と、アーネさんは帰って行った。




 アルマン食堂に夕食を食べに行った時に、そのことをコーネリアさんに話した。

「アーネは働き者だから、良いと思うよ。でもこれから食べに来てくれなくなると思うと、寂しくなるね」

「たまには来ますから」

「そうだね。それからこれからは狩った獲物を店に卸したら、全部卸すんじゃなくて自分達で食べる分は持って帰れば、アーネに料理してもらえるからね」


 あっ、そうだ。

 アーネさんに料理してもらば、お金は掛からないんだ。


「この前、卸してくれたワイルドボアなんて、普通に仕入れたら店の料理でも1,000円はもらわないと採算が取れないけど。エリアス様が破格値で卸してくれたからみんな安い値段で美味しく食べれたのさ。感謝してるよ、ほんと」


 ワイルドボアの肉料理は、700円で安かったんだ。

 俺としては安く卸して、いつもより高い夕食代だったから損した気がしてたけど。

 他の人からすれば、ワイルドボアの肉を安く食べれた、てことになるのか。

 

「しかし、良かったよ。4人共、なんとかやっていけそうでさ」

「えっ、どういうことですか」

「なにね、この村に来た時は領主様とは知らなかったけど、奥さん3人も居て大丈夫なのかな、てみんなで心配してたんだよ」

「そうなんですか」

「でも優男に見えてもワイルドボアを倒せるんだろ。奥さんが3人居ても十分に養っていけるな、て思ってさ」

「そんなに頼りなく見えますか?」

「あぁ、言われないと分からないくらいにね。あはははは」





 なんだ、そうだったんだ。

 この村に来た時、私達がエリアス君の奥さんだって言うと、みんな気のどくそうな顔をしていた。

 エリアス君は美少年で私達3人は普通以下だから。

 釣り合わないと思われてると思ってた。

 でも違った。


 エリアス君が優男だから奥さん3人は大変だと思われてたなんて。

 もっと自信を持って、頑張れオルガ。

 私はこれからでしょう。


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