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第78話 ある冒険者の見たもの

 俺はアーマン、Dランク冒険者だ。

 俺達は最近、冒険者ギルドに溜まっている。

 仕事が無いからだ。


 以前ならもう依頼を決めて、城門を出ている頃なのに。

 しばらく前から街道にドラゴンが現れ旅人を襲うようになった。


 護衛の仕事は減り、あったとしても高レベルで俺達では仕事を受けられない。

 討伐依頼があってもいつドラゴンが現れるかと思うと、城門から外に出なくなっていた。


 みんな仕事がなく腐っていた。

 そんな時だ。

 男1人に女3人のパーティーがギルドに入って来たのは。

 良さそうな装備を持ち、身のこなしも中々だ。

 


 しかし話を聞くと以前は冒険者をしていたが、期間が開いたようだ。

 途中継続ではなく再登録で一からやり直すという。

 普通はそんなことはしない。

 一からレベル評価を上げるなんて面倒だからだ。


 だがそれでいいという。

 それだと最低ランプの『F』スタートになる。


 あれだけの装備を持ち、身のこなしも良さそうなのに。

 継続しない理由がある、と言うことになる。

 わけありか。


 そんな事を思っていると、よせばいいのに馬鹿な4人組がちょっかいを出した。

 最初は小声だったが相手が反応しないからか、聞こえる様な声で言い始めた。


 4人の内、男はライトアーマーを着た優男で美形の美男子だった。

 高そうなバスタード・ソードを腰から下ている。

 なら男が一番嫌がること。

 連れの女を馬鹿にすることをそいつらは選んだ。


 そして悪いことに連れの女3人が、あまり器量が良くなかった。

 男の器量が良い分、その差が目立つのだ。



 1人はローブを着た魔術師風の17~8歳の女。

 髪は白銀色で長そうな髪を結い上げている。

 大きな魔石が付いたロッドを持っている。

 これだけでどれだけの価値があるのだろう。

 そしてなぜか右手首には布を巻き、左目は黒い眼帯をしている。


 そしてプレートアーマーを着た20歳くらいの騎士風の女。

 髪は赤色で短くしている。

 こちらも男と同じで、高そうなバスタード・ソードを腰から下ている。


 最後の女は20歳を過ぎたように見える。

 男と同じ色のライトアーマーを着て、肩まである銀色の髪を編み込んでいる。

 変わった弓の様なものを手に持っている。

 多分、狩人だろう。


 剣士は髪が短いから分からないが、他の2人の女は髪を結っているから既婚者かもしれない。

 髪を下ろしていいのは未婚の女性のみ。

 既婚の女性は髪を編み込んだり結い上げているからだ。

 既婚の女が冒険者をやるのか?

 相手はこの男か?

 まさかな。

 考え過ぎだ。



 

 言い返してこない相手に調子に乗った男達は、女3人のことを醜女しこめと口走った。

 女の内1人が泣き始め、つられる様に残った女2人も泣き始めた。

 よほど嫌な思いを顔の事でして来たのだろう。

 誰にでも劣等感はある。

 この女達3人は容姿に劣等感があるのだろう。


 それを見たライトアーマーを着た男の目が見開かれた。


 一瞬、強い風が吹いたかと思った。

 だがそれは違った。


「「「「 ド ~~~~ンッ!! 」」」」


 そして一拍後、物凄い音と共に突風が吹きギルドの壁が吹っ飛んだ。


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