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第48話 盗賊団

 俺達は今夜の宿である、エターブの町を目指し走っている。


 すると遠くではあるが、道の先に襲われている馬車が見えた。

 俺達は立ち止まった。


「馬車が襲われてるみたいだ。どうするみんな?」

 近くに行かないと分からないが、弓を持っている盗賊も見える。

 みんな黙り込む。

 正義の味方ぶって飛び出しても、こちらがやられては意味がない。

 自分達の命をかえりみず、人助けをする理由もないからだ。


 それに盗賊なら、逆らわなければ()()()取られることは無いはずだ。

 男は金目の物を差し出し、器量の良い女子供は慰みものになるか、売られるか。

 確かに逆らわなければ殺されることはないのだ。


「「「 きゃ~~!! 」」」


 誰かが逆らって切られたらしい。


「行きましょう、エリアス君」

「オルガさん」

「このまま奴らが居なくなるのを、待っているのも嫌だわ」

「そうね、オルガ。それになんだか私、以前より強くなった気がするんだ」

「ルイディナ、あなたもそうなの。私もよ」

「なんだ、みんなもか」

「パメラもなの」


 仕方なく俺はみんなに一部分だけ話した。

 俺と夫婦になったことによって、みんなのステータスが少し上がったこと。

 そして風魔法が使えるようになっていることを話した。

 パメラさん自体は元々、風魔法が使えたが更に何かできるようになっている可能性を説明した。

 だがオルガさんとルイディナさんは、MPが余りないので大した魔法は使えないかもしれないことを話した。

「すご~い、エリアスっち。エリアスっちと、すればするほど能力UPするかもしれない、てことだよね」

「いや~、やってみないと、それはわからないけど」

「なら街に着いたら試そう?ねっ、ねっ」


 そんなほのぼのとした馬鹿な話をしている内に、馬車は大変なことになっている。


「「「 いや~、やめて~!! 」」」


「行こう、みんな!」

 俺達は駆け出す。


 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ!


 近づくと乗合馬車から人が7~8人降りて座らされている。

 盗賊は見える範囲で左右に5人で計10人、弓を持つ者が内4人いる。

 まずは手前の盗賊からだ。


「ルイディナさん頼みます」

「あいよ、任せて」

 ルイディナさんは止まりクロスボウを構えた。

 弓の台座上に矢を入れるカートリッジを付け、台座下のレバーを前後することで弓の弦が引かれ矢も装着され引き金を引くことで10連射が可能になる。


 ここからなら十分牽制できる距離だ。


「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」

       「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」


「ぐぇ!」

「うっ!」

「ひぃ~」

「うぐぅ!」

 貫通力がとても高い!

 そこまでの威力は無いはずなのに、防具を貫通し胴や胸に刺さっている。


「「「「 奇襲だ~! 」」」」


「「「「 どこからだ! 」」」」


〈〈〈〈〈 うおぉ~~!! 〉〉〉〉〉


 その隙にオルガさんがバスタード・ソードを掲げ突っ込む。


〈〈〈〈〈 疾風切り 〉〉〉〉〉


「ドスッ!」「バサッ」「グァ~!」「あぁ、、」

 手が吹き飛び血が舞い、『バスタード・ソード』を振るうたびに人が空を飛ぶ!!


 プレートアーマーを着ているとは思えないほど、オルガさんの動きが早い。



「吹き抜ける青藍せいらんの風よ、我が道を阻む愚か者に荒れ狂え」


〈〈〈〈〈 ウインドカッター!! 〉〉〉〉〉


 パメラさんが叫ぶ!!


 ザッ~~~!!


 半円状の風の魔法が飛んでいく!

 しかもデカい!!

 横幅2mくらいはあるだろう。


 周りの木々を切り倒し、盗賊達に向かっていく。

 そして立っていた盗賊達はウインドカッターに切り刻まれる。

 勢い余ったウインドカッターは、乗合馬車のほろを余力で切り消滅した。


 ほっ、盗賊以外の人は座らされていてよかった。


 なんて事を【メンタルスキル】()()()()で考えながら、俺はヒヒイロカネを混ぜて作られた、バスタード・ソードを片手に乗合馬車に走った。


 残り3人。

 盗賊たちが一瞬怯んだ。

 生活魔法の風を真空状態で剣に纏うようにイメージ。

 これで切れ味が良くなる。

 左足を引き腰を落とし、膝に力を貯めた。

 剣を抜き刀を外側に捻り、抜き放つ瞬間にそのまま刃は水平に振り抜く!

 手首を反らしせて柄を握り、二の太刀で首を狙う!

 それを何度か繰り返す。


 僅かな間で決着は着いた。


 辺りは血の匂いが立ち込め、腕や内臓が飛び散っている。

 馬車のお客はあまりのことに呆然としている。


 俺は盗賊の遺体や内臓をストレージに収容し、生活魔法の水を使い周りの血を奇麗に洗った。

 

「大丈夫ですか?私はこれからヴィラーの村へ赴任するセルベルト男爵です」


「「「 男爵様!! 」」」


「みなさん、怪我はありませんか?」


「助かりました」

「「ありがとうございました」」

 馬車の他のお客はみんな口々にお礼を言う。


「主人が、主人が…」

 盗賊に逆らい切られたらしい。

 すでに事切れていた。

 可哀そうに。


 エターブの町へ行く乗合馬車だったようだ。

 俺達は目的地が同じため、亡くなったお客のご主人の遺体をストレージに仕舞い、一緒に行くことにした。


 乗合馬車を魔法で切ったことは、馭者ぎょしゃさんに命拾いしたからと許してもらった。




 この辺りは盗賊はおらず安心できる街道だったとか。

 多分、今回は新たな盗賊団が移住してきたのではないか、ということになった。

 

 その後、しばらく行くとエターブの町に着いた。

 警備所で盗賊の遺体を渡し装備品をもらえると言われたので、武器だけもらうことにした。

 盗賊団のねぐらがあるはずだから、討伐の手配も頼んでおいた。


 しかし嫁3人の能力の上がり方が変だ?


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