表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/98

第13話 報酬

 俺達4人は冒険者ギルドに戻ってきた。

 バグベアは俺の手柄で良いとオルガさん達が言ってくれた。

 俺担当の受付アリッサさんのところに並んだ。

 俺の順番が来た。

「おかえりなさい。エリアス君。怪我はなかったかしら」

「はい、無事に帰りました」

「今日はどうだったの?薬草、それともゴブリン討伐かしら?」

「いや~実はバグベアがいまして」

「はっ?バグベア」

「はい、彼女達が襲われていたので、つい」

「襲われていた、つい」

 アリッサさんの表情が変わった。


「それで怪我はなかったの?」

「えぇ、俺も彼女達も無事です」

 そう言いながら俺はオルガさん達の方を振り向いた。


「エリアス君。あなたはギルドに登録して、まだ4日目の新人なんですよ」

「あ、はい」

「はいではありませ~~ん!!」

 アリッサさんがとても怒っていた。


「いいですか、人を助けるのは良いことです。でもあなたが助かるとは限らないのですよ」

「はい、すみません」

「私達はたくさんの人を登録してきました。そしてたくさんの帰ってこない人を見ています。だから無茶をしないでくださいね」

「わ、分かりました」

 アリッサさんは良い人だ。

 俺のことをこんなに心配してくれるなんて。


「バグベアはまたマジック・バッグの中ですか?」

「そうです」

「では解体場で出しましょう」


 そして俺とアリッサさんは解体場に移動した。

「おう、解体かい?アリッサさん」

 50代のがっしりとした体つきの男の人が居た。

「えぇ、アンセルさん。バグベアだそうです」

「バグベアね、で、どこだい?」

 パン、パン。

 俺はバッグを叩いて見せた。

「あぁ、マジック・バッグかい」

「ここにだしていいんですか?」

「おう、いいぜ」

 俺はバグベアをストレージから出した。

 ドサッ!

「うっ!なんだいこりゃ」

 さばきやすいようにお腹を上に向けて出したのだ。

 それを見たアンセルさんとアリッサさんは顔をしかめた。


「いったいこれはなんだい?肉が焼けてやがる。ま、あとは解体してからだな」


 俺とアリッサさんは解体場を出て受付に戻った。


「バグベアの他には、なにもなかったの?」

「はい、実はブルーベリーを採っていまして。ジャムでも作ろうかと」

「ブルーベリージャムね。いいわね」

「作ったらアリッサさんにも差し上げますね」

「「「まあ、ブルーベリージャムを作ってくれるの。嬉しい。待っているわ」」」

 アリッサさんは小躍りして喜んでいた。

 そんなにジャムが好きなのだろうか。


 後ろを振り向くと『紅の乙女』のみんなも欲しいそうな顔をしている。

 それほど女子はジャム好きが多いのか?


「お~い。バグベアの裁定ができたぞ」

 解体場のアンセルさんが声をかけてきた。

「12万円だな。状態が悪くて肉は売り物にならないから、毛皮しか買取れないぞ。どうやったらあんな状態になるんだい。内臓は焼け鋼が中で溶け固まっているなんて、見たことがないぞ」

「それは俺のスキルなので言えません」


「スキルか。それなら仕方がないな」

 スキルはその人独自の能力だ。

 人にも言わないし、聞いても教えないのが普通だ。

 だからスキルだと言えばそれで話が終わるのだ。

「では、ありがとうございました」


 俺は受付を離れ『紅の乙女』のところに向かった。

 

「はい、これは君たちの分だ」


そう言って俺は9万円を渡した。

「状態が悪くて12万だったんだ。だから1人3万円だな」

「え、でもそれは悪い。ハイポーションを使ってもらい、剣も駄目にした」

「いいんだ、オルガさん。それは俺が勝手にしたことだから。気にしないでも」

「そ、それでも」

「はい、話はここまでにしましょう。ではこれで」


 そう言って俺は冒険者ギルドを出ようとした。


「待ってくれ、エリアス君。どこに行くの」

「あぁオルガさん。武器屋です」

「それなら私も付き合おう」

「私もではなく、私達よ」

「そうだ~付き合うよ」


 そして俺たちは武器屋に向かった。

 行く途中でオルガさんに言われた。

「ねえエリアス君。あの冒険者ギルドの受付に、ブルーベリージャムをあげるの?」

「え?まあ、約束しましたから」

「それほどの付き合いなの?」

「まあ4日くらいですかね」

「じゃあ、私にはくれないの?」

「欲しいんですか?」

「も、もちろんよ」

「では作ったらオルガさんにもあげますね」

「ほ、ほんと!嬉しい~~!」

 オルガさんは両手を胸の前で組み話している。


「わ、私は?」

「私もよ~」

「2人も欲しいの?」

「「「「 もちろんよ~!! 」」」」

 そんなに甘いものに飢えているのか?


「じゃあ、3人共あげるよ」

「「「「 嬉しい~~!! 」」」」

「私が1番よ」  

「いいえ、私よ」

「私は2番でいいから」


 なぜか3人は順番の話をしている。

 これはあれか?

 渡す順番があるのか?


 異世界は難しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂いてありがとうございます。
もし面白いと思って頂けたら、★マークを押して応援して頂けると今後の励みになり、とても嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ