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4話:白衣の悪魔の復活

勝負当日。

シャドウ家の庭にはアイザック、ベティ、そして屋敷の使用人数名と義母アイリン、アイザックの学友(取り巻き、と言った方が正しいのか)が集まっていた。


「逃げ出さなかった事は褒めてやるよ、無謀とも言うけどな。」


アイザックはニタニタと下卑た笑いを浮かべながら話しかけてくるアイザックの後ろにいる取り巻きたちも同じ様な表情でこちらを見てくるので類は友を呼ぶとはこのことか、とベティは思った。


「勝算もなく勝負を挑んだりしませんよ。」


軽くあしらわれたのが気に食わないのかムッとした表情のアイザックは近くにいた使用人に早く開始の合図を出せとせかす


「それでは、お二人共位置について。」


瞬時にピリッとした空気が流れる


「開始!」


使用人の掛け声とともに2人はさっと構えの体制を取る。


「はぁっ!」


先に攻撃を仕掛けたのはアイザックだ。

突き出した掌から魔力で生成された水が勢い良くベティへ襲いかかる。


「っ、」


ベティはさっと体勢を低くすると横へ転がり込む様にして攻撃を避けるが、水魔法は射程範囲が広く避け損なった左脚に当たってしまう。



「おいおい、大丈夫かよ、っと!」


追撃の一手、まともに食らったベティはぐらりとよろける。

後ろは、池。


体勢を崩したベティに向けてトドメと言わんばかりに腕を振り上げると先程よりも大きな水の塊がアイザックの頭上に浮かび上がる。


「これでおわりだ!」


しかし、アイザックが腕を振り下ろそうとしても腕はピクリとも動かない。

何事かとアイザックが見るとそこには水草がびっしりと絡まっていた。


「なっ、」


水草はベティの袖口からロープの様に伸びている。


「この水草は魔力を吸って育つ特殊な草です。うちの池で育っていた様で、私の魔力では少ししか成長させる事は出来ませんがお兄様の魔法とはとても相性が良いみたいですね?」


先日池で溺れた際に脚や服にに絡み付いていたらしい。

水草を乾燥させて服の袖に仕込み、成長促進魔法で戻し、あとはアイザックの水魔法で無限に伸びる。


アイザックが発動させ損なった水魔法を吸い上げ、水草はどんどん増えていき、ついにはアイザックの身体までもぎゅうぎゅうと締め上げていた。


「本来なら病魔による毒の吸い出しなどに使うようですが、お兄様の魔法には毒素が含まれていないので無限に成長し続けるみたいですね。勉強になりました。」


ベティが手綱の様に水草を引くとアイザックはなすすべもなく地面へと倒れ込んでしまう。


「お兄様もう動けない様ですが、降参しますか?」


アイザックは額に青筋を浮かべると


「ふざけるな!動きを封じられたくらいで俺が降参なんてするものか!」


そう叫び身を捩るが水草は絡む一方で全く解けない。

アイザックが水魔法以外は不得手だと言う事はここ数日観察した事でわかっていた事だった。


「……、ではこれは実験の範囲なのですが」


ベティはアイザックの前にしゃがみ込むと水草を出している手とは反対側の手をアイザックの額に押し付ける


「な、」


「回復魔法にも種類があることが最近わかりました。因果から傷を消す魔法、細胞を活性化させ、傷を塞ぐ魔法、私が使えるのは後者の様です。」


瞬間、バチリとした衝撃がアイザックを襲った。

電撃の様な焼ける炎のようなその衝撃にアイザックはのたうち回りそうになるが草が絡んで如何にもならない、手も動かせないのでやめさせることもできないのだ。

ベティはそんなアイザックを冷たく見下ろすと


「無理に細胞を活性させれば当然負荷がかかりますし、今は特にお兄様は怪我をしていませんしね。」


「それで、やはり降参しませんか?」


痛みで声も出せないのを知ってか知らずか数十秒後アイザックが『参った。』と口にするまで続くその攻め苦を見たアイザックの取り巻きのうちの1人がのちにこう語る。


『悪魔がいるのかと思った』と

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